| 第３４節 霊的世界 ２６０：物質的世界と霊的世界 聖書によれば、創造は、霊的な領域と物質的な領域に、天と地に、「天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないもの」（コロサイ１：１６）に分けられる（Naar
de Heilige Scrift valt de schepping uiteen in eene geestlijke en eene stoffelijke
wereld,in hemel en aarde, τα ?ν τοι? ο?ρανοι? και ?πι τη? γη?、τα ?ορατα
και τα ?ρατα）。そのような霊的領域の存在は、すべての宗教に認められる。実際の神々を除いて、さまざまな半神や英雄、悪霊、精霊、霊、霊魂などが宗教的礼拝の対象となってきた。特にゾロアスター教の一派のパルシー教(Parzisme)において、天使の教理における精力的な発展があった。パルシー教においては、暗闇の神のアヒリマン（Ahiriman）がデワス（Dewa’s）と呼ばれる多くの悪い天使たちに囲まれているように、ヤザダ（Jazada）と呼ばれる多くの善い天使たちが、光の神のアフラマツダ（Ahuramazda）を囲んでいた。キュンネン（Kuenen)によれば、多くの他の学者たちと同様に、ユダヤ人たちは、バビロン捕囚以後、彼らの天使観をペルシャ人たちから得た。しかし、この仮説はひどく誇張されている。第一に、キュンネンでさえも、よりすぐれた存在の実在と活動は捕囚以前の古代のイスラエルにあったことを認めている。第二に、経典的書物における天使論とユダヤの民間宗教の間には大きな違いがある。最後に、ユダヤ教とパルシー教の間の関係性についてはなお多くの不確かさがあり、ジェームス・ダルムステッター（James
Darmesteter）は、ゼンダヴェスタ（Zendavesta）（１８９３年）についての彼の著作において、その支配的な理論に反対して、天使についてのペルシャの教理は逆にユダヤ教から得たと主張した。確かに、この意見は、あまり受け入れられなかったが、しかし、わずか数年後に、シューラー（Sch?rer）がなお書くことができた。「特にパルシー教の影響についての注意深い詳細な研究はまだ今までに終わってはいない。学者たちは、この影響の範囲を相対的に小さな程度におそらく縮小しなければならないであろう」（シューラー「イエス・キリスト時代におけるユダヤ民族史」Ⅱ １８９８年 ３５０頁、参照 さらにエリク・スタブ「パルシー教のユダヤ教への影響について」 ハーレム １８９８年、リンドナー「論文：パルシー教」プロテスタント神学と教会のための百科事典第３版 ⅩⅣ ６９９頁－７０５頁」。しかし、使徒言行録２３：８によれば、天使の存在は、サドカイ派によって否定され、彼らはそれゆえモーセ五書における天使の出現は瞬間的な神現と考えた。ヨセフス（Josephus）は、幾つかの天使の出現に言及しないままに残し、それらの幾つかのものを自然的に説明しようとする。ユスチヌス（Justinus）によれば、天使たちは、幾人かによって神の存在からの一時的な流失（tijdelijke
emanaties）と主張された。後の時代になって、天使たちの存在は、デーヴッド・ジョリス（David Joris）の従者たちによって、リベルテンの人々(Libertijnes)によって、スピノザ（Spinoza）によって、ホッブス(Hobbes)によって否定され、彼らは、天使たちを神の啓示と働きと単純に見なした。バルターザル・ベッカー（Balthazar Bekker）は、彼の「魅惑の世界」（Betoverde
Werelt）において、そこまでは行かなかったが、天使たちの活動を制限し、多くの場合に、天使たちは人間であると考え、スピノザと同様に、彼は天使の教理において、キリストと弟子たちは自分自身を自分たちの同時代の人々の信念に合わせたと教えた。ライプニッツ(Leibniz)、ヴォルフ（Wolff）、ボネット（Bonnet）、ユーラー（Euler）と超自然主義者たちは、天使たちの存在を特に合理的な根拠において主張し、人間から始まって、被造物の上昇する尺度においては上向きにも下向きにも空虚な形態（vacuum
formatum）はあり得ないと断言する。カント（Kant）でさえも、人間以外にも思考する存在（andere denkende wesens）があることを閉め出したりしなかった。１９世紀が人間と動物の間の区別を消去したように、１８世紀は天使たちと人間の間の区別を消去した。たとえば、スエデンボルグ（Swedenborg）は、天使たち自身から、彼らが本来的に人間であったこと、人間の内面的核は天使であり、そして、人間は天使的になるように定められていることを学んだと。 しかしながら、近代神学においては、天使たちについてはごくわずかしか残されていない。ヴェグシャイダー（Wegscheider）などの合理主義者たちは、天使たちの存在を否定しなかったが、彼らの現れを否定する。マルハイネケ（Marheineke）は、彼の教義学の第２版において、天使たちについての部分を省略した。シュトラウス（Strausz）は、近代の世界観は天使たちから彼らの住むべき場所を奪ったと描いた。世界における物質の塊と精神のより大きな量とバランスを取るという願望で、天使たちは自分たちの存在を民話（volks-sagen）においてのみ負う。リプシウス（Lipsius）の考えにおいては、天使たちは「神の摂理の活発な働きの絵画的な例証であり、また、宗教的象徴の領域にのみ属す」（bildliche
Veranchaulichung des lebendigen Wirkens der gottlichen Vorsehung en hooren
allen thuis in de religieuze symboliek）(「福音主義的?プロテスタント的教義学教本」Braunschwieg: C.A.Scwetschke、１８９３年 ５１８節以下、A.E.ビーダーマン、「キリスト教教義学」第２版 ベルルン ライマー １８８４年－１８８５年 Ⅱ.５５０頁以下）。シュライエルマッハー（Schleiermacher）も、彼は天使たちの存在の可能性を締め出したりはしなかったが、キリストと弟子たちは天使たちについて積極的なことは何も教えなかったと判断した。彼らは自分たち自身を流行していた想像に合わせ、そして、わたしたちが妖精と小妖精にするように、天使たちについて語ったのであり、天使たちはわたしたちに対する神学的なあるいは宗教的な意義を持っていなかったと判断した。さらに、天使たちの存在を支持していた人々は天使たちの性質を頻繁に変えた。たとえば、シェリング（Schelling）は、善き天使たちは可能性と考えたが、堕落のゆえに現実のものとならず、今や、個人や人々の観念や力にすぎないと考えた。他の人々は、天使たちを諸惑星の住人たちに変えた。早い段階において－それはクセノポン（Xenophanes）と禁欲主義者たちのある人たちにおいて既に起こるが－わたしたちは、諸惑星には人々が住んでいるという意見に出会う。近代の天文学が地球中心的立場（het
geocentrische standpunt）を捨て、宇宙の驚異的な空間の漠然とした概念を得て、地球以外の諸惑星にも人が住んでいるという考えは、デカルト（Cartesius）、ウイッチウス(Wittichius)、アリンガ(Allinga)、ウィルキンス(Wilkins)、ハーヴェイ(Harvey)、ライプニッツ(Leipniz)、ヴォルフ(Wolff)、ボネット(Bonnet)、カント(Kant)、ラインハルト(Reinhardt)、ブレトシュナイダー(Bretschneider)、スエデンボルグ(Swedenborg)と共に再び受け入れているし、また、現代にも他の多くの人々がいる。何人かの神学者たちは、この見解を惑星の住人たちが天使たちであるとの考えと結びつけた。加えて、物質主義への反対において、１９世紀の中頃、降霊術（het
spiritism）の形態において反応が起き、それは故人の霊の存在を認識するだけでなく、彼らとの地上の人間のコミュニケーションの可能性も認める。センセーショナルな降霊術と豊富な文献によって、交霊は何千人もの支持者たちを得たのである。 哲学的には、天使たちの存在は証明できない（Het bestaan der engelen is wijsgeerig niet te bewijzen）。人間から始まって上に向かってまた下に向かっての存在の尺度というライプニッツの論拠は、あらゆる種類の被造物がいなければならないが、空虚な形態（vacuum
formarum）や自然の跳躍があってはならない。何故なら、それは創造主と被造物の間の区別を消し去り、グノーシス的汎神論につながるからである。しかしながら、ましてや哲学は、わたしたち自身が霊的存在（psychische
wesens）であり、そして、霊魂の命、死後も続いていきさえもする命を新陳代謝から説明できない限り－また霊的世界の存在(eene geestelijke
wereld)は理性の議論や経験の事実と矛盾しない限り、そのような存在の可能性に反対する議論を進めることができない。ライプニッツとヴォルフだけでなくシュライエルマッハーとカントも、その可能性を十分認めた。そのような霊的世界の信仰の不変性（De
algemeenheid van het geloof aan zulk eene geestlijke wereld）は、さらに、そのような承認に内在する何か他のもの、気まぐれや偶然以上の何かがあることを証明している。天使たちの世界は、創造における物質の量に対する代償であるというシュトラウス（Strausz）の考察は、唯物論的世界観は人間の心に満足を与えないことの承認を意味するが、天使信仰の説明としては不十分である。その目的への不十分なことは、人間は、善と悪の間に置かれて、２つの方向に象徴的なタイプを造り、こうして、悪魔と同様に天使の理念に到達したというダウブ（Daub）の推論も不十分である。霊的世界の信仰は、哲学的でなく、性質において宗教的である。それは啓示と奇跡に密接に結びついている。宗教は啓示を離れては認識不能であり、啓示はこの目に見える世界を超えるまたその背後の霊的世界の存在から離れて生じることはあり得ない。霊的世界は目に見える世界と結びついている。すべての宗教において、天使たちは、宗教と倫理自体における要素ではなく、むしろ、その上に人生が築かれている啓示においてである。宗教の最も深い原因は目に見えるものの輪の内にあるのではないというまさにその信仰は、宗教の事実に与えられている。善と悪、両方が宗教的で倫理的な意味において、わたしたちの感覚に現れる世界とは別の世界に根ざしている。天使信仰は、その別の世界に表現を与える。それは宗教の本質と中心を構成するものではないが、天使信仰はそれと結びついている。神の超越性、啓示と奇跡、宗教の本質－このすべてが自動的に霊的存在への信仰をもたらす。わたしたちの感覚の現存する世界は、人間を満足させない。何度も何度も、わたしたちはこの世界よりも豊かである別の世界に渇く。それに対する反応により、唯物論は精神主義（spiritualisme）を呼び起こす。しかし、この精神主義（spiritualisme）が今日多くの人々の人生において自らを現わす降霊術（spiritism）は、迷信の新しい形態以外の何ものでもない。その根底にある何かのリアリテーがあることを証明するのは、難しい。というのは、降霊術（spiritisme）の歴史は、すべての欺きと暴露に満ちているだけでなく、現れると言われる霊が本当に彼らが主張する本人であることをチェックするすべがない。それゆえ、降霊術（spiritisme）が訴える不思議で驚くべき現象と降霊術（spiritisme）がそれらの現象に対して与える説明の間に常に大きな違いが残る。これらの多くの現象は、心理学によって適切に説明され得る。しかし、残されたことについて、彼らは死んだ人間の働きに帰せられねばならないかどうか、あるいは、悪霊たちの働きか、自然の隠れた諸力の働きかどうかは、絶対的には確かではない。ひとつのことが確かである。多くの場合に、降霊術（spiritisme）が、その実践者たちの精神的および肉体的健康に非常に有害な効果を持ち、また、それは聖書によって禁止されている道（申命記１８：１１以下）に従うことである。この世界とあの世界の間には人間が橋渡しできないギャップがある。もし彼らが、それにもかかわらず、それを渡ろうと試みるならば、彼らは迷信に陥り、そして、彼らが思いついたまさにその霊たちの餌食になる。墓のこちら側の世界と他の世界の間には、人間が尊ばねばならない(eerbiedigen)境界（eene
grens）がまさにあるように、わたしたち人間は、ここ地上では、他の諸惑星で起こることについては知識も持たない。コペルニクス的世界観の影響下に、ある人々は、地球は宇宙にとってその中心的な意義を失ったと考え、有機的で知的だけでなく、超人的な被造物も他の諸惑星に住まわせることに喜びを感じた。しかし、他の人々は、今や、これらの幻想的な思弁から引き返しつつある。数年前に、よく知られた英国の科学者のアルフレッド・R・ウォレス（Alfred
R.Wallace）は、居住可能な惑星はないことを証明した。彼は、自分の根拠を哲学的な推論に基礎づけず、最近の天文学、物理学、化学、生物学によって発展させられた事実に基礎づけ、そして、これらの事実は諸惑星の居住可能性についてわたしたちに語ることについての疑問を単純に提起し、そして、もし彼らがいずれかの方法で絶対的な証拠を出せないならば、彼らが示唆することは最大の可能性である。今や、幾つかの分析が、目に見える宇宙は地球と同じ化学的構成要素から成立し、同じ自然法則がどこにも行き渡り、そして、それゆえ、生命的存在の展開が同じ宇宙的法則に拘束されている。生命的存在は、それら自身の間において異なるが、それにもかかわらず、共通に持っていて、すべてが窒素、酸素、水素、炭素、適度な温度、昼と夜の交替を必要とする。諸惑星が生命的存在によって居住可能と考えられる前に、数えきれない条件が、それゆえ、満たされねばならない。 今や、ワラスは、これらの条件が如何に地球においてのみ満たされるかをかなりの長さで証明する。月は水も空気もないから居住可能ではない。太陽はガス体だから居住可能ではない。木星、土星、天王星、海王星はなお沸騰状態なので居住可能ではない。彗星と火星は回転しないし、また、それゆえ、半球においては絶えられなく暑く、他の半球においては絶えられなく寒いので居住可能ではない。これは火星だけを残す。この惑星は、実際、昼と夜、夏と冬、よい天候と悪い天候、霧と雪を持ちが、しかし、大気は地球の海抜１２，５００メートルと同じように薄く、水は乏しく、海はおそらく存在しない。金星は、厳密には居住不可能ではないが、そこでの条件は生命的存在にはほとんど好ましくないと考えられている。確かに、わたしたちの太陽系の外には、さらに多くの暗い星と明るい星があるが、しかし、それらに関して、それらが有機的生命が可能である条件を満たすことは証明することもできない。ワラスは、こうして、地球は高度に特権のある天体（een
