| 第３部：罪と悪 序論：善き創造・・・堕落 非常に無口な大統領が、日曜日の朝、教会から戻ったとき、彼の妻から尋ねられた。「牧師は、何を説教したか」と。「罪」と、彼は答えた。「罪について、何を語ったのか」。「彼はそれに反対した」。 これまでのところ、わたしたちの人生にはびこる罪深さにわたしたちの注意を向けるとき、とても良い。しかしながら、堕落した被造物を扱うことにおいて、わたしたちは、単純に、善き創造の教理の背後に去ることはできない。神の力強い創造的な行為は、実際、過去に属す。世界の歴史におけるその章は、今や、閉じられたのである。「第一次的創造」（primary
creation）（無からの創造：ex nihilo）と「第二次的創造」（the six days）は、一度限りの出来事を表す。その意味において、「太陽の下、新しいものは何ひとつない」（nothing
new under the sun）。 しかしながら、「第三の創造」（tertiary creation）（神の世界におけるわたしたちの役割）に関しては、別である。被造物性として理解された創造、すべてのものの進行中の被造物的地位と機能は、神の言葉に対する永遠的な設定である。この創造者・被造物の関係性から離れては、わたしたちの最初の罪、わたしたちの罪深い状態、わたしたちの現実の罪、わたしたちにおけるかつわたしたちの周りにある悪の圧倒的な現存について聖書的に方向づけられた教理を形成し始めることさえもできない。創造についての高い観方のみが、神の世界におけるわたしたちの生活の重くかかる普遍的な呪いについての根源的な深さを露出するための明らかな方法である。堕落した被造物の恐ろしいリアリテーを、わたしたちに直面させるのは、罪とその結果についての聖書の証言なのである。 罪は、完全な不適合（a total misfit）としての創造‐堕落‐贖いの回復の聖書の物語の線に属す。その初めにおいて、しかし、現在の実存的なリアリテーとしても、わたしたちをわたしたちにしている歴史的な瞬間の壊せない鎖として聖書が鍛造する動かすことができないリンクとして 罪は立っている。とはいえ、それは実際には「そこに属して」（“belong”
there）いない。それは、反規範的な妨げである。それは、創造の善き秩序の織物にスムーズにそれを織り込む全ての企てを汚す。それは、まさに、「不適格であり」（not
fit）であり、丸い穴の四角い止釘（peg）のように。 敏感なクリスチャンたちは、このことを、日々の生活において経験している。しかし、罪の不協和音、衝突音が、わたしたちの神学的な反省を指揮することごとくの企てに現存する。罪は、どこにもない。それは、それ自身の「場所」（“locus”）に値しないのである。とはいえ、根源的で、一掃的な影響は、すべてのものを方向づけ、それを避けることを、わたしたちに許さないであろう。それゆえ、わたしたちは、どこに罪の教理を置いたらよいのだろうか。この場所の疑問は、重要ではない。というのは、論題が扱われるところには、人の全体的視野への重要な指標があるからである。改革派教義学においては、それ以上、それ以下でもなく、罪の教理に橋渡しの役割を許すことが最善である。それは、創造の規範の考察から贖いについての福音の更新された規範性への反規範的で移行的な機能に仕えるのである。それは、創造の秩序の侵犯を表し、また、そのようなものとして、キリスト・イエスにおける救いの神の途のためのステージを備えるのである。 この見解は、カルヴァンの「綱要」（Institutes）における思想の流れにおいて反映されている。第１巻において、彼は創造者としての神の認識について扱う。それから、彼は、直接、第２巻に動く：贖い主としての神についての認識である―こうして、罪ついての介在する「１巻」(an
