エレミヤ書３１章３１節−３４節、３１章３１節−３４節

　本日は、旧約聖書に親しむという趣旨で、２カ月に１度の旧約聖書からのお話です。前回は、旧約聖書のイザヤ書からお話したので、今回は、次のエレミヤ書からお話をします。

　そこで、最初に、エレミヤ書とは何か、また、いつごろ、何のために書かれたかをお話します。エレミヤ書は、預言者エレミヤを通して語られた神の御言葉ですが、エレミヤという預言者は、悲しみと希望を語ったので、昔から、悲しみと希望の預言者と言われてきました。

　すなわち、エレミヤの時代は、キリスト出現より６百数十年前で、紀元前７世紀でした。１０部族からなるイスラエルの北王国は、アッシリア帝国によってすでに滅ぼされ、残っていたのは、エルサレムを中心とした２部族からなる南王国のユダ王国だけでした。しかし、そのユダ王国も、真の神ヤハウェから離れ、人々は、バアルとかアシタロテというカナンの地の異教の神々を熱心に拝んでいました。

　それゆえ、預言者エレミヤは、ユダ王国の人々が悔い改め、異教の神々を捨て、真の神ヤハウェに立ち返らなければ、新しく起こってきたバビロン帝国によって滅ぼされると警告し、悔い改めを求めました。しかし、受け入れられず、拒否され、その結果、ユダ王国は、バビロンに攻められ、捕囚され、崩壊します。

　そこで、エレミヤは、ユダ王国のバビロン捕囚を悲しみの中で語りましが、しかし、同時に、７０年後には、バビロン捕囚から解放され、再び、イスラエルの地に帰れることを希望として宣べ伝えました。そこで、エレミヤは、悲しみと希望の預言者と言われました。エレミヤは、４０数年間、神から立てられた預言者として忠実に働き、最後は、エジプトで生涯を終わったと伝えられています。

　エレミヤの時代は、中近東、オリエント世界の激動の時代で、神の民イスラエルが、アッシリアとバビロンとエジプトの３つの大国間にあって、揺さぶられる時代でしたが、エレミヤは、そのような困難の中にあっても、イスラエルが、目に見えない生ける真の神を固く信頼することを一貫して、訴え続けた預言者でした。

　そして、エレミヤ書の内容を見ていきますと、預言者として召されるところから始まって、バビロン捕囚が訪れること、しかし、７０年後には再びバビロンから戻れることが希望として約束されています。そして、また、救いを与えるのに動物の血を流す旧約時代の古い契約の方法は、霊的効力が弱いのですが、将来、救い主メシアが出現し、救いを与えるのに御自身の血を流すという新しい契約の方法は、聖霊が内面から働く、実に豊かで強い霊的効力を持つゆえに、神の民は、神を深くよく知り、神との親しい交わりの中に喜んで歩み、もはや他の神々に心を向けなくなるという新しい契約の予告をしました。

　そして、実際、今日の神の民である教会、霊のイスラエルであるクリスチャンは、救い主メシアのイエス様が出現し、十字架にかかって御自分の血を流してくださる新しい契約の方法で救いを与えてくださるゆえに、心、魂、霊魂に、聖霊が実に豊かに働き、クリスチャンは、神との親しい交わりの中で十分満たされ、日々喜んで歩みができます。わたしたちは、エレミヤが予告した新しい契約の豊かな祝福を今日たっぷり受けて、潤されています。心から感謝したいと思います。

それで、本日は、２点、お話をします。第１点は、エレミヤは、預言者に召されたという点です。第２点は、エレミヤは、古い契約は終わり、はるかにまさる新しい契約が始まることを予告をしたという点です。１語１語、また、１節１節、詳しくお話できませんので、要点を簡潔にお話します。

１．エレミヤは、神により預言者に召されました

　早速、第１点に入ります。第１点は、長くお話しますが、エレミヤは、神により預言者に召されたという点です。エレミヤが、どんな人かが紹介されています。１節から３節がそうです。まず、エレミヤの出身地がわかります。１節に「アナトト」とありますが、「アナトト」は、エルサレムの北東、４、５キロメートル離れた小さな村で、代々、エルサレム神殿で仕える祭司の家柄の息子であったことがわかります。