hoogste bevoorrecht hemellichaam）であるという結論に来る。彼によれば、星の世界はその全体性において無限に大きくはなく、むしろ、球の形をしており、中央が最も厚い天の川という帯に囲まれているため、球と一緒になって回転楕円体（eene
spheroide）を形成する。その天の川においては、なお嵐と混乱があるが、しかし、その球体に中には物事は静かで、地峡を居住可能にし、生命的存在、特に人間を可能にする条件が優勢である。仮にたとえ、星の世界がその全体性において、統一性を構成しないとしても、カプタイン教授（Prof.Kaptein）が主張するように、恒星系の２つの異なる宇宙（twee
universes of steller systems）があるか、あるいは、星の現在の居住不可能性はより早い時代にあるいは遅い時代における居住可能性を排除しないとしても、それにもかかわらずこのことは確かである、すなわち、地球以外の諸惑星における生命的で理性的な存在の実在の信仰は、まったく推測の域に属し、また、今日の科学によって確証されるよりは矛盾しているのである。 科学のこの発表の結果、天使たちの教理は、聖書がわたしたちに提示しているように、価値と意義において真実である。哲学的には、それに反対して進むことができるものは何もない。人間以外のより高度な理性的存在の実在についての考えは、それに反対するよりもより優位である。宗教においては、そのようなより高い存在の信仰は、偶然的な構成要素以上のものである。そして、この信仰を含む啓示は、リアリテーと活力を得る。しかし、種々の宗教と降霊術的理論において、天使たちの教理は歪められ、神と彼の被造物の間の境界も消し去られ、啓示と宗教の区別が否定されるが、とはいえ聖書においては、この教理は神から彼の栄誉を奪わず、宗教の純粋性を残す仕方で、再び表面に出る。クリスチャンにとって、聖書における啓示は、天使信仰の確かな基礎でもある。より早い時代においては、人々はよい天使たちと特に悪い天使たちの存在を、すなわち、奇跡、出現、幽霊、悪霊に疲れた人々などから歴史的に証明しようとした。しかし、これらの証拠は、理性に基礎づけられた証拠よりも説得力がなかった。他方、聖書においては、天使たちの存在は非常に明白に教えられている。スピノザとシュライエルマッハーは、確かに、キリストと使徒たちは、民間信仰に合わせる姿勢から天使たちについて語り、彼ら自身は天使たちについて積極的なことは何も教えなかったと、その教えに反対して進んだ。しかし、イエスと使徒たち自身が彼らの天使信仰を公にかつ繰り返し表明した、たとえば、マタイ１１：１０、１３：３９、１６：２７、１８：１０、２４：３６、２６：５３、ルカ２０：３６、コリント一６：３、ヘブライ１２：２２、ペトロ一１：１２など。わたしたちが小妖精と妖精を語るとき、誰もがこれは比喩的であることを意味していることを知っているが、しかし、イエスの時代においては、天使信仰は普遍的であった。イエスと使徒たちが天使について語るとき、聞こえる範囲にいた誰もが、彼らは自分たちが天使たちを信じていると考えたに違いない。わたしたちの天使信仰の究極的な根拠は、それゆえ、啓示にもある。そのようなものとしての経験の対象は、この主題について何かをわたしたちに教えることではない。真の信仰の対象は、キリストにおける恵みである。天使たちは、わたしたちの宗教生活において諸要素ではないし、また天使たちはわたしたちの信頼やわたしたちの礼拝の対象ではない。聖書のどこにもそのような対象はないし、また、それゆえ、天使たちはわたしたちにとってそれらであってはならない。プロテスタントの告白において、それゆえ、天使たちについての言及は非常に少ない。特に改革派はこの結びつきにおいて、過剰よりは、欠陥において罪を犯す傾向があった。ローマ・カトリシズムにおいては、類比が非常に大きな場所を占めるが、しかし、その主題が宗教を歪めもし、神の栄光を曖昧にもする。要するに、天使たちはわたしたちの宗教において、啓示の歴史において、それにもかかわらず、大きな意義があり、また、特にこの事実から天使たちは彼らの価値を宗教生活に対して得るのである。 ２６２：聖書における天使たち わたしたちがより高い霊的存在の全体の階級を通常、包含する「天使」という名称は、彼らの性質から派生した名称（nomen naturae）ではなく、彼らの職務から派生した名称(nomen
officii)である。ヘブライ語の????（マルアーキィ）は、単純に「使者」（bode）、「特使」(gezant)を意味し、また、他の人から遣わされた人、ヨブ１：１４、サムエル上１１：３など、あるいは、神から遣わされた人をも意味することができる、ハガイ１：１３、マラキ２：７、３：１。同じことが?γγελο?（アンゲロス）についても言え、それは繰り返し人間を示すのに遣われる、マタイ１１：１０、マルコ：１：２、ルカ７：２４、２７、９：５２、ガラテヤ４：１４、ヤコブ２：２５。幾つかのオランダ語訳聖書においては、それは誤って「使者」（gezant）の代わりに「天使」(engel)によって再現されている。たとえば、マラキ３：１、黙示録１：２０など。聖書においては、彼らは「神の子ら」（zonen
Gods）としばしば呼ばわれるが、霊的存在の全体の階級を表わす共通の識別名称はない、欽定訳、新改訂標準訳、ヨブ１：６、２：１、３８：７、詩編２９：１、８９：６、「霊」（geesten）列王上２２：１９以下、ヘブライ１：１４、「聖なる者」(heiligen)詩編８９：６、８、ゼカリヤ１４：５、ヨブ５：１、１５：１５、ダニエル８：１３、「見張る者」(wachters)ダニエル４：１３、１７、２３。天使たちには、区別される種類（soorten）と階級(klassen)があり、その各々がそれ自身の名を持っている。天使たちの世界は、物質的な世界のように豊富に多様であり、また、まさに物質的世界のように被造物の幅広い類があり、それにもかかわらず、唯一の全体を形成しているように、霊の世界においてもそうである。聖書において最初に言及されるべきは、ケルビム（cherbijnen）である。創世記３：２４において、彼らは園を守るべき番人として行動する。幕屋と神殿において、彼らは贖いの座に顔を向けて、また、贖いの座を覆う翼をもって描かれている、出エジプト２５：１８以下、３７：８－９、列王記上２８：１８、列王記下３：１３、ヘブライ９：５。彼らの上に主が座している、詩編８０：１、９９：１、イザヤ３７：１６。神が地に降るとき、彼はケルビムに乗るとして表わされている、サムエル下２：１１、詩編１８：１０、１０４：３、イザヤ６６：１５、ヘブライ１：７。エゼキエル１章と１０章において、彼らは「生き物」（????：ハイッヨウス）の名の下に現れ、数において４、人間の形態において、各々４つの翼と４つの顔、すなわち、人間の、獅子の、雄牛の、鷲の顔である。他方、黙示録４：６以下で、４つの生き物（ζωα：ゾウワ）として、各々がひとつの顔と６つの翼を持ち、彼らは神の御座を囲み、昼も夜も「聖なるかな、聖なるかな、聖なるな」と歌う。??????（ケルービーム）という名称は、さまざまに派生しており、ときどきは多く（ヘングステンベルク：Hengstenberg）を意味する?（ケ）と??（ロウブ）から、それから「荷馬車」（wagen）を意味する????から、あるいは、「怖がらせる」(beangstigen)、それゆえ、「怖い存在」(gruwelijke
wesens)を意味する???（アラビヤ語）から派生した。しかし、ほとんど「掴む」(grijpen)、「しっかりつかまっている」(vasthouden)を意味する語幹から派生している（参照：γρυψ:
デリッチ「創世記注解３：２」と「詩編注解：１８：１１」）。しかし、ケルビムの性質については同様に大きな違いがある。ある釈義家たちは、彼らを神秘的存在と考える。他の人々は象徴的な像として考える、さらに他の人々は創造における神の諸力として、あるいは、雷や嵐を表わす元の用語として考える。しかし、創世記３：２４、エゼキエル１章において、また、黙示録４章において、彼らは生命的で人格的な存在として表明されている。彼らにおける人間の形態が支配的でさえもある（エゼキエル１：５）。しかし、彼らは並外れた人間の力と栄光を持つ存在であるため、聖書は象徴的な表現を求めて、彼らの霊的性質の概念をわたしたちに与える。彼らは、虚弱な人間存在において以上により鮮やかに神の力と強さが表現されている「生き物」（ζωα）として描かれている。彼らは、雄牛の力、獅子の威厳、鷲の速さ、そして、この上に人間の知性を持っている。それをもって飛ぶ翼、それをもって園を守る剣は、同じケルビムを指し示す。この表明から、それは欺きではなく象徴的であるが、わたしたちは、天使たちの間においてケルビムは、他の幾つかの被造物よりも高い地位を占める存在であり、神の力、威厳、栄光を示し、彼らはそれゆえエデンの園において、幕屋と神殿において、また、神の地への下降において神の聖さを守る任務を課せられているのである。さらに、イザヤ６章において、?????（セラフィーム）、sarufa(それは高貴であった)というアラビヤ語の語幹からおそらく派生した言葉の言及がある。この個所において、それらは人間の形態において象徴的表現されているが、６つの翼、その２つは顔を覆い、２つは足を覆い、２つは神の命令の速やかな遂行を表わす。ケルビムとの区別において、彼らは、御座に座っておられる王の周囲の僕として仕え、彼の栄光を歌い、彼の命令を待つ。前者は神の聖さを守り、後者は祭壇に仕え、贖いを効果あるものとする。最後に、ダニエルにおいて、わたしたちは、さらに、固有名を持つ天使たちに出会う。ガブリエル（Gabriel）、８：１６、９：２１、とミカエル（Michael）、１０：１３、２１、１２：１である。ファン デン ホネルト（Van
den Honerts）、ブルマン（Burman）、ウイッチウス（Witsius）、ヘングステンベルク（Hengstenberg）、ツァーン（Zahn）その他の多くの以前と後の解釈の見解に反して、彼らは創造された天使たちであり、また、神の子らと同一視されてはならない。 新約聖書によれば、天使たちのさまざまな階級がある。天使ガブリエルはルカ１：１９，２６に現れる。ミカエルはユダ９、黙示録１２：７，テサロニケ一４：１６に現れる。天使たちには、支配（?ρχαι：principalities）と権威（?ξουσιαι:powers）、エフェソ３：１０、コロサイ２：１0、主権（κυριοτητε?:dominion）、エフェソ１：２１、コロサイ１：１６、王座、（θρονοι:thrones）、コロサイ１：１６、勢力（δναμει?:powers）、エフェソ１：２１、ペトロ一３：２２－それらのすべては、天使たちの間における階級と尊厳における区別を指し示す用語である。ヨハネの黙示録において、最終的に、７つの天使たちが売り返し、明白に前面に出て来る、８：２、６、１５：１など。これに加えて、天使たちの数は非常に多い。これは、大群（Tzebaoth:ツバオース：host）、陣営（Mahanaim:マハナイム：camps）、創世記３２：１－２、レギオン（legionen）、マタイ２６：５３、大群(heirleger)、ルカ２：１３、幾千、幾万、申命記３３：２、詩編６８：１６、ダニエル７：１０、ヘブライ１２：１２、ユダ１４、黙示録５：１１、１９：１４を示す。 そのような多くの数は、当然、秩序と階級における区別を求める－人間と違って、なおさら天使たちは家族によって関係していないので、また、それゆえ、なおさら多くの点において似ているからである。したがって、聖書は、天使たちにおいては、階級と身分のあらゆる種類、尊厳と奉仕の、職務と名誉の、階級と種類さえの区別があることを教える。統一性における多様性のこの見事な理念は、ユダヤ人たちとカトリックによる幻想的な尺度において精巧化されていてさえも、廃棄されてはならない。ユダヤ人たちは、天使たちの間にすべての区別を作った。最初に、初期の教会において、人々は、聖書のデータに満足した。アウグスチヌスは、天使たちの社会がどのように組織されているかを知らないとなお主張した。しかし、偽ディオニュシオス（Pseudodionysius）は、彼の「天上のヒエラルキ－」（de
coelesti）と「教会のヒエラルキ－」(de ecclesiastica hierarchia)において、図式的な区分を提供した。創造において、神は、言わば、彼のひとつであることを背後に置き、多様性に入ったという理念から始まって、彼は、すべてのものは神から下降し続けるシリーズにおいて出発し、そして、そのように再び自身に帰ると教える。神は中心であり、被造物は彼の周囲に集まる。ものごとには二重のヒエラルキーがあり、ひとつは天上的であり、他は教会的である。最初のかつ最高の階級は、もっぱら神に仕え、それは神の存在を絶え間なく見るセラピム、神の聖定を熟考するケルビム、彼の判断を讃美する王座(the
thrones)を含む。第２の階級は、目にみえる被造物と目にみえない被造物に仕え、神の意志にしたがって起らねばならない事柄を命ずる主権(the
dominions)、聖定された事柄を遂行する勢力（powers）、その任務を完成する権威（the authorities）を含む。第３の階級は地上、個人と諸民族の両方に仕え、人間の一般的な幸福を促進する支配（the
principaliteis）、特別な国家を導く天使長（the archangels）、また、個人を見守る天使たち(the angels)を含む。天上のヒエラルキーは、教会のヒラルキーの鏡である。その秘儀において（洗礼、聖餐、叙任）、その働きにおいて（司教、祭司、執事）、その信徒において（教理問答受講者、クリスチャン、修道士）。全体としてのこのヒエラルキーは、その起源と頭をキリスト、神の受肉した御子に持ち、その目標を神格化に（in
de deificatie）持つ。天上と地上のヒエラルキーをローマの体系の親密な思想として知られる偽ディオニシオスのこの区分は、肥沃な土壌を見い出し、そして一般的に受け入れられたのである。 今や、聖書は、天使たちの区別と階級を明らかに教えている。ある学者たちは、異なった名前が遣われているが、毎回、異なった角度から見られていて、常に同じ天使たちに言及していると誤って考える。プロテスタント神学においては、この階級が十分に確立されていないことを認めなければならない。それらの何千もの存在において秩序と階級がある。神は、すべての教会において秩序の神である、コリント一１４：３３、４０。霊の領域において、物質的存在と同じくらい豊かで素晴らしい。しかし、ローマ・カトリックの教理の天上的なヒエラルキーは、神の言葉における啓示を遙かに超えている。それゆえ、それはプロテスタントたちによって異口同音に否認されている。同様に、天使たちの数に関するすべての計算は、たとえば、ある天使たちの堕落後、予定された人間（de
praedestinati homines）の数と共に、天使たちの数を補ったというアウグスチヌスの計算のように、または、救われた人々の数は、忠実であり続けた天使たちの数に等しいというグレゴリー（Gregorius）の計算のように、または、天使たちの数を無限と呼んだパリのウィレム（Willem
