キャンドル・サービス説教

「救い主誕生の予告」

イザヤ書9章5節、6節

はじめに

 今宵は、クリスマスの燭火賛美礼拝、キャンドル・サービスですが、わたしたちの救い主イエス様の誕生の予告についてお話をしたいと思います。

 人類のただひとりの救い主のイエス様は、紀元前4年ごろ、マリアから男の子として生まれました。でも、救い主のイエス様が生まれることは、それ以前からはっきり予告されていました。神は、いきなり突然、突発的に、何の予告なしに、救い主のイエス様をいきなり誕生させるのではないのです。救い主のイエス様が生まれて出現することは、人類が恵みにより罪赦され、救われて、希望に胸を膨らませ、喜んで真の人生を生きられるようにする人類史上画期的な出来事なのです。その測りしれない人類史的重要性のゆえに、神は、以前から御計画し、前々からいろいろな仕方で予告して、教えていてくださり、何と7百数十年前のイスラエルの預言者イザヤを通しても、その誕生を予告してくださっていたのです。

 そして、7百数十年前の預言者のイザヤを通して、救い主誕生を予告した御言葉が、イザヤ書9章5節の「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。」という御言葉です。そして、預言者イザヤのこの予告の御言葉は、7百数十年後に、おとめマリアから救い主のイエス・キリストが馬小屋で男の子として生まれることにおいて歴史の中で確実に実現成就しました。ですから、わたしたちは、安心して、マリアから男の子として生まれてくださったイエス様を救い主と信頼し、救いと祝福と永遠の生命を受け、喜びで満ちあふれて、よい人生を歩むことができるのです。それゆえ、心から感謝できます。

1.救い主は、ひとりのみどりご、ひとりの男の子として生まれてきます

 さて、預言者イザヤは、イスラエルの人々に、また、世界の人々に、将来、救い主のイエス様が与えられることを予告するのですが、では、その救い主のイエス様はどのようにしてこの世に出現するのでしょう。あるときに、天から雲に乗り、栄光に輝く姿で、この世に出現するのでしょうか。いいえ、違います。ひとりの子どもとして、また、ひとりの息子として生まれてくるのです。それが、よく知られたイザヤ書9章5節です。

イザヤ書9章5節の「ひとりのみどりご」とは、もともとのヘブル語の言い方は、「ひとりの子ども」という言い方で、将来、マリアの子どもとして生まれてくる救い主のイエス様を予告しています。また、「ひとりの男の子」という言い方は、もともとのヘブル語では、「ひとりの息子」という言い方で、この言い方も、将来、マリアの息子として生まれてくる救い主のイエス様を予告しています。

そして、マリアから、「ひとりの子ども」として、また、「ひとりの息子」として生まれてくる仕方は、どのような仕方かと言いますと、処女降誕と言われる仕方で、世界の歴史において、ただ1回だけの特別な仕方であることが、既に、この同じイザヤ書の少し前の7章14節で教えられていました。

少し前のイザヤ書7章14節を見ますと、「見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み・・・」と言われていて、救い主のイエス様が生まれる方法は、男性と女性の交流でなく、神の霊、聖霊、御霊の働きにより、男性と関係なしに、女性からだけで生まれる、世界の歴史において、ただ1回の特別な仕方であることも、既に予告されていました。

救い主が、通常の男性と女性の交流から生まれてくるのであれば、救い主もわたしたちと同じ生まれつきの罪人として生まれてくることになり、わたしたちの罪を身代わりに担うことはできません。自らの罪が、神に裁かれ、審判されてしまい、他の人を救うどころではありません。罪無くして生まれてくるお方だけが、わたしたち人間の罪を身代わりに担い、十字架にかかって、わたしたちの身代わりに神から裁かれて、わたしたちの罪を赦すことがおできになるのです。

それゆえ、わたしたちは、聖書が、イエス様は男性と関係なしに、聖霊の働きにより、おとめマリアから生まれたと記すとき、そんなことはあり得ないと言うのでなく、そのような方法を取られたのは、あなたの罪とわたしの罪を身代わりに担うための特別な方法であったことを理解し、心から感謝することが大切です。

