幸せな結婚について

　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐々木稔牧師

はじめに

結婚式にあたり、短い説教をいたします。結婚して、新しい家庭を築いていくことに、牧師として立ち会えることをうれしく思っています。私自身は、早いもので、結婚生活33年目ですが、結婚生活を通し、いろいろな祝福を受け感謝しています。そこで、本日は、幸せな結婚生活について、聖書から、私自身の経験も踏まえ、短くお話しいたします。

　考えてみますと、結婚の制度というのは、とても不思議なものです。国や民族は違っても、結婚の制度かおり、普遍的なものです。これはなぜでしょう。これは、人類を創造した神の定めた制度なのです。それゆえに、人類には、結婚の制度があるのです。そもそも、神が人類を、男と女に造られたことそのものが、結婚制度を前提にしてのことでした。

　聖書を見ますと、人類の最初の結婚は、アダムとエバでした。創造主である神は、1人の男性と1人の女性が結婚し、家庭を築いてともに助け合って生きていく制度を、人類の幸せのため、定めてくださいました。そして、アダムとエバから生じた人類は、やがて、多くの民族に分かれていきましたけれども、しかし、自分たちの先祖であるアダムとエバにならって、結婚し、家庭を築いて生きていく良き制度を受け継ぎました。

　こうして、結婚制度は、創造主である神の定めとして、最初の人間であった、アダムとエバから始まり、世界の民族に、人間の幸せのためのよき制度として受け継がれていきましたが、後に、創造主である神から遣わされてきた救い主、主イエス・キリストも、結婚の制度を良いものとして大いに祝福してくださいました｡イエス・キリストは、イスラエル北部のガリラヤ地方のカナという村での結婚式に、自らも出席され、その結婚式で、ぶどう酒がなくなったときには、水をぶどう酒に変える奇跡をして、結婚式を豊かに祝福してくださいました。

　こうして、結婚し、家庭を築いて、ともに助け合いをしながら生きていく制度は、世界のどこでも行われていることですが、それは、わたしたち人間の幸せのため、創造主である神が定めてくださったとてもよい制度だからです。

１．

では、結婚して、家庭を形成していくために、覚えておくべき、大切なことは何でしょう。それは、いろいろな観点から考えることができますが、わたしは、特に、2つのことをお話ししたいと思います。

　ひとつは、お互いに、結婚によって、1人の男性と1人の女性は、夫婦となって歩むのですが、夫婦は、お互い、神が巡り合わせてくださったものであるという確信を一生持つことです。世間でもよく言われることですが、1人の男性と1人の女性の巡り合いというものは、不思議なものです。世界中にたくさんの男性とたくさんの女性がいるにもかかわらず、ある時1人の男性と1人の女性が巡り会って結婚し、夫婦となって、一緒に生涯暮らしていきます。世間でも不思議だなあと言うでしょう。

キリスト教においては、この巡り合わせを、神が結び合わせたものと固く信じ確信します。旧約聖書の創世記のアダムとエバの結婚の個所を見ますと、「主なる神が彼女、を人のところへ連れてこられた」、すなわち、神がアダムとエバを結び合わせたと言っています。こうして、アダムとエバは、自分たちは、神が結び合わせてくださったことを喜び、感謝して、一緒に暮らしたのです。

また、後に、救いい主イエス・キリスト「神が結び合わせてくださったものを、人は話してはならない」と厳かに語り、夫婦は、神が巡り合わせてくださったもの、すなわち、神が結び合わせてくださったものであることを教えました。

　本当にそうです。わたしたら一人ひとりのことを何でも知っておられる神が、わたしたちの生涯を通しての幸せのために、1番ふさわしい人を伴侶として巡り合わせ、結び合わせ、そして、妻として、あるいは、夫として与えてくれるのです。わたしたちは、自分のことは自分が知っている以上に、わたしたちのことすべてご存じなのです。神は、わたしたち一人ひとりの性質や性格、そして、一生のことを何でも知っています。そのうえで、わたしたら一人ひとりに、1番適切な人、1番

ふさわしい人を伴侶として与えてくれるのです。

　ですから、大切なニとは、結婚生活を何年経ても、あるいは、何十年経ても、自分の妻、また、自分の夫は、世界で1番自分にふさわしい相手として、神が摂理の中で巡り合わせてくださったものと確信して、ともに歩んでいくことです。この確信を生涯持ち続けることが、結婚生活で根本的に大切です。自分自身の経験からもそう思います。

２．

では、幸せな結婚生活のために覚えておくべきもうひとつのことはなんでしょう。すると、それは、夫婦は一体、夫婦はひとつということです。夫婦は、もちろん、数の上からは2人ですけれども、しかし、結び付きの硬さと深さと豊かさにおいて、これに勝るものはほかにはありませんので、2つでなくひとつ、一体と言われます。世間でも夫婦は一体であるとはよく言われることですけれども、本当にそうです。

聖書においてもそうです。旧約聖書の創世記でアダムとエバの結婚においても、「・・・男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる」と言われています。また、後に、救い主イエス・キリストも、その旧約聖書の創世記言葉を引用し、さらに、夫婦の一体性をより強く、より厳かに教えました。「それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。だから二人はもはや別々ではなく、一体である」と言われましたが、聞いておられても、夫婦の一体性がとても強く伝わってくるでしょう。

　そして、さらに、夫婦の一体性については、イエス・キリストとの弟子のパウロも強調しました。パウロは「妻を愛する人は、自分自身を愛しているのです」また「妻を自分のように愛しなさい」と教えています。わたしは、あるときに、ここを読みまして、ウワー、すごいことが書いてあると思いましてはとてもびっくりしました。それとともに、キリスト教信仰における結婚観の素晴らしさ、深さ、豊かさというものを確信しました。夫が、妻を愛することは、妻との一体性のゆえに自分を愛することと同じなのであるというのです。そして、もちろん、妻の側から見ても同じです。妻が、夫を愛することは、夫との一体性のゆえに、自分を愛することと同じです。

もし、夫が妻を軽んじるのであれば、それは、一体性のゆえに自分を軽んじることと同じです。もし、妻が夫を軽んじるのであれば、それは、一体性のゆえに、自分を軽んじることと同じなのです。それゆえに、そういうことをしないのです。夫が、妻を大事にし愛し尊ぶことは、一体性のゆえに、夫が、自分を大事にし愛し尊ぶことなのです。また、妻が、夫を大事にし愛し尊ぶことは、一体性のゆえに、妻が自分を大事にし愛し尊ぶことなのです。

　キリスト教の結婚観は、何と素晴らしいのでしょう。こういう教えを繰り返し聞いて、結婚生活を築いていくクリスチャンは、どれほど神の祝福が豊かか計り知れないでしょう。

結び

以上のようにしまして、幸せな結婚ために覚えておくべきこと二つを短くお話ししましたが、結婚によって築かれる新しい家庭に、神からの豊かな祝福を心からお祈りいたします。