van Parijs）の計算のように、または、マタイ１８：２０に基づいて、ヒラリー（Hilarius）や他の多くの人々の人間の数と天使たちの数の比率は１：９９という計算のように、または、G.スコット（G.Schott）の天使たちの数を千億と見積もった人の計算のように無益で実りがないものと考えられていた。彼らは、今や、天使たち自身において天使たちが本質と階級において区別化されたかどうかにつての疑問に、あまり興味がなかった。トマスはこれを固く学んだが、しかし、「教会教父たちはほとんどが別の考えであった」（ダマスセネス「正統信仰について」Ⅱ３．ロンバルデゥス「命題集」Ⅱ 第９区分、トマス「神学大全」問１０８、ペタフィウス「天使たちについて」Ⅰ．１４．オスワルド「天使論」５７頁以下）。しかしながら、多くの区別が天使たちの間にあっても、聖書はそれらを論ぜず、わずかの情報しか提供しない。わたしたち人間との関係においては、彼らの多様性よりも彼らの統一性が前面に来る。彼らすべてが霊的性質を持ち、彼らすべてが「仕える霊」（gedienstigen
geesten）と呼ばれ、彼らすべてが神の栄光化に彼らの優先的な活動を見い出すのである。 ２６３ー２６４：天使の性質：統一性：身体性 ２６３. その統一性は、最初に彼らはすべて創造された存在であるという事実にある。シェリングは、善い天使たちは純粋な可能性として
(als zuivere Potenzenals）創造されていないかもしれないと言うかもしれない。しかし、天使たちの創造はコロサイ１：１６において明白に述べられ、また、すべてのものの創造において含まれている、創世記１：１－２：４、詩編３３：６、ネヘミヤ９：６、ヨハネ１：３、ローマ１１：３６、エフェソ３：９、ヘブライ１：２。しかしながら、彼らの創造の時（tijd
hunner schepping）については、確実性をもってはほとんど語ることができない。多くの教父たちは、ヨブ３８：４－７に訴えて、天使たちはすべて他のものの前に創造されたと信じた。ソシニウス主義者たちとレモンストラントたちは同意し、このようにしてロゴスと天使たちの間の区別を弱めた。しかし、この考えは、聖書に支持を持たない。創世記１：１が語る天と地の創造以前には何もない。ヨブ３８：４－７は、星のように、彼らは創造の時に存在したことを実際教えているが、しかし、彼らは創造の初め以前にすでに存在していたのではない。他方、天と地と彼らのすべての大群が完成し、そして、神がすべての仕事を休まれた時、天使たちが第７日目以前に創造されたことは確実である。他のことについては、わたしたちは不確かである。しかしながら、創世記１：１において、地はそのようなものとして創造されたが、しかし、まさしくさらに準備され、飾られねばならなかったように、そのように天も一瞬で完成されたのではなかった。１節の「天」という言葉は、予弁方的（proleptisch）である。啓示の歴史において後にのみそこに意味されていることが明らかになるのである。聖書はときどき雲をもった天(hemel
als wolkenhemel)として語る、創世記１：８、２０、７：１１、マタイ６：２６（英語訳：空：air）:次に、星の天（sterrenhemel）、ダニエル４：１９、詩編８：３、マタイ２４：２９、そして、最後に、神と天使たちの住まいとしての天、詩編１１５：１６、２：４、列王上８：２７、歴代誌下６：１８、マタイ６：１９－２１、ヘブライ４：１４、７：２６、８：１－２、９：２以下などを語る。今や、雲と星の天が、最初に、まさしく６日間でのみ存在するようになったように、３番目の天も住民と共に最初に形成されたことが可能であり、また、あり得たことでさえもある。わたしたちが、霊的世界を多様性において、物質世界よりも十分に完成され、生み出された、また物質世界を遙かに超える存在として考える程度にしたがって、天のための準備の一定の間隔を置くことは、創造の物語はそれについて一言も発していないが。なおさら受け入れられる。 第２に、天使たちの統一性は、彼らはすべて霊的存在であるという事実から明らかである。しかしながら、この主題について、いつの時代も見解の大きな相違があった。ユダヤ人たちは、彼らに、性質において空気のようなあるいは火のような体を帰し、また、この点において、彼らはほとんどの教会教父たちがユダヤ人たちに続いた。第２ニケア会議（７８７年）で、総司教タラシウス（patriach
Tarasius）は、テサロニケのヨハネ（een zekeren Johannes van Thessalonica）によって構成された対話を読んだ、その中の手紙は、天使たちは繊細で洗練された体を持ち、また、それゆえ、描かれるかもしれないと。タラシウスは、彼らは空間的に制限され、人間の形態で現れ、それゆえ描かれることができることを付け加えた。会議は、この見解にその同意を証言した。しかし、次第に、霊と物質の間の線がより鋭く引かれ、多くの著作者たちが天使たちに純粋な霊を帰した。第４ラテラン会議（het
vierde lateraanconcilie）(１２１５年)は、天使たちの性質を霊的と呼び、そして、ほとんどのカトリックとプロテスタントの神学者たちは、この判断に同意した。それにもかかわらず、後に、天使たちの一定の肉体性もときどきカエタヌス（Cajetanus）、ユーグビヌス（Eugubinus）、バネッツ（Bannez）などの、カトリックたちによって、ザンキウス（Zanchius）、フォッシウス（Vossius）のような改革派神学者たち、また、エピスコポス（Episcopius）、フォルスチウス（Vorstius）、プアレ(Poiret)、ベーメ(Bohme)、ライプニッツ(Leibniz)、ヴォルフ(Wolff)、リチャード(Richard)などによって、近代においては、クルツ（Kurz）、ベック（Beck）、ランゲ（Lange）、カーニス（Lahnis）、フィルマー（Virmar）、そして他の人々にもよっても教えられた。この見解の主な理由は、純粋に霊的で、体のない性質の概念は形而上学的に考えられないし、被造物の概念と合わないことである。神は純粋に霊であるが、彼は単一、偏在、永遠的でもある。しかし、天使たちは、時間と空間に束縛されている。もし、彼らが本当にひとつの場所から他の場所に動くならば、彼らは－彼ら自身の仕方で－体を持っている（lichamelijk）。同様に、天使たちは、神のように単一ではなく、物質と形態で構成されている。その理由のゆえに、ある素材であるが、確かに精巧な空気の肉体性（fijne
aetherische lichamelijkheid）が帰せられる。この考察に、創世記６章における神の子らを天使たちと考えられるという釈義が追加された。フィロン（Philo）、ヨセフス（Josephus）、ユダヤ人たち（de
Joden）、７０人訳（de ?ⅩⅩ）のこの釈義が多くの教会教父たちによって取り入れられた。ユスチヌス（Justinus）、アイオレイナス（Irenaeus）、クレメンス（Clemens）、テルトリヌアス（Tertullianus）、ラクタンチウス（Lactantius）、キュプリアヌス（Cyprianus）、アンブロシウス（Ambrosius）なども。またルター（Luther）によっても採用され、そして、近代においては、エヴァルト(Ewald)、バウムガルテン(Baumgarten)、ホフマン(Hofmann)、クルツ(Kurtz)、デリッチ(Delitzsch)、ヘングステンベルグ(Hengstenberg)、ケーラー(Kohler)、キュベル(Kubel)によって再び擁護された。加えて、天使たちの肉体性を論じることにおいて、人々は彼らの出現に、詩編１０４：４、マタイ２２：３０、ルカ２０：３６、コリント一１１：１０のような聖書におけるある特別なテキストに訴える。そして、ときどき星の住人として彼らは肉体的であらねばならないという事実にも訴える。 しかしながら、これらすべての議論に反して、聖書の明白な声明が立つ。天使たちは霊（πνυματα）である、マタイ８：１６、１２：４５、ルカ７：２１、８：２，１１：２６、使徒言行録１９：１２、エフェソ６：１２、ヘブライ１：１４、彼らは結婚をしない、マタイ２２：３０、不死であり、ルカ２０：３５－３６、目に見えない、コロサイ１：１６、制限された空間においてレギオン（legio）であり、ルカ８：３０、霊のように、肉も骨もない、ルカ２４：３９。さらに、創世記６：２における神の子ら（???
???? ???）は天使たちであり、人間ではないという概念は維持できない。この呼称は繰り返して天使たちに用いられているが、ヨブ１：６、２：１、３８：７、それは人間をも非常によく示す、申命記３２：５－６、ホセア１：１０（別表記２：１）、詩編８０：１７（別表記１６）、７３：１５、そして、どの場合も、悪い天使たちには適用されない、彼らは地上において罪を犯したに違いない。さらに、創世記６：２における「妻にした」（???
???）という表現は、常に合法的な結婚に言及して用いられ、不品行には言及しない。最後に、罪の罰は、人間だけに課せられる。というのは、彼らは有罪の当事者であるからであり、天使についての言及はない、創世記６：３、５－７。他の聖書の個所も天使たちの肉体性を証明していない、詩編１０４：４、参照 ヘブライ１：７は、神は、まさに風と火が彼の命令を遂行するのに仕えるように、彼の天使たちを伝令（dienaren）として用いることだけを言っているが、しかし、天使たちが風や火に変えられたことを絶対に言っていない。マタイ２２：３０は、復活後、信者たちは、嫁ぎをしないことで天使たちのようでなく、天使たちの肉体性については何も言っていない。そして、コリント一１１：１０で、教会にいる善い天使たちを不快にさせないために、女は男に従順のしるしとして、教会においては頭を覆うべきであると言うとき、そうでなければ女たちによって誘惑されるであろう悪い天使たちについてここで考える理由はない。天使たちの出現については、まさに象徴的な表現が目に見える形態における天使たちを常に示しているように、彼らは常に目に見える形態で生じることは実際に確かである。しかし、これは彼らの肉体性に有利な何かを意味するのではない。神は霊であり、また、それにもかかわらず御座に座す王としてイザヤ６章において描かれる。キリストは肉において現れるがなお本当に神である。彼らの出現と象徴の両方において、天使たちは絶え間なくさまざまな姿を取っている。創世記３：２４におけるケルビムの表現は、、エゼキエルにおいて、また、黙示録において、契約の箱を超えて異なっている。そして、彼らが出現する形態は決して同一ではない、創世記１８章、士師記６：１１－１２、１３：６、ダニエル１０：５－１１、マタイ２８：２－３、ルカ２：９、黙示録２２：８。これらの体がどのように理解されるかは、別の疑問である。人は、それらが本当の体かあるいは外見的に本当なのかを確実さをもって語ることはできない。 上述されたように、天使たちの肉体性のための最強の証拠は哲学から派生する。しかし、この関連において、誤解の多様性が役割を果たす。もし、肉体性が、天使たちは時間と空間の両方に限定されることだけを意味するならば、そして、すべての属性が本質と同一である神のように単一でないならば、そのとき、ある肉体性が天使たちに帰せられるであろう。しかし、仮に人間や動物の場合以上の洗練された性質であっても、通常、肉体性はある物質性を伴う。そして、その意味において、体を天使たちに帰すことはあり得ないし、あってはならない。物質と霊は相互に排他的である、ルカ２４：３９。その２つを混ぜ合わせ、それらの違いを消し去ることは汎神論的同一性哲学の形態である。聖書は、天と地、天使たちと人間たち、霊的なものと物質的なもの、目にみえないものと目に見えるものの間の区別を常に維持する、コロサイ１：１６。もし、そのとき、天使たちが霊のように認識されるならば、彼らは時間と空間に－より自由に－異なる関係にある。他方、彼らは、神がするようには、空間と時間のすべてを超越しない。というのは、彼らは被造物であり、それゆえ、有限で限定されている。完全に満たされた空間はない（ubi
repletivum）。彼らは偏在や永遠的ではない。また、彼らは、わたしたちの体のように、制限された空間を占めることもない（ubi circumscriptivum）。というのは、天使たちは霊であり、それゆえ、長さや幅の次元を持たない、それゆえ、空間を介した拡張や拡散はない。すなわち、有限で限定された存在として、彼らはいつもどこかにいる。彼らは同時に２つの場所にいることができない。彼らの存在は広範囲ではなく、点である（punctueel）。彼らは、空間的にそのように自由であるので、稲妻の速さで動くことができ、物質的な物体によってさえぎられることがあり得ない。彼らの転座（plaatsverandering）は即時である。もちろん、それにもかかわらず非時間的であり、非空間的である(geen
Zeit-und Raumlosigheid)動きの速さとそのような時間的で空間的な自由（zulk eene Zeit-und Raumfreiheid）は、わたしたちには認識できない。しかし、聖書はそれに言及し、また、思いと想像の、光と電気の速さにおける侮ってはならない類似があるのである。 ２６４． 天使たちの統一性は、さらに、彼らが知性と意志を与えられ、すべて理性的被造物であるという事実において明らかである。これらの能力の両方が善い天使たちにも悪い天使たちにも繰り返し聖書において帰せられている、ヨブ１：６以下、ゼカリヤ３：１以下、マタイ８：２８以下、１８：１０、２４：３６、コリント二１１：３、エフェソ６：１１など。人格的な属性と活動のすべての種類が彼らの存在において起こる、自己意識と弁舌、ルカ１：１９以下、望むこと、ペトロ一１：１２、喜ぶこと、ルカ１５：１０、礼拝すること、ヘブライ１：６、信じること、ヤコブ２：１９、偽ること、ヨハネ８：４４、罪を犯すこと、ヨハネ一３：など。加えて、大きな力が彼らに帰せられている。天使たちは、臆病な存在ではなく、強い勇士たちの軍隊であり、詩編１０３：２０、ルカ１１：１５以下、コロサイ１：１６、エフェソ１：２１、３：１０、テサロニケ二１：７、使徒言行録５：１９、ヘブライ１：１４。この根拠において、シェリングと他の人々と共に、天使たちを属性（eigenschappen）や力(krachten)と見ることは正しくない。なお、天使たちの人格性についてのわたしたちの記述において、聖書の単純性に固執することは望ましい。アウグスチヌスは、天使たちにおける２種類の知識を区別した。ひとつの知識は、言わば、創造の夜明けに彼らが獲得したもの（cognitio