ですから、救い主のイエス様は、男性と関係なしに、おとめマリアから、聖霊の働きによって、「ひとりの子ども」として、また、「ひとりの息子」として生まれてくるのです。この方法は、処女降誕と言われ、救い主が、罪を取らないで、この世に生まれてくるための、世界の歴史においてただ1回だけの特別な方法として生じます。

 そして、さらに、この9章5節を見ますと、救い主のイエス様がおとめマリアから生まれるのは、遠い未来のことで、旧約時代のイザヤの時代から7百数十年後であるにもかかわらず、救い主のイエス様がおとめマリアから生まれるのは、絶対確実なので、預言者イザヤは、もう過去に生まれたかのように、平気で、「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちのために与えられた」と過去形で、実に力強く権威をもって予告しています。

 わたしたち人間のすることに絶対はないのだなどとよく言われます。確かにそうです。でも、全聖書の冒頭、旧約聖書の創世記1章1節で、「初めに、神は天地を創造された」と権威をもって大宣言されていますように、天と地とその中にある一切のものを無から創造された主権者なる偉大な神のなさることは、絶対間違いなく、歴史の中に生じるので、7百数十年後の遠い未来のことであっても、「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちのために与えられた」と、預言者イザアは、平気で過去形で予告できたのです。

そして、「ひとりのみどりご」、「ひとりの男の子」が、マリアから生まれてくる目的は、「わたしたちのために」、すなわち、「わたしたちの救いのため」なのです。「わたしたちのために」とは、罪人であるわたしたち人間の救いのためにという意味です。

2.救い主のイエス様は、本来、永遠的な神です

こうして、救い主は、「ひとりのみどりご」、「ひとりの男の子」としてマリアから生まれてきます。しかし、だからといって、救い主のイエス様は、イスラエルのどこにでもいる普通の「ひとりの子ども」、また、普通の「ひとりの息子」と同じと思ってはなりません。なぜなら、確かに、「ひとりの子ども」、「ひとりの息子」として生まれてきます。しかし、救い主のイエス様は、本来、もともと、永遠的な神であるお方で、偉大な権威をもっています。それゆえ、偉大な権威をもった救い主のイエス様は、永遠の神でなければもち得ない4つの名称でも呼ばれるお方であることを預言者イザヤははっきり教えます。

すなわち、神としての驚くべき知恵をもって人間のどんな難しい問題をも解決して、導くことができるので、「驚くべき指導者」、すなわち、「素晴らしいカウンセラー」と呼ばれます。9章5節に、「驚くべき指導者」とありますが、もともとのヘブル語の言い方は、「驚くべき素晴らしい助言者」という意味です。そこで、英語の聖書では、「ワンダフル・コウンセラー」となっています。

「カウンセラー」という言葉は、日本でも定着して、いろいろなカウンセラーがいますが、カウンセラーというのは、人々のいろいろな相談に乗って、よき助言を与えて、問題を解説する人のことですが、救い主のイエス様は、神としての驚くべき知恵をもっていて、わたしたち人間のどんな難しい問題にもよき助言を与えて、解決してくださるお方ですので、「驚くべき指導者」すなわち、「驚くべき素晴らしい助言者」、「ワンダフル・コウンセラー」と言われます。

また、「ひとりの子ども」、「ひとりの息子」として生まれてくる救い主のイエス様は、神としての全能の偉大な力があって、どんな人でも救済できますので、「力ある神」と呼ばれます。救い主のイエス様が救済できない人はいないのです。わたしたちがどんな困難にあっても、救い主のイエス様は、その困難からわたしたちを助け出し、救済することができるお方ですので、安心して、信頼することができます。