intervening“ book”)なしに創造から贖いに移行する。カルヴァンは、罪についての疑問に「同等の時間」（“equal time”）を与えることを拒否しているのである。代わりに、彼は、それを贖いの論題に下に抑える（第２巻 １－６）。罪とその結果についての教理は、キリストの人格とみわざに伴われて、律法と福音を論じるための機会として仕える。それは、風変わりなメモであり、創造と贖いの主な動きの間の小さな鍵で演じたのである。 こうして、彼の神学における「場所」（locus）としての罪を軽視することにおいて、その重大で、壊滅的な影響を縮小することなしに、カルヴァンは、「綱要」（Institutes）において、自分の思考を、使徒信条の三位一体のかなり伝統的な線に沿って、組み立てている。この公同信条において、罪についてのリアリテーは、確かに、第２個条（キリストについて）、第３個条（聖霊について）を色づけており、また、教会についての最後の個条をも色づけている。しかし、罪は、分けられた個条の誉れを与えられていない。罪を信じること」（to
“believe(in)sin”）は、実際、キリスト教共同体にとって嫌悪すべきものである。代わって、罪は、教会の表題の下に抑えられており、そこでは、まじわりにある聖徒たちが、「我は、・・・罪の赦しを信ず」（I
believe・・・the forgiveness of sins）と告白するのである。 同様の抑制が聖書でも典型的である。というのは、その全体の範囲において、またそのすべての部分において、聖書は、イエス・キリストにおける神の救いの啓示である。それゆえ、罪へのわたしたちの堕落の記録は、いくつかの言葉の短いスパンに圧縮されている―創世記３：１－７．この章の他は、聖書全体と共に、この悲惨な出来事の結果に対抗するために、神の介入の展開の物語である。とはいえ、創世記３章の物語は、孤立化したエピソードではない。人間の失敗のそのメッセージは、人間の歴史におけるどの章によっても証明される展開していく聖書のドラマにおけるどのページも色づけるし、あるいは、変色もさせる（（dis）colors）。それにもかかわらず、聖書の焦点は、メシア的約束とその実現である。それゆえ、聖書は、贖いの展開してく好意的な点から最初の罪の行為さえも見ている。 それゆえ、聖書の著者たちが立つところをわたしたちの姿勢として取ることが至上命令である。というのは、わたしたちは、疑問の網にそのように絡み合うので、その結果、この啓示を離れては、わたしたちは、わたしたちの罪深い状態と、それが実際に何であるかに対するわたしたちの実際の罪を見ることに失敗する。悪を見て、罪を見ない。わたしたちは、それに千の偽りのラベルをピン止めする。それゆえ、創造と同様に、罪についても同様に、わたしたちは、聖書が始まるところから始めなければならない。 第１章 Ⅰ．１．罪と悪の起源 聖書を手に持ったクリスチャンが「あからさまに言う」（call a spade a spade）には、手と心が必要である。とはいえ、誰か考えている人は、わたしたちの世界には、永続的かつ広範囲に及ぶ悪がある。人類の「死に至る病い」（“sickness unto death”）の普遍的な意識がある。その忘れられないリアリテーは、いつでもどこでも、精神の最善を行使してきたのである。しかし、何が悪かったのか。いつ、それが起こったのか。どのようにして、それは、生じたのか。これらの困惑する疑問について、ほとんどコンセンサスがない。 何世紀にわたって、キリスト教思想家たち、また、他の者たちは、問題のこの解決困難な複合体と格闘したきた。どのようにして、わたしたちは、わたしたちの罪深い状態、わたしたちの現実の罪、わたしたちの世界において働く付随する邪悪な力を説明すべきか。善き創造の光において、これらの見慣れない力と合意することが可能なのか。わたしたちは、答えを求めて、どこを向けばよいのか。わたしたちの罪の背後の悪の根本原因を明らかにする最も曇った試みでさえも、宗教改革のことわざで―聖書のみ（sola
Scriptura）において最終的に休むにちがいない。聖書の証言は、ことごとくの問題のように、このことについてわたしたちの神学することに対して、議題の設定とパラメーターの確立において決定的である。というのは、わたしたちは、神のこの言葉を超える何の言葉へのアクセスを持たないのである。 それゆえ、わたしたちの最初の罪の背後に潜んでいるある最初の悪を発見することのこれらの落ち着きのない探求に、聖書は、どんな光を投げかけるのか。どのように、わたしたちは、それを「説明する」（explain）のか。それ自身のユニークな方法において、聖書は非常に必要とされ、友好的な限界を厳しく思い出させるものを発している。わたしたちの思弁的な傾向に苛立ちながらも、それは、その起源についてではなく(not