matutina: 朝の知識）で、アプリオリで、神を観照することを通しての知識、もうひとつは、言わば、彼らが創造の夕べに獲得した知識で、アポステリオリで、被造物についての彼らの観想から獲得した知識である。スコラ学者たちは、この区別を採用しただけでなく、その知識の性質と範囲をより厳密に定義しようと試みた。その知識は、神の場合のように、彼らの存在と本質と同一ではない。また彼らの知識は、感覚知覚によって獲得されていない。潜在的な理解力と積極的な理解力の間の区別は、彼らには当てはまらない。理解する彼らの力は、決して純粋な理解力でなく、決して休んでいるのでもなく、常に活動的である。彼らは知らずにいることができない。彼らは彼ら自身を、彼ら自身の存在を、彼ら自身によって、完全にかつ不変的に知っている。彼らは、創造されたものをそれらの外観からでなく、生来的な理念によって知っている。抽象と散漫によってでなく、直感的にかつ知的に知っている。天使たちは彼らの自然の力を通して直ちに知るのではなく、自分自身の存在を通して、同時に彼らに形態を刻印することによって（per
speciem impressam）、それでもなお、善い天使たちが高められた超自然的な秩序の中で、彼らは直接観照することによって知っている。ある者たちは教えもした－天使たちと聖人たちに向けられた祈りを弁護することの益のために－天使たちは、すべてを見る神を見て、すべてを神において見たし、それゆえ、わたしたちの苦しみと必要のすべてを知ったのである。プロテスタントたちは、より注意深く、慎重であることを求める。わたしたち人間が知識に到達する方法において、謎的なものが多くある。それは天使たちについてどれだけ当てはまるであろうか。人は、彼らは、わたしたちがこの地上で与えられるよりもっと豊かに与えられるとだけ言うことができる、マタイ１８：１０、２４：３６。彼らは、知識を彼ら自身の性質から、ヨハネ８：４４、神のみわざを観照することから、エフェソ３：１０、テモテ一３：１６、ペトロ一１：１２、神によって彼らに与えられた啓示から、ダニエル８：１５以下、黙示録１：１、知識を獲得する。それにもかかわらず、彼らは目的に束縛される、エフェソ３：１０、ペトロ一１：１２。彼らは、わたしたちの心の秘密の思いを知らないし、また他の人のも知らない、列王上８：３９、詩編１３９：２、４、使徒言行録１：２４、その結果、彼ら自身において、彼らは彼らが思うことのコミュニケーションのために言語を必要とする、コリント一１３：１、また、一般に言葉と歌において、彼ら自身の方法で、彼ら自身の性質に一致して、神を讃美することができる。彼らは、未来を知らないし、未来の不測の事態（de
futura contingentia）も知らないが、しかし、推測することだけができる、イザヤ４１：２２－２３。彼らは、審判の日を知らない、マルコ１３：３２。彼らの知識は増加可能である、エフェソ３：１０。これに、わたしたちは、天使たちの知識と力は彼ら自身の間で大きく違うことを確実に付け加える。この点において、多様性と秩序がある。幾つかの天使の名から、それは聖書において起り、わたしたちは、天使たちは区別される階級のメンバーだけでなく、人格としても区別されることを推測さえしてよい。そのようなものとしての各天使は、どの天使も特殊な種を構成するという幾人かのスコラ学者たちの見解を拒否しなければならないとしても、それ自身の個性を持つ。 最後に、天使たちは、彼らはすべて道徳的存在であるという事実において統一されている。これは、真理に留まらない悪い天使たちからもと同様に、善い天使たちから明らかであり、彼らは神に昼夜仕える。それは、創造のみわざの終わりに、「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった」と証言されているだけである。ヨハネ８：４４、ユダ６，ペトロ二２：４において、さらに、すべての天使たちの完全性の最初の状態が推定される。同じ見解が、聖書の有神論によって要求され、それはすべてのマニ教をまったく排除する。しかしながら、想像と推論は簡単な遊びをした。何故なら、厳密には聖書はそのようにほとんど啓示していない。アウグスチヌスは、彼らの創造のまさに瞬間に天使たちのある者たちは堕落し、他は立ち続けたことを信じた。それゆえ、神は後者に彼らの本性と共に堅忍の恵みを与えたのである、同時に彼らの性質を構成し、また惜しみない恵みを与えた（de
genade der perseverantie,simul eis et condens naturam et largiens gratiam）（「神の国」ⅩⅡ
9、参照 「叱責と恵みについて」Ⅱ ３２頁）。この見解について、スコラ主義は、後に、天使たちの場合においても、追加された賜物（de dona
superaddita）の教理に訴えた。ボナヴェントゥーラ（Bonaventura）、ハレシウス（Halesius）、ロンバルデゥス（Lombardus）、スコートゥス（Scotus）などによれば、天使たちは最初しばらくの間、純粋な霊として存在し、その後、実際の恵みの助力（het
auxilium gratiae axtualis）を受けた。しかし、トマス（Thomas）は、他の人々と共に性質と恵みの間の区別は論理的にのみ理解されることであり、また、立ち続ける恵みは異なった天使たちにもさまざまな程度で与えられたと信じた。その恵みによって備えられ、天使たちは、神を観照することにある至高で認めがたい祝福に値することができた。人間についての個所において、追加された賜物の教理は、わたしたちの特別な注意を呼び覚ますであろう。ここにわたしたちは、少なくとも天使たちの場合、この教理は聖書のすべての基礎に欠けることを指摘することに自分自身を限定する必要がある。プロテスタント神学は、それゆえ、それを異口同音に拒否した。立ち続けた天使たちは善であることが確認された。アウグスチヌスとスコラ学者たちと共に、それは善い天使たちの意志はなお変更可能と考えたオリゲネス（Origen）とレモンストラントたちに対して、この立場を維持した。実際、聖書においては、善い天使たちは、主の意志を不変に行う忠実な仲間としてわたしたちに常に提示されている。彼らは、主の天使たちと呼ばれる、詩編１０３：２０、１０４：４、選ばれた天使たち（?κλεκτοι）、テモテ一５：２１、聖なる者たち（?γιοι）、申命記３３：２－３、マタイ２５：３１、聖なる天使たちあるいは光の天使たち、ルカ９：２６、使徒言行録１０：２２、コリント二１１：４、黙示録１４：１０と呼ばれる。彼らは日々神の御顔を仰いでいる、マタイ１８：１０、模範としてわたしたちに保持される、マタイ６：１０、いつの日か、信者たちは彼らのようになる、ルカ２０：３６。 ２６５：天使たち：人間性：キリスト 被造物性、霊的性質、理性的性質、道徳性のこれらのすべての属性において、天使たちは、人間に似ている。今や、聖書においては、天使たちの統一性は厳密に目立たせられ、また、彼らの多様性は背景に退くので、わたしたちは、天使たちと人間の間の違いを無視するであろう危険がある。類似性が彼らの違いを遙かに超えるように見える。人間も天使たちも人格的であり、理性的であり、道徳的存在である。両方がもともと知識、義、聖さにおいて創造された。両方が支配、不死、祝福を与えられた。聖書においては、両方が神の子らと呼ばれる、ヨブ１：６、ルカ３：３８。さらに彼らの違いは聖書において強く維持されている。人間は神のかたちに造られたが、しかし、天使たちは決して神のかたちに造られなかった。神学において、この区別はほとんど無視された。オリゲネス（Origenes）によれば、天使たちと人間の霊魂は同じ種であり（van
dezelfde species）、霊魂と体の結合は罪に対する罰であり、それゆえ、本来的に偶然的である。彼はすべての相違点は被造物に由来すると教えたゆえに、オリゲネスはこの点に到着した。初めに、神は万物を同様に創造した、すなわち、神は理性的な存在を創造しただけであった。これらのすべて、天使たちも霊魂も同じである。相違点は彼らにおいて自由意志によって生じた。ある者たちは立ち続け、報酬を受けた。他は堕落し、罰を受けた。霊魂は特別に体に結びつけられた。それゆえ、全物質世界とその中にあるすべての多様性は、罪のゆえであり、罪の異なった程度のゆえである。それは神の善意を示すために存在せず、罪を罰するために存在する。今や、教会はオリゲネスのこの教えを拒否し、また、神学は、人間と天使たちの間の特別な違いを維持した。それにもかかわらず、天使たちは、彼らは排他的に霊的であるから、人間に勝っており、それゆえ、少なくとも神のかたちの担い手と呼ばれる権利を同等かそれ以上に持っている考えがある程度根強く残っている。被造物のヒエラルキーにおいて、天使たちは、純粋に霊的存在として、神に最も近い。「あなたは存在し、そして、あなたが天と地を創造したそれ以外には何もなかった。物事には２つの種類があった。ひとつはあなたに近く、もうひとつは無に近いものであった。ひとつはあなただけがそれよりも優れていて、もうひとつはそれよりも劣るものが何もないであろう」（Tu
eras et aliud nihil,unde fecisti coelum et terram,duo quaedam unum prope
te,alterum prope nihil;unum quo supeior tu esses,alterum quo inferius nihil
esset）（アウグスチヌス「告白」ⅩⅡ ７）。「彼（神）は、自分自身から離れた本質、つまり、肉体的な性質を生み出すだけでなく、知的で体のない本質も生み出さなければならなかった」(Non
tantum substantiam a se longinquam,scil,naturam corpoream producere debuit(Deus),verum
etiam propinquam et haec et substantia intellectualis et incorporea）（ボナヴェントゥーラ「簡単な読書」Ⅱ ６）。しかし、ルター派と改革派神学者たちは、人間と天使たちの間のこの区別をしばしば見失い、天使たちを神のかたちの担い手（beelddragers
Gods）と呼んだ。テオドル（Tehodore）、マカリウス（Macarius）、メソデウス（Methodius）、テルリアン（Terullian）などのようなほんの一握りの人々がこの混同に反対した。アウグスチヌスは、「神は、人間以外の被造物には御自身のかたちの存在の特権を与えなかった」（Deus null alii
craturae dedit quod sit ad imaginem suam nisi homini）(トマス・アクイナスによる引用「神学大全」Ⅰ 問９３ 第３条、参照 S.マレシウス「神学体系」Ⅴ ３７)と明白に述べた。 人間と天使たちの間の類似がどんなに大きくとも、違いは小さくはない。実際、神のかたちに属するさまざまな特性が天使たちに存在しても、しかし、人間性だけが神のかたちである。そのかたちは、人間と天使たちが共通に持つものにはまさに存在せず、彼らを区別するものに存する。違いの主な相違点は、これらである。最初に天使は霊であり、霊として天使は完全である。他方、人間は霊魂と体の結合であり、霊魂は体なしには完全ではない。それゆえ、人間は、理性的であるが、しかし、感覚的存在でもある。体によって人間は地上に束縛され、地上の一部であり、地上は人間の一部である。人間は地上の頭であり主人である。天使たちが創造された後で、神は、人間を創造することを計画し、地を支配権を与えることを語った、創世記１：２６。地の支配権は人間であるために不可欠であり、神のかたちの一部であり、それゆえ、キリストによって彼の本来のものに回復され、人間は預言者、祭司として定めるだけでなく、王としても定める。しかしながら、天使たちは、どんなに強く、力強くとも、神の創造における僕であり、地の主人ではない、ヘブライ１：１４。第２に、純粋に霊的な存在として、天使たちは、血の絆によって相互に結ばれてはいない。彼らの間には、父―息子関係はない、肉体的絆はない、共通の血はない、血族関係はない。しかしながら、彼らは親密に倫理的な絆を共有し、彼らは切断された存在であり、その結果、多くの者が堕落したとき、他の者たちは立ち続けることができた。他方、人間存在においては神の存在が漠然（eene
afschaduwing van het Goddelijk wezen）とあり、その中に人格もあり、意志と感情においてだけでなく、本質と性質においても結びつきがある。第３に、その結果、その意味における天使性（Engelheit）、でなく、人間性(de menschheid)と言われるものがある。一人の人において、すべての人間が堕落したが、しかし、人類は一人の人において救われもする。人間性において、アダム（een
Adam）があり得るし、また、それゆえ、キリスト(een Christus)もあり得る。天使たちは証人たちであるが、人間は神の最も驚くべき行為の対象、彼の恵みの対象である。地上は神の奇跡的な行為の舞台であり、ここで戦いが戦われ、ここで神の御国の勝利が勝ち取られ、天使たちが彼らの顔を地に向け、救いの秘儀を覗いて見たいと思っている、エフェソ３：１０、ペトロ一１：１２。第４に、天使たちは、より強い霊であるが、しかし、人間は２つのもののうちより豊かである。知性と力においては、天使たちは人間をはるかに超える。しかし、人間が神、世界、人類に対して立つ驚くべき豊かな関係性のゆえに、彼らは心理学的により深く、精神的に豊かである。性的なことと家族、家族と国家と社会における生活、労働と芸術と学問に献げられた人生が彼らにもたらす関係は、どの人間をも小宇宙とし、それは多面性において、深さにおいて、豊かさにおいて、天使たちの人格性をはるかに超える。その結果、神の最も豊かで最も栄光的な属性は、人間によってだけ知ることができるし、享受することができる。天使たちは神の力、知恵、善意、聖さ、尊厳を経験するが、しかし、神の憐れみの深さは人間だけに啓示される。それゆえ、神の十分なかたちは、人間において、またはさらによいことに人類性において被造物の形態において展開される。 最後に、それゆえ、天使たちはキリストとの全く異なった関係においても立つことを付け加える。キリストと天使たちの間に関係があることは疑うことができない。最初に、さまざまな聖書の個所が、すべてのものが、詩編３３：６、箴言８：２２以下、ヨハネ１：３、コリント一８：６、エフェソ３：９－１１、ヘブライ１：２、また特に天使たちも、コロサイ１：１６、御子によって創造され、そして、こうして、彼は創造されたすべてのものの結合の仲保者（de
Mediator unionis）なのである。しかし、第２に、エフェソ１：１０とコロサイ１：１９－２０は、すべてのものが、和解の仲保者（Middelelar
der verzoening）としてのキリストとの関係にも立つという深遠な考えを含んでいる。というのは、神は、すべてのものをキリストによって御自身と和解させ、そして、それらすべてを頭としての彼の下に集めるのである。多くの人が考えたように、キリストが善い天使たちのために恵みと栄光を獲得したということでなく、他の人々が判断したように、天使たちが教会のメンバー（membra