　また、「エレミヤ」という名前そのものの意味は、「主は高められる」、あるいは、「主は、母胎を緩める」、あるいは、「主は、見つけ出す」というような意味と考えられています。そして、エレミヤが、活躍した時代は、２節と３節にありますように、ヨシヤ王の時代から始まってその息子のヨヤキム、さらに、ユダ王国の最後の王のゼデキヤの時代の４０年以上に及びます。

　その間、エレミヤは、バビロン軍によるエルサレム攻撃、包囲、陥落、そして、バビロン捕囚を自分の目で見ました。自分の愛する祖国が、背教に対する神の裁きにより、敵の大軍によって攻撃され、多くの人々が死んだり、傷ついたりして、大敗北し、多くの人々が捕虜として惨めに連れ去られ、祖国が崩壊するのを自分の目で見ることは、本当に悲しかったでしょう。エレミヤが、悲しみの預言者、涙の預言者といわれるゆえんです。

　さて、では、エレミヤは、どのようにして預言者として召されたのでしょう。すると、神の御計画によって聖別され、選ばれ、生まれてきたのですが、実際には、２０歳前後の若いときに、召されたと考えられています。４節から１２節がそうです。５節を見ますと、「わたしはあなたを母の胎内に造る前から　あなたを知っていた。母の胎から生まれる前に　わたしはあなたを聖別し」と言われており、神の主権的御心としてのエレミヤの召しが非常にはっきり語られています。

　「母の胎内に造る前から　あなたを知っていた。」というのは、エレミヤがお母さんのおなかに宿る前、すなわち、エレミヤが存在する前から、神は、エレミヤを預言者として御心によって選んでいたという意味です。また、「母の胎から生まれる前に　わたしはあなたを聖別し」というのは、エレミヤが、お母さんから生まれ出る前に、すでに、神は、エレミヤを預言者の働きのために、この世の働きから区別しておいたという意味です。それゆえ、イスラエルの民は、神が立てた権威ある預言者としてのエレミヤに耳を傾け、その語ることに従順に従うべきです。

　わたしたちはここを読むとき、新約聖書の中にも、これに感じが似た、使徒パウロの召しを表す強い表現を思い出します。新約聖書のガラテヤの信徒への手紙１章１節がそうです。読んでおきますと、 「人々からでもなく、人を通してでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中から復活させた父である神とによって使徒とされたパウロ」とありまして、パウロが使徒に召されされたのは、キリストと神であることが強調されています。それゆえ、人々は、パウロの語ることに耳を傾け、従順に従うべきことが伝わってきます。神は、預言者エレミヤを通して語り、使徒パウロを通して人々に語りました。今日は、彼らの書いた聖書を通して、神はわたしたちに権威をもって語ります。

　エレミヤが預言者に召されたのは、何歳ぐらいでしょう。すると、６節に、「わたしは若者にすぎませんから。」とあります。エレミヤは、２０歳前後の「若者」であったと考えられています。１８歳ぐらいと考える人もいます。旧約時代の家父長制の時代の年配者が支配する社会において、２０歳前後は、まだまだ若僧でした。神殿で働く祭司も、３０歳になってから奉仕ができました。救い主のイエス様も、３０歳ほどで公生涯を始めました。したがって、２０歳前後というのは、とても若く、人々の前に立って指導できる年齢ではないので、エレミヤは尻込みしました。

　しかし、神は、ご自分の臨在を約束して、エレミヤを立ち上がらせました。神は尻込みしている若者エレミヤを励ますために、象徴的行為をしました。これは、幻の中でと思われますが、神がご自分の手をエレミヤの口に親しく触れ、神の言葉をエレミヤの口に入れました。これによって、エレミヤの内に神の御言葉が入り、エレミヤは諸国民の運命を語ることになります。

９節に、「主は手を伸ばして、わたしの口に触れ、」とありますが、これは象徴的行為で、神の言葉が、エレミヤに入り、今後、神の言葉の器となり、諸国民の運命を語ることを意味します。また、１０節に、「抜き、壊し、滅ぼし、破壊し　あるいは建て、植えるために。」とあり、６つの言葉が使われていますが、これらの言葉は、木や植物や建物について使われる言葉ですが、木や植物を植えたり、抜いたり、建物を建てたり、壊したりのたとえで、諸国が栄えたり、衰えたりの運命が語られています。すなわち、エレミヤは、当時のオリエントの諸国の運命を語ることになります。