its origin)、罪の初めについてのみ(only the beginning of sin)語る。それが、創造の初めの背後にあるかもしれないどんな神秘をも保護するのとちょうど同じように、創造の堕落の初めについてもそうである。この点においても、わたしたちは、聖書が出発するところから出発する。そして、その出発点においては、ハイデルベルク信仰問答において公式化されているように、これである：「楽園におけるわたしたちの最初の両親の堕落と不従順である」。 この非常に真面目な説明をもって、わたしたちは、わたしたちの平安を作らねばならない。より以上の最初で、究極的な「説明」（explanation）のことごとくの追及は、虚無に来るに違いない。最終的には不可解な不敬虔さの神秘(“mystery
of ungodliness”)である悪の起源は永遠に残る。カルヴァンは、それゆえ、謙遜で、敬虔な無知の精神において、この問題にアプローチすることを擁護している。聖書の限界を破ることを求めることは、「一種の狂気」（a
kind of madness）である。それゆえ、彼は言う。「わたしたちは、人間性の腐敗した性質における定罪の明らかな原因を熟考すべきである―それが、わたしたちにより近い―神の予定における隠れた、そして、まったく不把握的な原因を求めるよりも」（「綱要 Ⅲ．２３．８」）。バーフィンクは、同様の注意書きを響かせている。「わたしたちの罪を把握しようと、あるいは、説明しようと試み者は、あるいは、それが、それは前に行ったことから従わなければならないものを示すこと企てる者は、罪のまさに性質を不当に扱うのである。彼は、善と悪の境界線を曖昧にするし、また、わたしたちの悪を善である何かから追い払うのである」（「改革派教義学」第３巻 ４７頁）。 この点は、ヴェーバー（Weber）によって、さらに再強化されていて、彼は言う。「神秘がその罪に明らかにされることは、すべての説明を超えている。わたしたちは、どのようにして、罪が世に来たのかを言うことができない。創世記３章を中心に展開する聖書の叙述でさえも説明しておらず、かえって、説明できないことを物語る」（「教義学の基礎」第１巻 ６０７頁）。 その進行中の圧倒的な力と同様に、その始まりにおいても、罪と悪（sin-and-evil）は、不把握的なリアリテーとして残る。謎（enigma）、パズル(puzzle)、なぞなぞ(riddle)、愚かさ(folly)、そして愚鈍(stupidity)のような言葉のみが、そのろくでもないその地位を描くことに近い。この不法な侵入者における合法性はないし、またわたしたちを無意味に抑圧するものにおいても意味がない。ベルクーワ（Berkouwer）が次のように語っている。悪の起源を明らかにすることを求めるすべての議論は、「無に縮む」（shrive
into nothingness）と。わたしたちは、それを説明できない。わたしたちは、それを告白することができるだけである。というのは、「・・・告白の行為において、わたしたちは、わたしたちの罪について「説明」にあこがれ(yearn
for an explanation)たり、あこがれることは、できない。わたしたちは、わたしたちの罪を、まさに自分自身のものとして認めることだけができる。・・・もし、何かの指差しがあるならば、それは、まさにわたしたちの目の前に直ちに、そして、反駁できないほどに立っている醜い自己罪責（ugly
self-guilt）にだけにあるべきである。『神よ、わたしを憐れんでください／御慈しみをもって。深い御憐れみをもって／背きの罪をぬぐってください』（詩編５１：３）」（「罪」１９頁）。 ヘンドリクス・ベルコフは、「何故、神は罪を許したのか、そして、まだそれを我慢したのか」という疑問への答えはない。とはいえ、彼は、「それにもかかわらず、。罪を縮小せずかつ自己を正当化しない隠れた動機なしに、この疑問を考察することが可能である」と主張している」（「キリスト教信仰」１９７頁）。 方法論的にベルクーワは、罪と悪の起源についての多くの理論は、批判的に吟味されねばならないことに同意して、述べる。