ecclesiae）と呼ばれることができるということもない。しかし、すべてのものは、それは罪によって妨げられ、引き裂かれたが、それらの本来の関係性に回復され、頭としての彼の下に集められる。こうして、キリストは主であり、頭であるが、彼は天使たちの和解者（Verzoener）や保持者主(Behouder)ではない。すべてのものは、彼によって創造され、それゆえ、彼らも彼のために創造されもし、その結果、彼は、彼らを和解し、回復して父に返すのである。しかし、人間だけがキリストの教会を構成するのである。それは彼の花嫁であり、聖霊の宮であり、神の住まいなのである。 ２６６：天使たちの奉仕 この天使たちの性質に彼らの奉仕と活動が対応する。この関聯において、聖書は天使たちの通常でない奉仕と通常の奉仕の間に明らかに区別をする（Duidelijk maakt
de Scrift daarbij onderscheid tussen een buitengewonen en gewonen dienst
der enelen）。通常でない奉仕は、罪によって必要とされ、堕落後まで始まらない。それは特別啓示における重要な構成要素である。わたしたちは、エデンを守ることにおいて天使たちが役割を果たすのを最初に見る、創世記３：２４。しかし、それから、彼らは、族長たちと預言者たちの歴史において、また、旧約聖書全体を通して、祝福するためにあるいは罰するために行動して、啓示を伝えているように見える。彼らはアブラハムに、創世記１８章、ロトに、創世記１９章、ヤコブに、創世記２８：１２、３２：１、現れる。彼らは律法授与において働く、ヘブライ２：２、ガラテヤ３：１９、使徒言行録７：５３。彼らはイスラエルの戦いに参加する、列王下１９：３５、ダニエル１０：１３、２０、彼らは神の御旨をエリヤ、エリシャ、エゼキエル、ダニエル、ゼカリヤに伝える。あたかも彼らは多神教の生き残りではなく、また、歴史前的時代（een
praehistorisch tijdperk）に属してはいないことを証明するかのように、彼らの通常ではない奉仕は新約聖書の時代においてさらに広がる。彼らはイエスの誕生ときにいた、ルカ１：１３、２６－３８、２：１０以下、また、彼の誘惑のときもいた、マタイ４：１１。彼らは彼の地上生涯を通して彼に伴う、ヨハネ１：５１、そして、特に彼の苦難のとき、ルカ２２：４３、復活のとき、マタイ２８章、昇天のとき、使徒言行録１：１０、現れる、続いて、彼らはときどき使徒たちの歴史に現れる、使徒言行録５：１９、８：２６、１２：７以下、２３、２７：２３、黙示録１：１。それから、彼らは彼らの通常ではない奉仕を止め、そして、キリストの再臨のとき公的な役割を再開するだけである、マタイ１６：２７、２５：３１、マルコ８：３８、ルカ９：２６、テサロニケ二１：７、ユダ１４、黙示録５：２など。彼らが神に敵対する敵と戦うであろうとき、黙示録１２：１，テサロニケ一４：１６、ユダ９、選民を集める、マタイ２４：３１、そして、不敬虔な者たちを火に投げ込む、マタイ１３：４１、４９。それゆえ、天使たちの通常ではない奉仕は、その重要な点で贖罪の歴史に伴うことにある。彼ら自身は救いをもらさないが、しかし、その歴史に本当に参与する。彼らは啓示を伝達し、神の民を保護し、神の敵に反対し、神の国における一連の奉仕を実行する。この関連において、常に、彼らは教会の領域において活動的である。また」自然の力を超える力を得るところでは、黙示録１４：１４－２０、１６：４、あるいは、諸国の運命に介入するところでは、この活動は教会の益において生じる。この奉仕においては、彼らは神の主権性を決して脇に置いたりしないし、また人間との神のまじわりの仲保者たちでもない。しかし、彼らは救いを受け継ぐであろう人々の奉仕に仕える霊である。彼らは、自然の領域も全くは排除されもしないが、特に恵みの領域において神に仕える。その結果、この通常でない奉仕は啓示の完了とともに（met
de voltooing der openbaring）自動的に止んだ。以前には、彼らは特別啓示を常に伝え、地上に降らねばらなかったが、今や、むしろ、彼らは模範（voorbeeld）としてわたしたちに仕え、そして、わたしたちは彼らに向かって立ち上がるのである。特別啓示がまだ完了しなかったかぎりは、天が地に近づき、また、神の子がわたしたちに降ったのである。今や、キリストは出現し、神の言葉がわたしたちに十分啓示された。その結果、天使たちは、神の多様な知恵を教会から学ぶために、今は、地上を見るのである。神御自身が彼御自身の御子をわたしたちに与えた今、天使たちがなおもわたしたちに与えることができるものは何か。 しかし、聖書は天使たちの通常の奉仕についても語る。その奉仕の第一の特徴は、昼夜、神を讃美することである、ヨブ３８：７、イザヤ６章、詩編１０３：２０、１４８：２、黙示録５：１１。わたしたちは、彼らの言語と歌がどのようなものか創造できないが、聖書は、彼らはこれを聞こえる音で行う印象を伝える。しかし、この通常の奉仕の一部は、彼らは罪人の回心を喜ぶ、ルカ１５：１０、信者たちを見守る、詩編３４：７、９１：１１、小さき者たちを保護する、マタイ１８：１０、教会にいる、コリント一１１：１０、テモテ一５：２１、協会の歴史を辿る、エフェソ３：１０、彼ら自身が教会の歴史を辿ることによって教えられることを許す、エフェソ３：１０、ペトロ一１：１２、信者たちをアブラハムの懐に運ぶ、ルカ１６：２２。彼らは、「神の前に立って、敬虔な人間を助け、悪霊たちと邪悪な人々に抵抗する」（coram Deo consistendo,hominibus piis assistendo,atque diabolis et hominibus
malis rrsistendo）。聖書は、それ自体を天使たちの通常の奉仕についてのこの一般的記述の限定し、そして、詳細に入っていかない。しかし、神学は、そこで止まることに満足しなかった。あらゆる方法で、特に守護天使（beschermengelen）の教理において、神学はこの説明を精巧化した。ギリシャ人たちとローマ人たちは、彼らが半神的な存在（δαιμονε?）と守護神（genii）について語るとき、見解において似たようなものを持っている。彼らは一人一人に善い守護神か悪い守護神かを帰しただけでなく、家の、家族の、協会の(genootschappen)、市の、国の、地上の民族の、海の、世界の守護神なども語った。ユダヤ人たちは、申命記３２：８とダニエル１０：１３に訴え、諸国の７０人の天使たちの存在を推定し、そして、さらに一人一人のイスラエル人に天使を割り当てた。キリスト教神学はすぐにこの見解を採用した。ヘルマスの僕者（de
Pastor van Hermas）は、すべての人間に二人の天使たちを割り当て、「一人は義のため、もう一人は悪のため」（ε?? τη? δικαιοσυη?
και ε?? πονηρια?）であり（「戒め」６.２、「幻」３．４）、さらに、全被造物と教会の全構成を天使たちの守護の下に置いた。守護天使たちのこの教理はオリゲネス（Origenes）によって、愛情をもって発展せられた。ときどきー彼の著作において－一人一人が善い天使と悪い天使を持っている。ときどき彼は、洗礼を受けたクリスチャンはたちの善い天使たちだけが神の御顔を見ると追加している。ときどき彼は、クリスチャンと有徳の人々けが守護天使を持ち、彼らの功績に依存して、彼らは彼らの守護天使としてより階級が高い天使かより低い天使を受けるとも言う。しかし、彼は、教会のための、国々のために、民族のために、芸術のための、学問のための、植物のための、動物のための特別な天使たちがいることを推測する。たとえば、ラファエロは癒やしの天使、ガブリエルは戦いの天使、ミカエルは祈りの天使などである。しかし、すべての人間かそれともクリスチャンだけが守護天使を持つのか、一人一人の人間が善い天使だけを持つのかあるいは悪い天使を持つのか、守護天使が人間に与えられるとき－誕生のときか洗礼のときか：天使が彼からあるいは彼女から取り去られるときか－完全に達するときか死のときだけかに関しては見解の相違があったが、実質的に、すべての教会教父たちはこれを教えた。すべての人が人間のためだけででなく、国々のための、民族のための、教会のための、教区のための、州のためのなどの守護天使たちがいることを隠していた。部分的には、この天使の保護は後に制限されたり、また部分的に拡大されたりした。偽ディオニュシウス（Pseud-dionisius）にしたがって、彼らのある人々は、天使たちの３つのトップクラス、ケルビム、セラフィム、王座(tronen)だけが天において神に仕えると教えた。そして、特に星の動きにおいて、天使たちによって仲介されていることを考えたかぎりにおいて、スコラ主義が自然と歴史における神の全体の摂理が拡大された。人間のための守護天使たちは、ローマ・カトリック神学者たちによって普遍的に受入れられ、ローマ・カテキズム（Roman
Catechsim: Ⅳ 第９章、問４と５）においても認められた。しかし、他のことについては、上記のすべての点について、彼らの間に大きな違いがある。わたしたちは、同じ教えをルターに見い出すが、ルター派神学者たちは、通常、より注意深かった。カルヴァンは、守護天使（de
angeli tutelares）の観念を排除し、また、多くの改革派の学者たちも彼に従った。彼らのうちのごくわずかな人たちが、人間のための守護天使たちの存在を想定した。近代においては、守護天使の教理が再びハーン（Hahn）、ヴァイス（Weisz）、エブラルト（Ebhard）、フィルマール（Virmar）、マルテンセン（Martensen）、その他の人々において支持を見い出した。天使たちの通常の奉仕は地上にいる信者たちのための執り成しという見解においてさらに洗練され、彼らは天における善のために活動する。これもフィロン（Philo）によってと同様にユダヤ人たちによって教えられ、オリゲネス(Origenes)と教会教父たちによって引き継がれ、ローマ・カトリックの諸信条に置かれたのである。ルター派の告白的諸文書は、ルター派の教義学者たちと同様に、この執り成しについてなお語っている。対照的に、改革派によっては異口同音に非除されている。 天使の保護と執り成しの特別な奉仕に対して、特にダニエル３２：８、１０：１３、２０，マタイ１８：１０、使徒言行録１２：１５、ヘブライ１：１４、黙示録１：２０、２：１など、ヨブ３３：２３、ゼカリヤ１：１２，ルカ１５：７，黙示録１８：１以下、そして、特にトビト１２：１２－１５に訴えがなされる。それ自身によっては、天使たちの保護と執り成しのこの教理は反対できない。神は、一般啓示おいてと同様に特別啓示において、しばしば不規則的にさえ天使立ちを用いるということは不可能ではない。また天使たちが、彼らが彼らの運命と、また、人類の歴史における神の国の進展に関心を持つかぎりにおいて、人間のために神に祈りを送るということを考えることは愚かなことではない。しかしながら、天使たちの保護と執り成しに関係して、これらの教えが、聖書がわたしたちに対して規範的であらねばならないという真面目さを観察するというそのようなものとしては反対することができる。申命記３２：８－９において、わたしたちは、神は、国々を分配し、人類を分割することにおいて、イスラエル民族についてすでに考え、そして、彼らの住むべき地をイスラエルの子らの数（?????
??? ?????）に従って決定したことを読み、その結果、イスラエルはその数に適用するための十分な嗣業を受けるであろう。しかしながら、７０人訳聖書は、これらの言葉を天使たちの数に従ってと訳し、また、その際に国々の天使たち（κατα
?ριθμον ?γγελων）の教理を引き起こしたのである。その間、原初のテキストはこれについては一語も語っておらず、また、それゆえ、まったくプルーフ・テキストとしてのその機能を失う。その場合は、少々ダニエル１０：１３、２０とは異なる。そこにわたしたちは、５節においてダニエルに現れた人物はペルシャの君（vorst
van Perzie）に反対し、そして－１３節で「大天使長のひとり」、１２：１、１０：２１で「大天使長」、イスラエルの子らの「守護者」と呼ばれるミカエルに助けられ－ペルシャの君を追い払い、そして、ペルシャの王たちの間で彼の地位を占めた。カルヴァンと彼以後の改革派釈義家たちは、ペルシャの天使長（vorst
van Perzie）とペルシャの王たち(de Perzische koningen)を同一視した。しかし、天使長（vorst）は他の者、すなわち、ペルシャの守護霊（de
bescherm geest van Perzie）と解釈しなければならない。というのは、最初に、イスラエルが、１０：１３、２１、１２：１において「彼らの天使長」（zijn
vorst）と呼ばれるミカエルにおいて守護天使（een beschermengel in Micael）を持つことは疑うことができないからである。第２に、１０：１３のペルシャの王たち（de
koningen van Perzie）は、この天使長(dien vorst)と区別されているからである。第３に、その類似は、一方における霊的な力が他方における霊的な力と戦うべきであるからである。それゆえ、ダニエル書は、神の国と世の国の間の戦いがこの地上で行われるだけでなく、天使たちの間で霊たちの領域においても行われるという絵を伝えている。そして、それが、わたしたちがそれから推測するすべてである。どの国もかつどの民族もそれ自身の天使を持つという主張はここには絶対にない。しかし、イスラエルとペルシャの間で、すなわち、神の国とサタンの国の間で繰り広げられた大きな戦争の中で、両方の側において、戦いに参加し、対立する民族を支持する天使たちがいるのである。まして、わたしたちは、黙示録１：２０なから、どの教会もその天使を持つことを引き出すことはできない。というのは、７つの教会の天使たち（?γγελοι）は、教師たち（leeraren）以外の何ものでもない。彼らは完全に教会の代表たちとして見られる。讃美されるか攻められるかは、それが彼らの働きである。彼らに手紙が送られる。守護天使たちの教理のほとんどの支持は、マタイ１８：１０、天使たちのある階級は小さき者たちを保護する任務を課せられていることを疑いもなく意味するテキストから来ている。しかしながら、ここには、一人一人の選民に彼のあるいは彼女の天使が割り当てられているというヒントさえもない。この考えは、トビト（Tobias）の黙示録的な書においてのみ見い出される。しかし、まさにその事実によって、守護天使たちのこの教理は、その起源を裏切る。その教理は本質的に異教の起源であり、あらゆる種類の奇妙な疑問と無駄な問題に導く。わたしたちは、天使が一人一人に割り当てられているかどうか、また、トマス（Thomas）が考えたように、反キリストにさえも、あるいは、選民だけにか、または、一人一人の善い天使か悪い天使が付随するのかを知らない。またわたしたちは、そのような天使が人に与えられるか取り去られるかも知らない。あるいは、天使の厳密な奉仕が何かをも知らない。その結果、わたしたちが言うことができるのは、天使たちのある階級は地上におけるある益の推進を課せられていることである。それは、トビト１２：６－２２において教えられている天使たちの執り成しと同じであるが、しかし、それは聖書には生じない。ヨブ３３：２３において、創造されない天使（Angelus