　エレミヤの時代の中近東は、オリエントは、歴史の大激動の時代でした。１０部族からなるイスラエルの北王国を滅ぼしたアッシリア帝国も力を失いつつあり、代わって、バビロン帝国が大きな力を持ちつつありました。そして、南には、古くからのエジプト帝国がありました。そして、それらの大国の間に、２部族からなるイスラエルの小さなユダ王国が細々と続いていました。しかし、そのユダ王国も真の神ヤハウェへの信頼を失い、カナンのバアルやアシタロテという異教の神々に心を寄せている状態でした。そこで、神は、それらの国々をひとつひとつよく見張っていて、それぞれの国がなす業に従い、それぞれの国の運命を、エレミヤ通して語らせるのです。神は、諸国を見張る者でした。

　１１節と１２節を見てみましょう。神が、エレミヤに何が見えるかと尋ねると、エレミヤは、幻の中で、アーモンドの枝が見えると答えました。すると、神は、その通りだ。神は、諸国に対してご自分の意志を実現しようとして見張っていて、諸国に対するご自分の意志を、エレミヤを通して語らせるという意味です。

　それで、ここには言葉合わせ、語呂合わせがあります。１１節に、「アーモンド（シャーケード）の枝が見えます。」とあります。「アーモンド」というのは、今日のわたしたちも、アーモンドの実を食べますが、１月から２月にかけて、他の植物に先駆けて早く、白い花を咲かせることで知られています。そこで、アーモンドの木は、早く咲いて、他の植物の見張りのような役割を果たすので、たとえとして用いられましたが、「アーモンド」は、ヘブル語で、「シャーケード」と言いますが、見張る者は、ヘブル語で、「ョーケード」と言い、とてもよく似ています。そこで、神は、「アーモンド（シャーケード）」と引っ掛け、語呂合わせとして、「わたしは、わたしの言葉を成し遂げようと　見張っている、すなわち、『ショーケード』」であると言いました。

　神は、イスラエルの民と周囲の国々をよく見張っていて、どのように歩むかをよく見ておられます。そして、それぞれの業に従って、各国の運命をエレミヤを通して語らせるのです。こうして、エレミヤは、４０年以上にわたって、よきときも悪しきときも、神の御言葉を生涯語り続けます。エレミヤにとっては、悪しきときがほとんどでした。でも、神の召しに従い、常にまっすぐに、イスラエルの民に、生涯、神の真理の御言葉を語りました。これは本当に、霊的に素晴らしく、尊く、絶大な価値のあることでした。

　このことは、今日の教会に霊的に当てあまります。わたしたちの教会も神に立てられ、みんなで力を合わせ、長きにわたり、粘り強く、人々に神の御言葉、福音、キリストによる救いを語り続けてきましたが、これは本当に、霊的に素晴らしく、尊く、絶大な価値のあることです。人を真に生かす神の御言葉を語ることほど、絶大な価値のあるものは、他にはありません。確かに、神の御言葉を語り続けたからといって、すぐに直ちに、信じる人々が、どんどん起こされ、教会がみるみる大きくなるということは必ずしもありません。しかし、神の御言葉を、うまずたゆまず語り続けることがとても大切です。語り続ける中で、聖霊の豊かな働きにより、真の神の存在を知り、恵みにより、希望のないむなしい罪の生活から救われ、永遠の生命によって日々喜び生かされ、人生の全領域で神の栄光を表す人々が必ず起こされてくるのです。現に、わたしたち自身がそうでした。

　これからも、日本社会にあって、人を真に生かす神の言葉を、聖霊の豊かな力によって語り続ける真理の柱なる教会として、みんなで歩んでいきたいと思います。みんなが、教会形成に参加するようにしましょう。

さて、ところで、預言者エレミヤが、ユダ王国の人々に語るメッセージは、何であったでしょう。すると、それは、悔い改めようとしない民に対し、バビロンが懲らしめの道具として神に用いられるというメッセージです。エレミヤは、幻の中で、グツグツ煮え立った鍋が、北の方から、南へ傾いて、吹きこぼれているのを見ましたが、それは、バビロンを象徴していました。