「これらの努力に押しやる力は、そのように強いので、わたしたちは、それらを無視する余裕はほとんどないのである」（「罪」２６頁）。この理論的根拠で、わたしたちは、人類の最初の罪をより深くて、より究極的な原因にさかのぼらせることを求める主な理論に、今や向かうのである。 Ⅰ．１．１．二重の前提 これらの理論を量ることにおいて、わたしたちは、この疑問についてのキリスト教的反省のための限界に伝統的に外接する２つの根本的な原則を覚えておかねばならない。一つは、創造に関し、他は創造者に関する。最初の前提はこれである：創造の善である。罪は、被造物的な地位を要求することができない。悪は、最初から存していた存在論的なリアリテーではない。カルヴァンが言うように、「わたしたちは、生まれつきの汚れ（natural
vitation）によって腐敗している」が、しかし、この罪深さは、性質から流れ出たのではない―すなわち、わたしたちは、（わたしたちの腐敗によって）「生まれつき」罪人なのであるが、しかし、（わたしたちの創造された）性質によってではない」（「綱要Ⅱ．１．１１．」）。というのは、神的な承認の証印は、原初的にどの被造物にもある。繰り返して、神は、創造の新しい秩序を「はなはだ良かった」(very)good）を宣言する。これらは、隠れた欠陥ではない。造り主の創造的な御手のみわざは、それがすべてであることを意味していた―完全に「整然として」（in
order）、神聖であり、聖なるものであった。 それは、わたしたちを、それゆえ、歴史的キリスト教信仰の第２の交渉不可能の教義にもたらす。もし、最初の罪が、創造における何かの欠陥にさかのぼるのでなければ、何の代替物が残るのか。もし、そのとき、神は、何かの「第一動因」（prime
mover）なのか。そのとき、悪が、神に何かの超越的な方法で生じたのか。問題の反対側を制限するのはこの呪い（anathema）である。というのは、「わたしたちがイエスから既に聞いていて、あなたがたに伝える知らせとは、神は光であり、神には闇が全くないということです」（ヨハネ一１：５）。古典的なキリスト教神学は、創造者御自身が何かの意味において、罪と悪の作者、源泉あるいは原因であることをひたすら拒否した。この選択肢は、宗教改革時代の信仰告白においては、最も強い言葉で否認された。「神は、作者でもなく、犯される罪で訴えられることもあり得ない」（ベルギー信条 第１３条）。同様の不承認が、ドルト教憲においても表明されている。「すべての他の罪と同様にこの不信仰の原因あるいは罪は、決して神はなく、人間自身にある」（Ⅰ．１５）。さらに、遺棄についての聖定さえも、「神を罪の作者とすることは、決してない（冒涜であるまさにその思想）・・・」（Ⅰ．１５）。受け入れられない選択肢としてのこれらの「２つの説明」（two
explanations）についてのアプリオリな排除をもって、キリス教思想家たちの思弁的な衝動は、「岩と固い場所」（a rock and a
hard place）の間に挟まれていることに気づいたのである。とはいえ、休息のない精神は、これらの２つの聖書的に同調されていない前提によって、躊躇させられた。数えきれない探求が、「解決」（a
solution）を求めてなされたのである。 Ⅰ．１．２．一元論者の「説明」（Monist“ Explanation”） イスラエルへの神の方法についての古典的な個所への頌栄を閉じるにことにおいて、パウロは、「すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。栄光が神に永遠にありますように、アーメン」（ローマ１１：３６）と書いている。「すべてのもの」（all
things）へのこの言及は、罪と呼ばれる「もの」（thing）も含むことが可能であろうか。最高に主権的な意味において、悪は神的聖定において起源するのであろうか。聖定的神学に向かう傾向のある堕落前予定論的思想家たちの精神を長く鼓舞してきたのが、これらのような疑問である。結局、神の意志を離れては、何も起こらない。繁栄と同様に逆境も、すべてものが神の御手にある。世界の歴史の格子縞のモザイクの全体が、彼の命令の下にある―輝く光も、しかし、暗い窓も。これらの線に沿って推論すると、一元論者の思想家たちは、善と悪を同様に論理的な左右対称の体系に組み込む。 一部の一元論者の神学者たちは、不敬虔の神秘を、神御自身に投影し直すことをためらわない。ファラオの心を硬くしたのは（出エジプト４：２１）、また、ダビデが人口調査をするように扇動したのは（サムエル下２４：１）、神である。「わたしたちの誘惑に遭わせず」という主の祈りの第６の祈願においてさえも、わたしたちは、神が誘惑にドアを開くことを暗に認めているのではないか。そのような思考は、しばしば、神の「啓示された意志」（God’s