increatus）への言及がある。ルカ１５：７、１０も、天使たちは一人の罪人の悔い改めを喜ぶことを教えており、それは、天使たちは実際、悔い改めを望むことを前提しているが、しかし、言葉の厳密な意味において執り成しについて語っていない。黙示録８：３においては、天使が－本来的には罪深い－聖徒たちの祈りを美しくするために香のついた香炉を実際に受け、主に祈るが、そのテキストは、執り成しについて一語も発していない。天使は単純に僕であり、彼は祭壇を建てないし、彼は自分自身で香を準備せず、それを受けるのであり、そして、香の香りと共に神に祈りだけをするのである。彼が行う奉仕は、イザヤ６：６－７におけるセラフィムの奉仕のようである。 ２６７：天使崇拝 守護天使たちと彼らの執り成しのこの教理が、最後には、実際にすぐに天使たちの崇拝と礼拝に導いたという不利益を持った。コロサイ２：１８は、そのような天使礼拝（θρησκεια
των ?γγελων）が、すでに使徒の時代に生じたことをわたしたちに伝える。この個所の注解において、テェオドレト（Theodoretus）は、彼の時代にそのような天使礼拝がフルギア（Phrygia）において行われていたこと、また、ラオデキア会議(de
synode te Laodiciea)は、神が見捨てられないように、それを禁止していたことを注解している。多くの教会教父たちは、天使たちの崇拝と礼拝に対して警戒した。当時、神のみが礼拝される、天使たちは民事的な栄誉のみ（aleen
eene burgerlijke eer）が与えられるという確信がまだなお普遍的であった。「わたしたちは、わたしたちの奴隷の状態をもってでなく、愛をもって彼らを敬う」（Honoramus eos
caritate,non servitute）(アウグスチヌス「真の宗教について」５５頁)。彼らは、彼らは呼びかけられるよりも模倣されるべきである」（ze
zijn potius imitandi quam invocandi）(アウグスチヌス「神の国」Ⅹ ２６頁)。ソロモンの歌８についての注解において、グレゴリー大帝（Gregorius
de Groote）は、キリストは地上に来たからには、教会はまさにそれらの天使たちにとってさえも栄誉を与えられる」(ab ipsis etiam
angelis ecclesia honoratur)。旧約時代において、ヨシュアは天使を礼拝したが、ヨシュア５：１４、しかし、新約聖書においては、天使はヨハネの礼拝を拒否した、黙示録１９：１０、２２：９。何故なら、天使たちは、階級において高いが、それにもかかわらず、「共に仕える者」（mededienstknechten）だからである。なおこれらの警告は実際、神の礼拝（de
aanbiddng Gods）と天使たちに相応しい敬い(eerbied aan de engelen)の間には境界が消されたことの証拠として仕える。天使たちへの呼びかけは、最初アンブロシウス（Ambrosius）によって明白に言及された。「助けと保護のために天使たちが与えられたわたしたちは、彼らに嘆願すべきである」（obsecrandi
sunt angeli,qui nobis ad praesidium dati sunt）(「寡婦について」第９章 第５５節)。ユウセビウス（Eusebius）は、わたしたちが天使たちに献げるに相応しい尊崇（τιμαν）と神だけに資格づけられる礼拝（σεβειν）の間にすでに区別をした。アウグスチヌスは、それを天使たちの宗教的礼拝の防ぐための戦略として採用した。しかし、ほどなくしてその区別は天使たちへの呼びかけを裁可するために使用された。これは第２ニケア会議（７８７年）で、また、スコラ学者たちの間ですでに生じた。トリエント会議（Trent）は、そのような呼びかけを善きかつ有益（goed
en nuttig）と呼んだ（第２５回会議）。ローマ・カテキズム（de Catech.Rom.Ⅲ 第２章 問４ n.３）は、天使たちは常に神の御顔を見、彼ら自身がわたしたちの救いを後援したこと（het
patrocinium salutis nostrae）を根拠にしてそれに対する保証を見い出した。ローマの聖務日課（het Breviarium
Romanum）は、天使たちの饗宴において（in festo angelorum）天使たちへの祈りを組み込み、そして、ローマ・カトリックの教義学者たちは、後には通常それを聖徒の崇拝（cultus
sanctorum）の見出しの下で扱うが、異口同音にそれを擁護した。 しかしながら、ルター派の人々と改革派の人々とほとんどのプロテスタントたちは、彼らが聖徒の崇拝と共に天使たちの宗教的崇拝を拒否したとき、堅固な基礎に立った。というのは、最初に、聖書にはその模範がひとつもないからである。ローマ・カトリックの人々は、彼らの立場を創世記１８：２、３２：２６、４８：１６、出エジプト２３：２０以下、民数記２２：３１以下、ヨシュア記５：１４－１５、士師記１３：１７以下のようなある旧約聖書の個所に基礎づける。しかし、これらすべての個所において、わたしたちは、今や創造された天使たちを扱っているのではなく、主の天使（Malak
Jhvh）を扱っており、また、新約聖書においては天使を崇拝することの証拠のようなものさえもない。しかし、それですべてではない。天使の崇拝は聖書において教えや模範がない。それゆえ、ローマは、幾つかの理由のようなものをもってさえも言うことができない。天使たちと聖徒の崇拝は聖書において禁止されていないし、それゆえ、許されており、それゆえ、それはそれを課したり、要求したりではなく、それを許容し、それを有益と認めるだけである。事実は、聖書はそれを積極的に禁止もしている、申命記６：１３、１０：２０、マタイ４：１０、コロサイ２：１８－１９、黙示録１９：１０、２２：９。聖書によれば、宗教的な栄誉は神にのみ与えられ、被造物はそれに価しない。ローマ・カトリックの人々はこれをまったく否定する勇気を持たず、かえって、礼拝（latria）と敬意（dulia）の間の区別によって、それにもかかわらず、天使たちの崇拝を正当化しようとした。今や、カトリック主義においては、これは宗教的栄誉と民事的栄誉の間の区別ではなく、それは理に適ったものと考察される。代わって、カトリク主義においては、それは相対的であるが、天使たちと聖徒の崇拝は明らかに宗教的性格を持つ。敬意（dulia）は宗教的礼拝である。しかし、こうして理解され、それは聖書と実践の両方によって定罪される。聖書は、ひとつは低い種類であり、他はより高い種類である二重の宗教的崇拝を知らない。ローマ・カトリックの人々は、それゆえ、礼拝（latria）と敬意（dulia）は、彼らがするようには、聖書において区別されていないこと、また、これらの言葉はそれに語源的に支持を与えないことを認める。ヘブライ語の???は、ときどきδουλειαと訳され、ときどきλατρειαと訳される、参照 申命記６：１３、サムエル上７：３、サムエル上１２：２０、申命記１０：１２、そして、イスラエルは他の神々をδουλευεινすることとλατρευεινすることの両方から控えるように戒められる、出エジプト２０：５、エレミヤ２２：９。同様にヘブライ語???は、両方のギリシャ語に訳される、エゼキエル２０：３２、イザヤ５６：６。繰り返し、δουλευεινは神への言及に用いられる、マタイ６：２４、ローマ７：６、１４：１８、１６：１８、ガラテヤ４：９、エフェソ６：７、コロサイ３：２４、テサロニケ一１：９。そして、λατρευεινは、人間に帰される奉仕にも用いられもする。語源的にも聖書的にも２つの言葉はカトリック主義が教える区別を伝えない。区別はまったく恣意的である。 ちなみに一神教は、ひとつの宗教的崇拝があり、また、ひとつの宗教的崇拝だけがあり得ることをもってくる。被造物のすべての崇拝は、排他的に民事的（burerlijk）であるか、あるいは、それは一神教を侵害し、神の性格を被造物に帰す。この現実性は実際には大きな声ではっきり伝わってくる。わたしたちは、天使たちと聖徒たちは仲介者たちに過ぎず、彼らは彼ら自身が直接呼びかけるのではなく、神が彼らにおいて呼びかけられ、そして、わたしたちが彼らに神の栄誉を呼びかけることは、減少させることではなく、増大させることであるということがわたしたちにいつも語られさえもするが－これはすべて重要ではない。というのは、経験はローマ・カトリックのクリスチャンたちは彼らの信頼を被造物に置いているからである。さらに、区別それ自体が正しくとも、それはすべて天使たちの宗教的崇拝に対する保証としては仕えることはできない。というのは、もし、この推論が習慣の十分な防御であるならば、偶像礼拝(afgoderij)と像礼拝（beeldendienst）は最早定罪することができない。異邦人たちは、動物や像に祈り、これらの動物や像が神自身と同一でないことをよく知っていた、ローマ１：２３。ユダヤ人たちは、黄金の子牛をヤーウェ自身と等しくはしなかった、出エジプト３２：４－５、列王記上１２：２８。サタンがキリストを誘惑したとき、確かに、彼はキリストが自分を神と見なすことを要求しなかった、マタイ４：９。そして、ヨハネは、彼に現れた天使が神であるとは信じなかった、黙示録１９：１０。それにもかかわらず、イエスは、「あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ」、マタイ４：１０と答えた。唯一の仲保者としてキリスト・イエスは、仲保者としての他のすべての天使たちと人間を排除したように、これだけが（Dit
alleen is exclusief）排他的である。しかし、これが、ローマ・カトリック主義が否定する厳密なポイントなのである。マタイ１９：１７、２３：８、ヨハネ９：５、テモテ一２：５、６：１６などは、人間も善き、師、光、仲保者、不死と呼ばれることができることを閉め出してはいない、そのように－ローマは言う－、マタイ４：１０は神だけが礼拝されることを証明はしない。天使たちと聖徒たちは、ローマ・カトリックの教えによれば、神のまさに性質に参与するのである。超自然的な賜物（de
dona supernaturalis）が、与えられ、生じて、神の存在それ自身と同じ性質（van dezelfde natuur als het
Goddelijke wezen）になのである。そして、その中に、ローマの教えによれば、天使たちと聖徒たちの礼拝のための最も深い根拠があるのである。超自然的な義（de
justitia supernaturalis）において、神は彼自身の本質を被造物に与えるのであり、また、その理由のゆえに彼らも宗教的な崇拝が与えられるのである。カテキズムの支配的な考えはここにあきらかであり、「すぐれた種があるように、多くの種の礼拝がある」（esse
species adorationis,quot snt species excellentiae）(T・アクイナス「神学大全」Ⅱ 問１０３ 第３条、D.ペタフィウス「天使たちについて」神学的教義学
第１０章、G.ヤンセン「基礎神学講義」Ⅲ １０１７頁、J.A.メーラー「信条学」レゲンスブルク：G.J.Manz．１８７１年、５２頁－５３頁)。天使たちの宗教的崇拝の拒否により、プロテスタントたちは、天使たちがクリスチャンたちの宗教生活において不可欠の要素であることを認めなかった。彼らはわたしたちの救いの効果的な行為者ではないし、わたしたちの信頼の根拠や崇拝の対象でもない。わたしたちがまじわりに入るのは、彼らとではなく、神である。彼らは最早今日わたしたちに現れもしないし、天使たちによるすべての特別啓示も止んでいる。プロテスタント教会と諸告白においては、天使たちは、ローマ・カトリック教会と諸信条において彼らに割り当てられている場所を与えることはできないし、また、与えてはならない。でもこれは天使たちの世界の宗教の意義を否定することではない。この意義は、第１に、神が、恵みの領域における働きにおいて、天使たちの奉仕の使用を選んだという事実に根ざしている。天使たちは、神の国とその歴史に対して大きな意義を持っている。わたしたちは、その歴史において、大きな転回点で彼らに出会う。彼らは、復活の仲介者であり、また、神の力強い行為の証人たちである。彼らの意義は主観的な性質よりはるかに客観的性質のものである。わたしたちの宗教的経験において、わたしたちは、天使たちの世界とのコミュニケーションについて何も知らない。また、わたしたちの宗教的な生活においても道徳的な生活においても、天使たちは明白に言語化できる影響を持たない。もちろん、天使たちの影響と働きはわたしたちに影響を与えるが、しかし、彼らは最早わたしたちに目に見えて現れないので、わたしたちはそれらの働きを具体的な規則に還元できない。第２に、それゆえ、天使たちはわたしたちが人間に払う敬意の対象になることもできない。間違いなく、わらしたちが彼らに与える義務がある民事的な名誉（eene
burgerlijke eer)がある。しかし、これは、それにもかかわらず、わたしたちが知っていて人格的に出会う人間に与える名誉とは異なる。ローマ。カトリックの人たちは、天使たちの崇拝を、いと高きお方の使者（als
gezanten des Allerhoogsten）として、彼らはわたしたちの名誉に資格づけられるというその議論で支える。統治者たちの大使たちを敬う際に、統治者たち自身を敬うように、天使たちはわたしたちの栄誉を受ける権利がある。そして、そのようなものとして、これは完全に正しいのである。もし、天使がわたしたちに現れたら、わたしたちは深い敬虔な尊崇をもって迎え入れねばならない。これが、天使立ちが啓示の日々において人間に現れたとき、まさに起ったことなのである。しかし、とはいえ、そのような現れは最早起らない。わたしたちの場合は、族長たち、預言者たち、使徒たちが、彼らに現れた天使たちに与えた名誉の種類はあり得ない。彼らにそのような尊崇と名誉を献げることは可能ではない。 それにもかかわらず、第３に、わたしたちが天使たちに示すべきある種の名誉がある。しかながら、その名誉はまったく宗教的ではなく、性質において民事的のみである（allen
bugerlijk van aard）。それは、わたしたちが人間にあるいは他の被造物に与える名誉と同じ種類である。この民事的名誉（honor civilis）は、わたしたちが天使たちについて敬意をもって考え、話すことにあり、わたしたちの小さき者たちにおいて天使たちを軽視しないことにあり、マタイ１８：１０、彼らの存在を意識することにあり、コリント一４：９、１１：１０、彼らに神の多様な知恵を告知することにあり、エフェソ３：１０、彼らに救いの奥義への洞察を与えることにあり、テモテ一５：２１、彼らにわたしたちの救いの喜びを与えることにあり、ルカ１５：１０、神の御心の遵守において彼らを模範にすることにあり、ヘブライ１２：２２，彼らに他のすべての被造物と共に主の御名の讃美のため万軍を構成することにある、詩編１０３：２０－２１。これらのことにおいて、天使たちの正しい敬い（de