また、「ひとりの子ども」、「ひとりの息子」として生まれてくる救い主のイエス様は、慈愛深い父親のように、どんなに傷つき、どんなに悩める人でも、まるで可愛いわが子のようにして、わたしたちをやさしく慰め、励まし、いつくしんで、わたしたちが希望をもって明るい人生を歩めるように、昨日も、今日も、明日も、そして、永遠によい配慮をしてくださるお方なので、「永遠の父」と呼ばれます。わたしたちは決してひとりぼっち、孤独ではないのです。慈愛深い父親のような救い主のイエス様が常にともにいてくださるのです。

また、その「ひとりの子ども」、「ひとりの息子」として生まれてくる救い主のイエス様は、人々に真の平和と平安を惜しみなく与えて、イスラエルのダビデ王のように、よい支配をするので「平和の君」、すなわち、「平和の支配者」と呼ばれます。「平和の君」の「君」というのは、「支配者」という意味です。英語の聖書を見ますと、「平和の君」は、プリンス・オブ・ピースとなっています。「平和の君」、プリンス・オブ・ピースとは、何と素晴らしい名称でしょう。「平和の君」、プリンス・オブ・ピースであるイエス様が共にいてくだると聞いただけでも、心が平安になり、安らかになります。

ですから、救い主のイエス様は、確かに、「ひとりのみどりご」、また、「ひとりの男の子」として生まれてきます。しかし、だからといって、イスラエルのどこにでもいる単なる普通の人間の子ども、単なる普通の男の子と決して思ってはなりません。救い主のイエス様は、永遠の偉大な神としての驚くべき知恵をもっていてどんな難しい人間の問題をも解決して、よい人生に導くことができ、また、神としての全能の偉大な力があって、どんな逆境にある人をも必ず救い出すことができ、また、慈愛深い父親のように、どんな苦しみにある人をもやさしく慰め、励まし、いやして、その人が喜んで、希望をもって生きられるようにでき、また、イスラエルのダビデ王のように、人々に平和と平安を与えて、くつろがせることがおできになる本当に偉大な神なのです。

このような救い主が、人間の常識と思いを超えて、不思議なことに、歴史の中に本当に生まれて、わたしたちと共にいて、一緒に大切な人生を歩んでくださるのですから、わたしたちは必ず幸せになれるのです。わたしたちは、救い主のイエス様との心満たされるまじわりの中で、日々喜んで、平和と平安のある真の人生を歩みたいと思います。

2.キリストによる救いを推進してくださる神の熱心に感謝しましょう

 さて、以上のようにして、聖霊の働きを受けて、力強く確信に満ちて語った預言者イザヤによる救い主イエス様の誕生の予告を見ます。救い主のイエス様が誕生することにより、罪により暗くなっている人類のこの世界をこうこうと明るく照らす救いの光が輝き、救い主イエス様を信じる人々は、恵みによりすべての罪を赦され、救われて、目に見えない神の国に入れられ、平和と平安が与えられますが、では、どうしてこんな素晴らしいことが、歴史の中に本当に生じるのでしょう。

誰か人間が、この計画を推進しようとして、一生懸命やるからでしょうか。いいえ、違います。それは、神御自身です。神が、わたしたち、惨めな罪人である人類をなお大きな無償の愛で愛してくださって、わたしたち人類が、罪から救われ、神の国に入れられて、喜んで真に幸せな人生を歩めるように、神御自身が救い主イエス様の出現を熱意をもって積極的に推進してくださるからです。

 9章6節の最後の一文、「万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。」がそうです。「万軍の主」というのは、天使の大軍団を率いた万物の支配者なる神という意味で、偉大さ測りしれない天の父なる神を意味します。そして、「万軍の主の熱意がこれを成し遂げる」の「これ」というのは、救い主のイエス様が出現して、わたしたちの罪が赦され、救われて、神の国に入れられ、いろいろな豊かな恵みを受けることと意味しています。