revealed will）、従順な生活のための神の規範と、神の「隠れた意志」（his secret will）えお区別することに非難する。そのとき、後者が、神の真のかつ効果的な意志として見なされ、起こることのすべてにおける決定的要因なのである。ときどき、「説明」（an
explanation）が、「啓示された神」（Deus revelatus）と「隠れた神」（Deus abconditus)の間の弁証法的緊張への訴えにおいて求めれる―神の「２つの顔」（the
two faces）である。一つは、神のみわざの良い面を「右手に」（right handedly）示し、他は、闇のみわざにおける神の関与を「左手に」（left
handedly）示すのである。 人は、そのような神学化を、聖書における神の自己啓示に課す強調と抑制を逃れることができない。というのは、彼は、「神は無秩序の神でなく、平和の神だからです」（not
a God of disorder ,but of peace)（コリント一１４：３３）。そのとき、どのようにして、悪の全く無秩序の力が、「適切さと秩序」(decency
and good order)の神と調和され得るのか(４０節)。この問題に注意して、一部の神学者たちは、罪についての神の意志を、「許容」（permission）として定義する。わたしたちが、特別な罪の行為に焦点を当てるとき、話の筋が複雑になる。神は、一般的に罪を意志するが、しかし、個々の罪は意志しないと、ときどき論じられる。他の場合には、論拠は保留される。しかしながら、罪は、曖昧な抽象ではなく、わたしたちを、常にリアリテーで圧倒する。それゆえ、わたしたちが、具体的な罪深いひどい行為に向くとき―計画的な殺人、致命的な出来事、ドラッグ文化、胎児の欲求不満の虐殺、テロリストの爆弾―何らかの因果関係の方法でそのような壊滅的な経験を神に関係させるわたしたちの頑固な企てのすべてに、聖書的な感性は抵抗するのである。 罪と悪の「説明」（ab explanation）を神の聖定に集中させる思想の閉鎖的な体系の中に組み込むそのような痛みを伴う努力は、確かに理解できない。それは、その誤りを伴ったスコラ神学のわたしたちの長い遺産の副産物なのである。一つの点において、少なくとも、そのような神学は、称賛に値する。それは、邪悪を独立した自律的な地位を与えることを断固として拒否する。一部の聖定論的神学者たちがするように、聖書を読むならば、あるテキストがこれらの「解決」（“solutions”）に妥当性を与えるようにさえも見える。それにもかかわらず、因果性の問題的理念は、改革派信条によってそのように厳しく拒否されているが、善と悪を同様に唯一つの原則に還元することごとくの一元論者の企てにおける落とし穴にほとんど不可避的に陥るのである。 悪は、神的な起源を持たないし、「ある意味においても」（in a certain sense）さえも持たない。神は、ある意味において、わたしたちの最初の罪を「説明する」（“explain”）原因ではない。反対のことを推測することは、まったくの思弁である。それは、福音の鼓動から、わたしたちを遠ざける。ルターの言葉は、なおも立つ：「神を神とせよ！」（Let