ware vereering der engelen）がある。そして、これらのことが正しく理解されるならば、そのとき、第４に、天使たちの教理もわたしたちに慰めと勇気として仕えることができる。神は、神がわたしたちをわたしたちの弱さにおいて強め、わたしたちの落胆からわたしたちを引き上げるためにもこの教えをわたしたちに啓示したのである。わたしたちは、わたしたちの霊的な戦いにおいてひとりではない。わたしたちは、わたしたちの周囲にいる雲のような多くの証人たちと結びついている。さらにこの世界よりもよい別の世界がある、それは神が完全に仕えられている世界である。それはたしたちのための模範（voorbeeld）、刺激(prikkel)、勇気(aansporing)であり、同時に、それはわたしたちの懐かしさ(heimwee)であり、最終目標（einddoel)である。啓示において、天使たちの世界がわたしたちに降ってきたように、そのようにキリストにおいて、教会はその世界を迎えるために上るのである。わたしたちは天使のようであろう、そして、天にいますわたしたちの父の顔を日々仰ぎ見るであろう。 解説 「第３４節 霊的世界」の全訳が終わったので、８点の解説をする。まず第１点は、バーフィンクの天使論の豊かさについてある。本節は「霊的世界」と名づけられているが、その内容は天使論である。天使の存在、性質、奉仕、カトリックの天使崇拝の誤りなどが論じられれているが、バーフィンクの天使論を読んで、天使論とはこんなに豊かなものであったのかと驚いた。天使論など数頁論じれば終わりではないか、また、天使論など数頁だけ扱えば十分であると思うかもしれないが、バーフィンクは違うのである。何と、天使論を３０頁ほども費やして丁寧に詳しく論じているのである。そして、天使論をこんなにも丁寧に詳しく述べることで、天使論が豊かに論じられ、さらに、神による創造のみわざ自体ももより豊かに輝くことになる。わたしは、バーフィンクの天使論の扱いの豊かさにまず驚いた、そして、同時に、天使論の豊かさが、さらには、神の創造のみわざの豊かさに表わすことに驚いた。さすがバーフィンクである。 第２点は、聖書の天使についての教えは、どこからきたのかという議論についである。すると、ある人々は、ユダヤ人の天使論は、バビロン捕囚後、ペルシャのゾロアスター教の一派のパルシー教から来ていると主張した。しかし、ある人々は、ユダヤ人たちの天使についての教えは、捕囚前からあったことを語って、それに反対し、逆にユダヤ人の天使についての教えがパルシー教に影響を与えたと主張した。そこで、バーフィンクは、ユダヤ人の天使についての教えとパルシー教の天使論の関係については、断定できるほどには解明されていないことを語って、無理に両者を関係づけることを避ける。 では、聖書における天使たちの出現について、人々はどのように考えてきたのか。すると、サドカイ人は、天使たちは神の瞬間的現れと考えて天使たちそのものの存在を否定した。歴史的に、天使たちはいいろに考えられてきた。神の存在からの一時的な流失、神の啓示と働き、天使たちは人間であるなどと考えられた。近代神学の父のシュライエルマッハー（１７６８年－１８３４年）は、天使たちの存在の可能性を締め出したりはしなかったが、キリストと弟子たちは天使たちについて積極的なことは何も教えなかったと判断し、天使たちの教えは神学的、宗教的に意義がないと判断した。なお、天使たちの存在支持者たちは、天使たちは個人や人々の観念や力にすぎないと考えたり、天使たちを諸惑星の住人たちと考えたりした。ちなみに、地球以外の惑星にも住人がいるという考えは、ギリシャのクセノポン（紀元前４２７年？―紀元前３５５年？）にもすでにあったが、近代においては、デカルト（１５９６年－１６５０年）やカント（１７２４年－１８０４年）もそうであり、バーフィンクの時代の何人かの神学者にもいたと、バーフィンクは述べている。 第３点は、天使たちの存在は、哲学によっては証明できないことをバーフィンクは確信をもって断言していることである。何故なら、目に見えない霊的世界は、本来、理性の認識対象にはならず、理性の推論によっては証明できないからである。目に見えない霊的世界の存在、すなわち、天使たちの存在は、神の啓示と奇跡とにのみ結びついて認識されるからである。確かに、天使たちは、救いの本質には属していないが、それに付随していて切り離すことができない。わたしたち人間は、目に見える物質的世界だけでは決して満足できず、この世界よりも豊かである別の世界に渇くのである。そして、わたしたちは神の啓示によって目に見えない天使たちの存在や働きを確信するのである。そして、この方法だけが正しいことを、バーフィンクは語る。 なお物質主義が進んだ近代においては、それとバランスを取るように、目に見えない霊的世界との交信を標榜する交霊術も現れたが、迷信以外の何ものでもない。というのは、現れると言われる霊が本当に彼らが主張する本人であることをチェックするすべがないからである。死んだ人間と交信したり、交流したりは決してできないし、また、してはならない。生者たちのこの世界と死者たちのあの世界の間は超えられないし、また、超えてはならない境界がある。申命記１８：１１で「呪文を唱える者、口寄せ、霊媒、死者に伺いを立てる者などがいてはならない」神御自身により明白に禁止されている。 また、近代になり、コペルニクス的世界観によって地球は宇宙にとってその中心的な意義を失ったと考え、他の諸惑星に、知的だけでなく超人的な被造物は住んでいると主張する人々が出て来た。しかし、バーフィンクは、英国の優れた博物学者、生物学者、探検家、人類学者、地理学者アルフレレッド・ラッセル・ワォラス（１８２３年－１９１３年）の見解に従って、地球以外の惑星に人間が住める条件や状況を満たす恒星はなく、地球だけが人間が暮らせる恒星であることを語って、地球以外の諸惑星における生命的で理性的な存在の実在の信仰は、まったく推測の域に属することを語る。 しかし、聖書における天使たちの存在についての神による啓示は、絶対的に信頼できる基礎であり、イエス御自身も使徒たち自身も天使信仰を公にかつ繰り返し表明した。たとえば、マタイ１８：１０で、イエス御自身が「これらの小さな者を一人でも軽んじないように気をつけなさい。言っておくが、彼らの天使たちは天でいつもわたしの天の父の御顔を仰いでいるのである」と語り、ペトロ一１：１２で、「彼らは、それらのことが、自分たちのためではなく、あなたがたのためであるとの啓示を受けました。それらのことは、天から遣わされた聖霊に導かれて福音をあなたがたに告げ知らせた人たちが、今、あなたがたに告げ知らせており、天使たちも見て確かめたいと願っているものなのです」と使徒ペトロ自身が語っている。 こうして、天使たちは、わたしたちの宗教生活において救いの根幹に関わる要素ではないし、またわたしたちの信頼や礼拝の対象ではない。しかし、神の贖いの歴史の転換点において、バーフィンクが後に述べるように、しばしば出現して役割を果たしたのである。 なをこの流れにおいて、わたしは、無数にある天体において、地球がけがわたしたち人間の住むべき天体ととして、神が創造し、さらに、すべての条件を整えてくださったことを感じ、この地球を大事にしなければならないことを強く感じた。先日、わたしはテレビを見ていて、宇宙の専門家が恒星はは１千億以上あると言うのを聞いて、そのように無数の恒星があっても、神は地球だけをわたしたち人間が暮らすところとして定め、備え、与え、整えてくださったことを心に強く感じた。それゆえ、地球破壊や環境破壊に連なることなどしてはならない。逆に、温暖化防止をはじめあらゆる努力をして、地球をわたしたちが住みやすいところとして維持していく義務が神から与えられていることを強く思う。そして、地球は人間のためだけでなく、空の鳥が、陸の動物が、水の中の魚が、また、植物が生きるためにも大切にしなければならないことを強く思う。 第４点は、聖書に出て来る天使たちについである。天使たちは、聖書においていろいろに呼ばれている。「使者」、「神の子ら」、「霊」、「聖なる者」、「見張る者」などと呼ばれている。しかし、聖書には、さまざまな天使たちが出てくるが、区別される種類と階級があり、その各々がそれ自身の名を持っている。旧約聖書には、ケルビム、セラフィム、ガブリエル、ミカエルが出てくる。新約聖書においては、支配、主権、王座、勢力などが出てくる。それらのすべては、天使たちの間における階級と尊厳における区別を指し示す用語である。また、天使たちの数は非常に多いので、大群、陣営、幾千、幾万、レギオンと呼ばれる。 アウグスチヌス（３５４年－４３０年）は、天使たちの社会がどのように組織されているかを知らないと主張した。しかし、偽ディオニュシオス（５、６世紀頃のおそらくシリアの神学者）は、「天上のヒエラルキ－」を書いて、天使たちのヒエラルキー、すなわち、天使たちの階級の図式的な区分をしたが、これはカトリックの天使論の有力な基礎となった。 最高の階級 セラフィム・・・もっぱら神に仕え、それは神の存在を絶え間なく見る ケルビム・・・・神の聖定を熟考する 王座・・・・・・神の判断を讃美する 第２の階級 主権・・・・・・目にみえる被造物と目にみえない被造物に仕え、神の意志にしたがって起らねばならない事柄を命ずる 勢力・・・・・・聖定された事柄を遂行する 権威・・・・・・その任務を完成する 第３の階級は地上 支配・・・・・・個人と諸民族の両方に仕え人間の一般的な幸福を促進する 天使長・・・・・特別な国家を導く 天使たち・・・・個人を見守る しかし、この基礎の上に立つローマ・カトリックの教理の天上的なヒエラルキーは、神の言葉における啓示を遙かに超えている。それゆえ、プロテスタントたちによって異口同音に否認されていることを、バーフィンクは語る。多くの区別が天使たちの間にあっても、聖書はそれらを詳しくは論ぜず、わずかの情報しか提供していないのであり、それで十分なのである。わたしたち人間との関係においては、彼らの多様性よりも彼らの統一性が前面にきて、彼らすべてが霊的性質を持ち、彼らすべてが「仕える霊」と呼ばれ、彼らは神の栄光化に優先的な活動を見い出すのである。 なお、ケルビムとセラフィムについて、バーフィンクは、彼らは生命的で人格的な存在であり、並外れた人間の力と栄光を持つ存在であり、虚弱な人間存在において以上により鮮やかに神の力と強さが表現されている「生き物」、雄牛の力、獅子の威厳、鷲の速さ、そして、この上に人間の知性を持ち、それをもって飛ぶ翼、それをもって園を守る剣を持つと述べているが、今日、わたしがいろいろな注解書を調べてみると、ケルビムまたセラフィムを象徴的な存在や像として考える人たちも少なくないようである。さらに、神学的な丁寧で詳細な研究の必要性を感じる。 第５点は、天使たちの統一性と肉体性（有体性）についてである。バーフィンクは、天使たちの統一性を３つ挙げる。第１は、天使たちはすべて神によって創造された存在であるという事実である。では、天使たちはいつ神によって創造されたのか。すると、多くの教父たちは、他のすべての被造物創造の前に創造されたと信じ、ソシニウス主義者たちとレモンストラントたちは同意した。しかし、バーフィンクは、彼らの創造の時については、確実性をもってはほとんど語ることができないが、天使たちが何もない創造の初め以前に創造されたことはあり得ないので、神が創造のみわざを始めてから第７日目に休まれた間に創造されたと考えられるであろうと言う。 では、天使たちの統一性の２つ目は何か。すると、バーフィンクは、天使たちの統一性は、天使たちはすべて体を持たない霊的存在であるという事実を挙げる。歴史を顧みれば、天使たちが何らかの意味で体を持つという主張は古代から現代までなされてきた。ユダヤ人たちは、天使たちは性質において空気のようなあるいは火のような体を持つと考え、ほとんどの教父たちが同意した。第２ニケア会議（７８７年）では、天使たちは繊細で洗練された体を持ち、空間的に制限されるが、人間の形態で現れるので、それゆえ、描かれるかもしれないことを証言した。しかし、次第に、霊と物質の間の線がより鋭く引かれ、多くの著作者たちが天使たちに純粋な霊を帰し、第４ラテラン会議(１２１５年)は、天使たちの性質を霊的と呼び、ほとんどのカトリックとプロテスタントの神学者たちはこの判断に同意した。しかし、それにもかかわらず、天使たちが体を持つとの肉体性、有体性を主張するカトリックのカエタス（１４６９年－１５３４年）やとプロテスタントの改革派のザンキウス（１５１６年－１５９０年）などの神学者たちが出てきた。近代においても、改革派神学者で多くの注解書を書いたヨハン・ピ－ター・ランゲ（１８０２年－１８８４年）も天使たちの肉体性を主張した。 また、創世記６章の「神の子ら」が「人の娘」を妻に娶ったという個所の「神の子ら」を天使たちと釈義して、天使たちの肉体性を主張する人々も古くから多くいた。フィロン、ヨセフス、ユダヤ人たち、７０人訳、ユスチヌス、アイオレイナス、クレメンス、テルトリヌアス、ラクタンチウス、キュプリアヌス、アンブロシウス、また宗教改革者のルターによっても採用され、そして、近代においては、エヴァルト、バウムガルテン、ホフマン、クルツ、デリッチ、ヘングステンベルグ、ケーラー、キュベルなどがそうであった。でも、バーフィンクは、「神の子ら」は人間を意味するひとつの表現であることを正しく語る。 では、天使たちの統一性の３つ目は何か。すると、天使たちは、知性と意志を与えられ、すべて理性的被造物であるという事実を挙げる。知性と意志の両方が善い天使たちにも悪い天使たちにも繰り返し聖書において帰せられている。天使たちは、人格的な属性と活動のすべてを持ち、自己意識と語ること、望むこと、喜ぶこと、礼拝すること、偽ること、罪を犯すのである。また、天使たちは、臆病でなく、強い勇士たちの軍隊でもある。 天使たちの知識について言えば、天使たちはわたしたちがこの地上で与えられるよりもっと豊かに与えられると言える。天使たちは、知識を彼ら自身の性質から、神のみわざを観照することから、神によって彼らに与えられた啓示から獲得する。それにもかかわらず、彼らは目的に束縛され、わたしたちの心の秘密の思いを知らないし、また他の人のも知らない。その結果、彼ら自身において、彼らは自分たちが思うことのコミュニケーションのために言語を必要とする。また、一般に言葉と歌において、彼ら自身の方法で彼ら自身の性質に一致して、神を讃美することができる。彼らは、未来を知らないし、未来の不測の事態も知らないが、しかし、推測することできる。彼らは、審判の日を知らない。天使たちの知識は増加可能である。また、天使たちの知識と力は彼ら自身の間でもきく異なる。この点において、多様性と秩序がある。また、天使たちは階級のよっても区別されるが、人格としても相互に区別されることが推測される。 では、天使たちの統一性の４つ目は何か。すると、バーフィンクは、天使たちはすべて道徳的存在であるという事実を挙げる。すなわち、天使たちには、善い天使たちと悪い天使たちがいるが、悪い天使たちも善い天使たちも、「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった」と創世記１：３１で明白に証言されているように、創造されたときは、罪や悪は存在せず、すべてが完全に善い状態であったので、すべての天使たちは善い天使たちに創造されたが、しかし、天使たちは神に反抗して罪を犯し、堕落して悪い天使となったと十分推測される。