すなわち、救い主のイエス様が、「ひとりのみどりご」、また、「ひとりの男の子」として生まれてくることにより、イスラエルの人々、そして、さらに、世界の人々、また、日本のわたしたちが救いと祝福と永遠の生命を恵みとして受け、希望に胸を膨らませ、喜んでよい人生を歩めるようになりますが、これは、神御自身が自ら積極的に、「熱意」、すなわち、熱心をもって推進してくださるので、実現成就していくという意味です。何と力強いことでしょう。何とありがたいことでしょう。天の父なる神御自身が自ら「熱意」、すなわち、熱心をもって推進してくださるのです。

 この最後の一文には、思い出があります。わたしが、まだ、信仰をもって数年しか経たないときでした。今は、ロンドンで日本人伝道をしている盛永進先生から、クリスマスのとき、東京の花小金井教会で、この箇所の説教を聞きました。先生は、この最後の一文の「万軍の主の熱意がこれを成し遂げる」というのがいいでしょうと言うのです。救い主イエス様の出現による救いは、神が自ら熱意をもって、すなわち、神御自身が熱心に積極的に推進してくださるので、実現していくと言われている。これはすばらしいでしょうと、説教していたのを、この箇所を読むたびに思い出します。

 本当にそうです。実は、「万軍の主の熱意がこれを成し遂げる」とう文章は、もともとのヘブル語の語順は、「熱意、主の、万軍の、成し遂げる、これを」という語順で、「熱意」という言葉が文の先頭に来て、意識的に目立つようにされています。ですから、その意味を込めて訳せば、「万軍の主の熱意こそがこれを成し遂げる」と、「熱意」を強調したらわかりやすいでしょう。

神は、「万軍の主」と言われるように、天使の大軍団を率いた万物の支配者なる偉大な天の神です。しかし、だからといって、地上のちっぽけな、しかも、真っ黒な罪人であるわたしたち人間など無関係と思っているのではないのです。わたしたち人間が勝手に罪を犯して、罪人になったのだから、人間なんか放っておけばいいのだ。人間なんかどうなっても構いやしない、人間なんかもう知らないというのではなく、罪人になったわたしたち人間をなおも無償の大きな愛で愛してくださって、神の子にして救い主のイエス様出現による救いの御計画を「熱意」をもって立ててくださり、そして、「熱意」をもって、自らその救いの御計画を歴史の中で積極的に推進してくださるのです。

それゆえ、後に、救い主のイエス様が「ひとりのみどりご」、「ひとりの男の子」として、マリアから、身を低くして馬小屋で本当に生まれるのです。そして、イエス様は、成人したとき、わたしたち人間の罪を身代わりに背負い、エルサレム郊外のゴルコタの丘で十字架につき、本来わたしたちが受けるベき天に父なる神による審判を身代わりに受けて、苦しみ、死んで、葬られ、3日目に、よみがえることにより、死に勝利して、救いの道を開き、このイエス様を救い主と信じる人は、だれでも、恵みにより、救いと祝福と永遠の生命を受け、希望に胸を膨らませ、死に対する勝利の人生を喜んで歩めるようにしてくださったのです。そのようにしてくださったのは、「万軍の主」である天の神御自身の「熱意」、すなわち、熱心です。天の神御自身が、自ら積極的に熱意をもって、すなわち、熱心をもって推進してくだったので救い主イエス様の出現とその救い主イエス様による救いが、世界の歴史の中に本当に実現成就し、わたしたち罪人が救われるのです。それゆえ、わたしたちは、大喜びして、心から感謝できます。これ以上に感謝できるものはありません。

結び

 以上のようにして、預言者イザヤによる救い主のイエス様の誕生の予告を見ます。わたしたちを罪から解放して救い、救いの喜びと平安を与えるため、マリアから、本当に「ひとりのみどりご」、「ひとりの男の子」として、身を低くして馬小屋で生まれてくださった救い主のイエス様、そして、その御計画を立てて、自ら熱意をもって推進してくださった天の父なる神、そして、そのすばらしいご計画による救いをわたしたち一人ひとりの所有にしてくだる聖霊なる神の三位一体の真の神を、今宵、心から賛美したいと思います。

解題
 この説教は、わたしが、2011年12月23日の岡山教会のキャンドル・サービスで説教したものです。


                       


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