ブロミリィのまえがき

 わたしたちがそれをどのように評価しようとも、カール・バルトの「教会教義学」（Church Dogmatics）は、近代の神学の世界における最も大きな力のひとつである。その広大さと多様性、その包括性と詳細さにおいて、それはどの学派への挑戦を構成する。また、戯画や抜本的な一般化によって出会われることもない。個々の主題は、バルト自身がそれらをそれに展開する釈義的、歴史的、教義学的なレベルでの分析と評価を探求することを要求する。詳細な扱いにおいてのみ、その全体の究極的な理解と評価があり得る。

　ルーニア博士が、この予備的な問題に取り組んでいるため、彼の現在の著作は非常に重要である。彼は、一般的な書籍のリストに追加しない。重要で敏感な領域を選択し、彼はその規範的な形態における霊感についてのバルトの教えを提出する集中された任務に自らを献げている。彼の分析の過程で、彼はバルトの叙述の提案された聖書的基礎を精査し、そして、それを、バルトが自分が提出していると信じている宗教改革の伝統との生きた相互作用にもたらす。ひとつの点を徹底的に調べることによって、ルーニア博士は、こうして、わたしたちに、より包括的な研究であり得るよりも、はるかに有益で、権威ある批判を与えるのである。

　その結果は、広く研究されるに値する貴重な著作であり、また、「教義学」（Dogmatics）の多くの詳細な主題への同様の研究に対するモデルとして役立つはずである。それは狭い学問的関心以上のものを与える正直さと適切性によって特色づけられる。真の問題に直面しており、最も正統的な叙述においてさえも、不足している可能性があることが率直に見受けられる。しかし、伝統的な教理の偉大な真実は、この強力な議論のために明白かつ強くなり、それらが再びより広い神学的な前線において有益な影響を与えることができるような方法で現れるのである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　G.W.ブロミリィG.W.Bromiley）