悪い天使たちであっても、最初の創造の状態が完全な善い状態であったことは、ユダ６で「一方、自分の領分を守らないで、その住まいを見捨ててしまった天使たちを、大いなる日の裁きのために、永遠の鎖で縛り、暗闇の中に閉じ込められました」、また、ペトロ二２：４で「神は、罪を犯した天使たちを容赦せず、暗闇という縄で縛って地獄に引き渡し、裁きのために閉じ込められました」から十分推測される。 なお、善い天使たちは、昼夜、忠実に神に仕え続け、堕落することなく、主の意志を不変に行う忠実な仲間としてわたしたちに常に提示されていて、彼らは主の天使たち、選ばれた天使たち、聖なる者たち、聖なる天使たちあるいは光の天使たちと呼ばれる。彼らは日々神の御顔を仰ぎ見、地上の信者であるわたしたちの模範として保持され、いつの日か、わたしたち信者は天使たちのようになるのである。こうして、バーフィンクは、天使たちの統一性として、被造物性、霊的性質、理性的性質、道徳性の４つを挙げる。 第６点は、天使たちと人間の類似と相違、また、天使たちトキリストとの関係と人間とキリストとの関係の相違についてである。天使たちを人間の類似については、両方とも被造物性、霊的性質、理性的性質、道徳性を持っているここである。人間も天使たちも人格的であり、理性的であり、道徳的存在である。両方がもともと知識、義、聖さにおいて創造された。両方が支配、不死、祝福を与えられ、両方が神の子らとえも呼ばれる。 しかし、両方の違いは聖書において強く維持され、人間は神のかたちに造られたが、しかし、天使たちは決して神のかたちに造られなかった。神学においてこの区別はほとんど無視され、ルター派と改革派神学者たちは、人間と天使たちの間のこの区別をしばしば見失い、天使たちを神のかたちの担い手と呼んだ。でも、アウグスチヌス（３５４年－４３０年）は、「神は、人間以外の被造物には御自身のかたちの存在の特権を与えなかった」と正しく述べていた。 バーフィンクは、天使たちと人間の違いを５つ挙げている。一つ目は、天使は霊であり、人間は霊魂と体の結合であることである。それゆえ、天使たちは理性的であるが、人間は理性的でもあるが、体があるので感覚的であり、地上的なものに束縛されるが、でも地の支配権を与えられ、預言者、祭祀であるとともに王にされている。しかし、天使たちは、地の支配者ではなく、創造における神の僕である。 ２つ目の違いは、天使たちは、純粋に霊的な存在として、父―息子関係、、肉体的絆、共通の血、血族関係はない。天使たちは親密な倫理的な絆を共有するが、切断された存在であり、その結果、多くの者が堕落したとき、他の者たちは立ち続けることができた。しかし、人間存在においては神のかたちがあり、人格もあり、意志と感情においてだけでなく、本質と性質においても結びつきがある。 ３つ目の違いは、人間には人間性と言われるものがあることである。それゆえ、一人の人において、すべての人間が堕落したが、しかし、人類は一人の人において救われもする。天使たちは証人たちであるが、人間は神の最も驚くべき行為の対象、恵みの対象である。人間が済む地上は神の奇跡的な行為の舞台であり、ここで戦いが戦われ、ここで神の御国の勝利が勝ち取られ、天使たちが彼らの顔を地に向け、救いの秘儀を覗いて見たいと思っている。 ４つ目の違いは、天使たちは知性と力において人間に勝るが、しかし、人間は、神との関係、世界との関係、人類全全体との関係の豊かさにおいて勝る。すなわち、天使たちは、神の力、知恵、善意、聖さ、尊厳を経験するが、人間は、精神的なこと、性的なこと、家族、社会、国家、労働、芸術、学問などの人生の領域において、神のそれらの御性質だけでなく、罪と滅びからの救いという神の愛と憐れみを最も豊かに経験し、享受し、喜び、感謝することができる。 ５つ目は、天使たちとキリストの関係と人間とキリストの関係の違いについてである。天使たちも御子によって創造され、また、天使たちも含めてすべてのものを神と和解させ、頭である御自身の下に集めるが、終末に、教会を神の国として完成させ、父なる神にお返しするとき、教会を構成するのは、救われた人間だけである。人間だけがキリストの花嫁であり、聖霊の宮であり、神の住まいなのである。 第７点は、天使たちの奉仕についてである。聖書は天使たちの通常でない奉仕と通常の奉仕の間に明らかに区別をし、通常でない奉仕は、罪によって必要とされ、特別啓示における重要な構成要素となる。具体的には、エデンを守ること、彼らはアブラハムに、ヤコブに現れる。律法授与において働く。イスラエルの戦いに参加する。神の御旨をエリヤ、エリシャ、エゼキエル、ダニエル、ゼカリヤに伝える。イエスの誕生のときにいた。彼の誘惑のときもいた。彼らは彼の地上生涯を通して彼に伴う。特に彼の苦難のとき、復活のとき、昇天のときに現れる、続いて、使徒たちの歴史に現れる。そして、キリストの再臨に伴う。神に敵対する敵と戦うであろう。そして、不敬虔な者たちを火に投げ込む。こうして、天使たちの通常ではない奉仕は、その重要な点で贖罪の歴史に伴うことにある。彼ら自身は救いをもらさないが、しかし、その歴史に参与する。彼らは啓示を伝達し、神の民を保護し、神の敵に反対し、神の国における一連の奉仕を実行する。天使たちは人間との神のまじわりの仲保者たちではなく、救いを受け継ぐであろう人々の奉仕に仕える霊である。通常でない奉仕は啓示の完了とともに自動的に止み、今はない。今は、模範としてわたしたちに仕える。 では、他方、天使たちの通常の奉仕は何か。すると、その奉仕の第一の特徴は、昼夜、神を讃美することである。罪人の回心を喜ぶ。信者たちを見守る。小さき者たちを保護する。教会にいる。神の知恵を知る。信者たちをアブラハムの懐に運ぶ。 こうして、聖書は、天使たちの通常の奉仕についてのこの一般的記述に限定しているが、神学はそれで満足せず、あらゆる方法で、特に守護天使の教理を展開し、精巧化した。ヘルマスの僕者（２世紀前半）は、すべての人間に、「一人は義のため、もう一人は悪のため」の二人の天使たちを割り当てた。また、特にオリゲネスは、守護天使の教理を愛情をもって発展させた。彼は次のように主張した。一人一人が善い天使と悪い天使を持っている。クリスチャンと有徳の人々けが守護天使を持つ。教会のための、国々のための、民族のための、芸術のための、学問のための、植物のための、動物のための特別な天使たちがいることを推測した。偽ディオニュシウス（５、６世紀頃のシリアの神学者）にしたがって、教父たちのある人々は、天使たちの３つのトップクラス、ケルビム、セラフィム、王座(tronen)だけが天において神に仕えると教えた。さらにスコラ主義に受け入れられ、守護天使たちは、ローマ・カテキズム（１５５６年出版）においても広く認められた。ルターも守護天使を認めたが、カルヴァンは拒否し、改革派神学者たちはカルヴァンに従って拒否した。近代においては、デンマークの司教のハンス・ラッセン・マルテンセン（１８０８年－１８８４年）その他の神学者たちが守護天使を認めている。 なお、バーフィンクは、ダニエル書の１０章の解釈を取り上げる。この個所は、バビロン帝国がペルシャ帝国によって滅ばされた後もバビロンに残っていたダニエルに与えられた啓示であるが、一人の超人的な人（５節）が、ダニエルのところに来たが、その到着が遅くなった理由が述べられている。すなわち、その一人の超人的な人は、もっと早くダニエルのとろろにきて、将来起ることを伝えようとしていたが、天上での霊的な戦いにおいて、ペルシャの守護天使と考えられる「ペルシャ王国の天使長」（１２節）の抵抗のために遅れていた。しかし、イスラエルの大天使長の一人のミカエル（１２節）が助けてくれたので、ペルシャを離れて、ダニエルのところに来ることができたという分脈である。そして、各国にそれぞれその国を守る守護天使がいると主張する人たちはこの個所に訴えるが、カルヴァンは守護天使拒否の立場から、「ペルシャ王国の天使長」（１２節）は、守護天使を意味するのではなく、ペルシャ王国の王たちを意味すると解釈した。しかし、バーフィンクは、カルヴァンの解釈は無理で、「ペルシャ王国の天使長」（１２節）は、守護天使を意味すると理解するのが正しいことを語る。しかし、だからと言って、この個所の根拠にして、どの国もそれぞれ守護天使がついているということは言えず、ダニエルの場合のこととして限定的に理解すべきことを述べている。ダニエルのとき、ペルシャの守護天使の「ペルシャ王国の天使長」（１２節）と神の民イスラエルを守る大天使長のひとりのミカエルの戦いが天上の霊的領域で本当に行われたのである。しかし、ひとつひとつの国にその国を守る守護天使がいるという教えは聖書にはない。 また、黙示録２章と３章に、「７つの教会の御使い」にこう書き送れと出てくることを根拠にして、各教会にはその教会を守る守護天使がいると主張することもできない。何故なら、その場合の「教会の御使い」は、教会の教師たち（leeraren）のことで、教師たちが教会を代表していることを意味していると述べている。そこで、わたしは注解書をいろいろ調べると、「７つの教会の御使い」は、そのまま御使い、７つの教会のそれぞれの守護天使、各教会の人格化、パトモスにいるヨハネを訪れるために教会から派遣された使いの者などと多様な理解がある。どれに決めるかは難しいので、幾つかの理解があることを知るとともに、さらなる研究の必要性を感じる。 第８点は、天使崇拝の誤りについである。すでに使徒の時代に天使礼拝が、生じたことが、コロサイ２：１８の「天使礼拝にふける者」によって知られる。しかし、ラオデキア会議(４世紀中頃)は、天使礼拝を禁止していた。教父たちは、神のみが礼拝され、天使たちには民事的な栄誉のみが与えられると確信していた。 天使たちへの呼びかけは、最初アンブロシウス（３４０年？－３９７年）によって明白に言及された。第２ニケア会議（７８７年）でも、また、スコラ学者たちの間でもすでに生じた。トリエント会議（１５４５年－１５６３年）は、天使たちへの呼びかけを善きかつ有益と呼び、ローマ・カテキズム（１５６６年発行）においても天使崇拝は保証され、ローマの聖務日課は、天使たちへの祈りを組み込み、ローマ・カトリックの教義学者たちは、後には通常それを聖徒の崇拝の見出しの下で扱うが、異口同音に天使崇拝を擁護した。こうして、カトリックにおいては、天使崇拝は聖徒崇拝と共に一般的となった。 しかし、ルター派と改革派とほとんどのプロテスタントは、聖徒の崇拝と共に天使たちの宗教的崇拝を拒否した。その理由は、３つあり、一つ目は聖書にはその模範がひとつもないからである。確かに、旧約聖書には、天使を礼拝したことが幾つか記されているが、その場合の天使は主の天使と言われるもので、神が天使の姿で現れたのである。逆に、聖書は、黙示録１９：１０で、ヨハネが天使を礼拝しようとしたときに禁止したことを記している。こうして、聖書は、宗教的な栄誉は神にのみ与えられ、被造物はそれに価しないことを述べているので、カトリックは、神は礼拝（latria）し、天使たちは敬意（dulia）するとの区別をしたが、それは絶対的な区別ではなく、相対的で敬意も宗教的礼拝である。何故なら、礼拝（latria）と敬意（dulia）は、彼らがするようには、聖書において区別されていないし、また、これらの言葉の区別は語源的にも支持を得ないからである。聖書においてはその両語は交換可能であり、同義語的だからである。そこで、カトリックは、天使たちと聖徒たちは、神の性質に参与し、超自然的な賜物が、与えられ、生じて、神の存在それ自身と同じ性質になると神学的に最も深い根拠づけをする。超自然的な義において、神は御自身の本質を被造物である天使たちと聖徒たちに与えるので彼らも宗教的な崇拝に価する者たちとなるのである。 しかし、プロテスタントは天使崇拝を拒否し、天使たちがクリスチャンたちの宗教生活において不可欠の要素であることを認めなかった。天使たちは、わたしたちの救いそのものに何の効果も持たないし、わたしたちの信頼の根拠や崇拝の対象でもないし、まじわりの対象でもない。天使たちを用いた特別啓示も止んだ今、天使たちの現れもない。カトリック教会が信条、神学、実践において天使たちに割り当てている場所をプロテスタントは与えることはできないし、また、与えてはならないことを、バーフィンクは述べる。 では、天使たちには、何の意義もないのか。すると、バーフィンクは４つの意義があることを語る。第１の意義は、神は啓示の歴史において、天使たちの奉仕を用いたことである。天使たちは、新約耳朶においては、メシアの誕生、ゲツセマネの祈り、復活などの救いの歴史の転換点で奉仕に用いられたのである。第２の意義は、啓示を伝える働きをした天使たちは、今日のわたしたちの敬意の対象にはならないことである。確かに、天使たちが啓示の伝達に用いられた旧約時代や使徒の時代においては、その奉仕に適した敬意を受ける資格があった。しかし、そのような天使の奉仕と現れは最早起らないので、今日のわたしたちは、族長たち、預言者たち、使徒たちが、彼らに現れた天使たちに与えた名誉を献げることは、もちろん可能ではない。 第３の意義は、今日、天使たちに正しい敬いがあることである。その敬いは、崇拝的な敬いではなく、民事的なもので、わたしたちが天使たちについて敬意をもって考え、話すこと、わたしたちの小さき者たちにおいて天使たちを軽視しないこと、彼らの存在を意識すること、彼らに神の多様な知恵を告知すること、彼らに救いの奥義への洞察を与えること、彼らにわたしたちの救いの喜びを与えること、神の御心の遵守において彼らを模範にすること、彼らに他のすべての被造物と共に主の御名の讃美のため万軍を構成することにある敬いである。これらのことにおいて、天使たちの正しい敬いがあることを、バーフィンクは述べる。 第４の意義は、天使たちの教理は、わたしたちクリスチャンたちの慰めと勇気として仕えることができることである。すなわち、主の祈りにおいて、「みこころの天になるごとく 地にもなさせたまえ」と祈るように、天においては、天使たちが神の御心に喜んで忠実に完全に従っていることは、地上の弱いわたしたちの模範として、わたしたちを信仰的に刺激し、勇気を与え、また、いつしかわたしたちも天に移っていく懐かしさを与え、そして、最終目標となることによって、わたしたちを励ますのである。ウェストミンスター大教理問後の１９２問の答えは、次のようである。「・・・天においてみ使いたちがしているように、わたしたちも万事に同じへりくだり、喜び、忠実、熱心、誠実、および堅忍持久をもって、神のみ心を知り、行い、従うことができ、また欲するようにして下さることである」と解説しているが、本当にその通リで、わたしたちに慰めと勇気を与えてくれる。以上で、第３４節「霊的世界」の解説を終わるが、わたしは、霊的世界の創造がこんなにも豊かで素晴らしいものであったかについて、バーフィンクにより目が開かれる思いがして喜びにあふれている。バーフィンクの創造論に出会えてよかった。バーフィンクの創造論の今後が楽しみである。なおベルクーワによる天使と世界との関係については、拙著「G.C.ベルクーワ：教義学研究－その紹介と解説－」の「第１０巻 人間：神のかたち」の「第１０章 ４．天使の世界との関係」を参照のこと。天使の創造についての一般的なことは、拙著「M.H.スミス：組織神学」の「第１巻 第１４章 天使、彼らの創造、性質、働き」を参照のこと。
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