　１３節に、「煮えたぎる鍋が見えます。北からこちらへ傾いています。」とありますが、これがそうです。鍋というのは、当時は、陶器か鉄でできた口の広い器のもので、水が口までいっぱいに入っていて、北の方から南の方に少し傾いて、南側へ、吹きこぼれている状況と考えられます。「北からこちらへ傾いています。」とありますが、この表現で、陶器か鉄でできた鍋、あるいは、釜が、南側へ傾いて激しく吹きこぼれている姿を現します。

　そして、「北から」というのは、北から攻めてくるバビロン軍を象徴しています。従って、預言者エレミヤの中心メッセージは、偶像礼拝の罪を犯し続けて、悔い改めないユダ王国に対し、神は、北から攻めてくるバビロン帝国を用いて審判するというメッセージになります。１６節で、「 わたしは、わが民の甚だしい悪に対して　裁きを告げる。彼らはわたしを捨て、他の神々に香をたき　手で造ったものの前にひれ伏した。」と言われている通りです。

　しかし、当時のユダ王国の王と国民は、それでも悔い改めず、バビロン捕囚を語るエレミヤを激しく迫害します。エレミヤ書を読んでいきますと、エレミヤが受けた迫害による苦しみが次々と描かれています。あるとき、彼らは、エレミヤを捕らえ牢屋にいれたり、また、泥の穴の中に閉じ込めるというような拷問さえしました。預言者エレミヤは、神の御言葉を語るゆえ、悲しくつらく苦しい思いをしました。まことに、エレミヤは、悲しみの預言者、涙の預言者でした。

　では、どうして、エレミヤは、４０数年間にわたり、背信のユダ王国において、逆境の中でも、崩れることなく、神の言葉を語り続けることができたのでしょう。すると、それは、力の源である全能の神が、いつも自分と共にいてくださることを信じ続けたからです。そこで、今日のところにおいて、神は、いつもエレミヤと共にいてくださることを２回も語って励ましてくださいました。８節がそうです。「『彼らを恐れるな。わたしがあなたと共にいて　必ず救い出す』と主は言われた。」。また、１９節がそうです。「彼らはあなたに戦いを挑むが　勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、救い出すと　主は言われた。」。

　「わたしがあなたと共にいて」というのは、ヘブル語で、「イッテカ　アニー」と言いますが、８節にも、１９節にも、「イッテカ　アニー」、すなわち、「わたしがあなたと共にいて」と出ていますが、何と力強い言葉でしょう。神が共にいてくださるということは究極の表現です。これ以上の表現はありません。天地万物を無から造られた全能の神が共にいてくださることは、神に造られた被造物である人間にとって、最も力と勇気と励ましと希望を覚える究極の表現です。

　そして、このことは、もちろん、今日も当てあまります。天地万物を無から創造された全能の神は、今日、誰と共にいてくださるのでしょう。全能の神は、何があっても、いつも変わらず、教会と共にいてくださいます。全能の神は、何があっても、いつも変わらず、教会と共にいてくださいます。全能の神は、何があっても、いつも変わらず、あなたの家庭と共にいてくださいます。全能の神は、何があっても、いつも変わらず、あなた共にいてくださいます。全能の神は、何があっても、いつも変わらず、わたしと共にいてくださいます。ですから、教会は大丈夫です。あなたの家庭は大丈夫です。あなたは大丈夫です。わたしは大丈夫です。わたしたちは、共にいてくださる全能の神から、力と励ましと勇気と希望を無尽蔵に豊かに汲み出し、この日本の社会において、神の栄光を表す価値ある歩みを、これからもしていきましょう。

２．古い契約は終わり、はるかにまさる新しい契約が始まります

第２点に入ります。第２点は、エレミヤは、古い契約は終わり、はるかにまさる新しい契約が始まる予告をしたという点です。エレミヤは、旧約時代の動物犠牲の血を流して救いを与える効き目の弱い契約の方法は古くなって終わり、将来、約束のメシアが出現するときには、メシア御自身が血を流して救いを与える効き目がはるかに豊かな新しい契約の方法が開かれることを予告し、その時を待ち望むように語りました。それが、３１章３１節から３４節です。

３１節に、「イスラエルの家、ユダの家」ありますが、この表現で、イスラエルの民を表します。そして、「新しい契約」とありますが、「新しい契約」というのは、厳密には、契約の新しい方法という意味です。神は、救いを与えるときには、いつでも契約という方法で与えてくださいます。

では、旧約時代において、救いを与える方法はどういう方法だったでしょう。それは、シナイ契約といわれる方法でした。すなわち、出エジプトしたイスラエルの先祖たちが、シナイ山のふもとまできたとき、神は、救いを与えることを、契約で約束してくださいました。出エジプト記２４章に出ておりますように、雄牛の血を流して、民の罪をあがない、赦して救う方法でした。そして、神の民となったしるしとして、イスラエルの民は　十戒、１０の戒めに表された神の御心を守ることを求められました。

ところが、動物犠牲の血を流して、罪を赦して救う方法は、霊的な効力に限界がありました。すなわち、動物の血は霊的力が弱いのです。それゆえ、イスラエルの民は、真の神ヤハウェを忘れ、バアルとかアシタロテといわれるカナンの異教の神々に心を寄せて背教し、神の裁きにより、すでに、１０部族からなる北王国は、アッシリア捕囚されて滅びてしまいました。

エレミヤの時代も、残っていた２部族からなるユダ王国が、異教の神々に心を寄せているありさまでした。こうして、イスラエルの民は、神との契約を破り続けていました。エレミヤは、動物犠牲の血を流すこの古い方法はやがて終わりを告げ、霊的力が圧倒的に強くて豊かな救いの方法が、将来開かれることを洞察しました。それが、救い主メシアが出現し、人間の身代わりとなり、救いのために、御自身の血を流す新しい方法でした。これは、聖霊が豊かに働くので、霊的な効き目が、内面的で、驚くほど豊かなのです。そのため、お互い同士で、あなたは神を知りなさいなどと教え合う必要がないと言えるほどの豊かな神の知り方です。また、社会の身分にかかわらず、だれでも、神を豊かに知ることができます。

　３３節に、「来るべき日」とありますが、「来るべき日」とは、将来、約束のメシアが出現するときのことです。約束のメシアが出現すると、ご自分の血を流して罪のあがないをしてくださるのです。それゆえ、動物の血とは違って、霊的効力は圧倒的に豊かで、神の御心を人々の心の中に深く授け、記し、内面化しますので、神と民との交わりは、旧約時代とは比べものにならないほど霊的に豊かで、民は、「律法」、すなわち、神の御心を十分知り、もはや、お互い同士で、神を知りましょうといって教え合ったりする必要がないほどです。

　「わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。」とありますが、旧約時代は、神の御心の表れである律法、すなわち、十戒、１０の戒めは、２枚の石の板に書かれて、人々の外側にありましたが、しかし、約束のメシアが現れ、人々の罪のあがないをし、聖霊がくだってからは、聖霊が一人ひとりの心に豊かに働き、神の御心は、一人一人の心の中に内面化され、とてもよくわかるようになりますので、もはや、お互い同士に、神を知りましょうといって教え合ったりする必要がないと言えるほどです。

　３４節に、「小さい者も大きい者もわたしを知るからである。」とありますが、小さい者と大きい者というのは、身分の低い者や身分の高い者、また、若者や老人を表しますので、意味は、身分の低い者や身分の高いものという身分の差、また、若者や老人という年齢差を超え、だれでも、メシアによる罪の効果的なあがないと聖霊の内面的な豊かな働きによって、神の御心を十分知り、神と深く親しく交流できることを意味します。

　こうして、旧約時代の動物犠牲による救いの方法よりも、メシア、キリスト御自身の十字架上の血を流す犠牲による罪の赦しの方法が、霊的効力が圧倒的に豊かで確実です。以上のようにして、神は、メシアを通し、ご自分の民の悪と罪を赦し、民の罪を２度と心に留めることはしないのです。完全に赦してくださるのです。

　そして、実際にその通りになりました。約束のメシアであるイエス様が出現し、十字架にかかり、御自身の血を流し、人々の罪を赦してくださいます。そこで、イエス様は、御自分の十字架の死を記念して行う聖餐式を設定するとき、ルカによる福音書２２章２０節で、「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による新しい契約である。」と言われました。「新しい契約」というのは厳密に言えば、救いを与える契約のより優れた新しい方法という意味です。本当にそうです。メシアのイエス様が十字架上で、血を流し、御自身を犠牲として救いを与える方法は、旧約時代の、動物の血を流して救いを与える方法に比べると、比較にならないほど霊的に強い効果を持っていて、人々を、神と深く親しく交流させ、心、魂、霊魂全体を深く豊かに包み込んで、今も、後も、永遠に満ち足らわせることができます。

　本当にそうです。聖歌の中に、「キリストにはかえられません」という賛美歌があります。南浦和教会の聖歌隊も以前に歌ってくれました。キリストが十字架で御自分の血を流し、ご自身を犠牲とする方法によって与えてくださる救いは、他の何物にも代えられないのです。「キリストには　かえられません。よのたからもまたとみも　このおかたが　わたしにかわわってしんだゆえです。キリストにはかえられません。ゆうめいなひとになることも　ひとのほめることばも　このこころをひきません。キリストにはかえられません。いかにうつくしいものも、このおかたでみたされてあるいまは。よのたのしみよされ。よのほまれよゆけ。キリストにはかえられません。よのなにものも」と歌います。

　本当にそうです。聖い神の子キリストが御自身の血を流す方法で与えてくださる救いを与えられれば、もう他には何もいらないと言えるほどでしょう。また、聖い神の子キリストが御自身の血を流す方法で与えてくださる救いを与えられれば、自分は生まれてきてよかった、自分は本当に幸せであったと確信をもって表明できるでしょう。聖い神の子キリストが御自身の血を流す方法で与えてくださる救いを与えられれば、自分はもうすべてのものを得たと満足し、神に心から感謝できるでしょう。こうして、わたしたちは、エレミヤにより６百数十年前から予告されていた新しい契約の方法により、救いと祝福と永遠の生命を受け、日々喜んで人生を歩んでいます。キリストが御自身の血を流す、旧約時代とは違う新しい方法で与えてくださる救いを与えられれば、どの人も必ず、真に生かされるのです。あなたもわたしも真に生かされます。

結び

以上のようにして、エレミヤ書を見ます。特に、わたしたちは、預言者エレミヤが予告した新しい契約、すなわち、救いを与えるための契約の新しい方法は、イエス・キリストが十字架上で御自身の血を流すことにおいて実現し、今、恵みとして、わたしたち一人ひとりに、惜しみなく与えられものであることを覚えたいと思います。わたしたちも、信仰により、自分のものとしましょう。そして、さらに、契約の新しい方法によって与えられるキリストによる素晴らしい救いを、聖霊によって伝える教会、また、証する信徒として今の時代に歩みましょう。４０年の歴史を持つ南浦和教会は、これからも、日本にあり、聖霊の力により、神の言葉を語り続ける真理の柱なる教会として、歩み続けましょう。

お祈り　

恵み深い天の父なる神様、

少しずつ、秋の気配になっていますが、本日も、週の最初の日に、礼拝に導かれ感謝いたします。本日は、２カ月に１度の旧約聖書からのお話で、エレミヤ書のお話をしました。エレミヤにならい、わたしたちの南浦和教会も、良き時も悪しきときも、あなたの御言葉を語り続けることができるように、聖霊よる力づけをお与えください。

　また、エレミヤが予告した通り、今、わたしたちは、キリストの血による素晴らしい救いを与えられ、日々あなたとの交わりに、心、魂、霊魂が、豊かに満たされていることを感謝いたします。これからも、わたしたち、一人一人が、信仰により、キリストにしっかり結びついて、各自の置かれたところでよい証ができるようにしてください。

　４０年の歴史を持つわたしたちの南浦和教会が、みんなで力を合わせ、これからも日本にある真理の柱なる真の教会として歩めるようにお導きください。

　本日集まることのできなかった方々に、それぞれのところで、顧みをお与えください。健康の弱さを覚えている方々、いろいろな困難に出会っている方々に、支えと励ましをお与えください。

　また、意識不明となり、先週の主日以来、入院しております大橋修治さんとともにあなたがいてくださり、修治さんの魂に平安をお与えください。そばで看病しておられる俊子さんや悦子さんを励まし支えて下さい。

　今週は、川越で、第６０回の定期大会も行われますが、祝福をお与えください。わたしたちの教派が、日本にあって、福音宣教と教会形成の大切なわざを前進させることができるように、聖霊の力をお与えください。

　今週１週間、わたしたちがどこにあっても豊かに祝福してください。これらの祈りを主イエス・キリストの御名により御前にお献げいたします。アーメン