God be God！）。彼は、全能であり、罪の荒廃の前においてもさえもである。悪そのものも「善き御手にある」（in good hands）。神は、罪を妨げることができるし、それを善き目的のために曲げることもできる（創世記５０：２０）。彼は、「曲がった棒をまっすぐにできる」。しかし、神が厳密に神であるから、罪と悪との彼の関係性は、排他的に正しい憤慨、正しい裁き、和解、そして、最後に、完全な贖いにおいて、しるしづけられる。しかしながら、その間、バーフィンク（Bavinck）が言うように、悪の力は、「神の創造において、神によって忍耐される最も大きな矛盾であり、また、彼の栄光のために、手段として義と正義の道において、神によって用いられるのである」（「改革派教義学 第３巻 １２６頁」。ベルクーワ（Berkouwer）は、同様の調子を表明している：「神は人間の罪を妨げる―深遠な神秘の啓示において、彼が彼の罪を命じもし、贖いもするのである」）「罪」６２頁）。 罪と悪の起源を「説明する」（“explain”）一元論者の企てにおいて、カルヴァンの解釈学は危機に瀕している：聖書以上のことを言うことを試みよ、というのは、それは貧困を意味するからである；しかし、それ以上も言わないようにせよ、というのは、それは思弁に導くからである。聖書の解放のメッセージは、どのように霊的は暗黒が始まったかについて、わたしたちの理解のため、しかし、また制限を課して、その可能性を提供するのである。 もし、それゆえ、聖書的で、信仰告白的な基礎において、わたしたちの罪深さをわたしたちの創造者に関係させることが不合法ならば、そして、もし、さらに、悪の力が創造における存在論的なリアリテーとしてないのであれば、思弁によって、これらの起源を説明することを求める人々に、何が残されているのか。コノジレンマに直面して、あるクリスチャンたちは、二論者たちの「説明」（explanations）に手を出した。神を、この恐るべき責任から解放するために、彼らは第二の神性の共存（the
coexistence of a second deity）を置く。キリスト教信仰の神は、光の源である；他は、反神（an antigod）であり、彼は、世界に暗い呪文を投げかける。これらの２つの神は、離れた極であるが、しかし、それにもかかわらず、共に等しく、共に永遠的である。すべての世界史は、それら間の容赦のない権力闘争の現れである。人生は、戦場であり、２つの対立する力がお互いに戦うわたしたちは、戦闘のこの十字砲火において逃げられないほど捕らわれている。幸せな結果の保証なく究極的で、恐ろしい運命の悲劇的な犠牲者なのである。 この見解においては、わたしたちの没落に導く悪は、偽物の神的な起源を持つ。罪と悪は存在論的なリアリテーであり、善と平和と同様に現実であり、究極的である。それらは、自律的な力を表し、聖書の神から独立し、また反して、行動する。その結果は、絶対的なジレンマであり、お互いに不和解的に対立する２つの共起する原理の間の原始的な対立である。 ある思想家たちは、聖書が「すべての神々の神」（God of all gods）の理念に光を当てることに方法に印象づけられ、資格のある二元論を提起する。彼らは、第２の神性（the
second deity）を不平等な神に減じ、こうして、悪への善の最終的勝利を守るのである。他の人々は、もっと二元論者の理念を擁護する―２つの敵対する神的力の間の対立ではなく、リアリテーについての２つの地上的な領域の間の闘争であり、一つは、より優れており、他は劣っている。この理念は、人間の生活におけるより高い精神でき機能とより低い身体的機能の対立の広く普及した観念の間の対立への水門を開く。 わたしたちの時代においては、初めにつての聖書の説明を、２つの競合する宇宙的力の間の巨大な闘として読むことは、当たり前である。「形なく」（ｗaste）と「虚しく」（void）と「闇」（darkuness）(創世記１：２)は、それゆえ、神が創造のみわざにおいて屈服させねばならないカオス的力として解釈される。これらの原始的な要素は、瞬間、瞬間、世界を非存在の状態に突っ込むことを脅迫して、創造中にある世界の指標に沿って潜んでいる威嚇する深淵として考えられる。それらは、存在についての神の肯定をもって、目的を超えて積極的に行動する反対の力を構成する。敗北したが、この否定的な反対の力は、創造にその暗い影を投げかける。 それゆえ、わたしたちは、悪についての起源の問題へのこれらのさまざまな二元論者の「解答」（answers）が、多くの魅力的な紆余曲折をするかもしれない。しかしながら、最後の分析において、しれらは、創世記に「まったく無縁な二元論を挿入する；テキストは、どのような闘いの最小のヒントも含まない」（「ヘンリ・ブロッヒャー：Henri
Blocher「初めに」６４頁」）。同様の調子において、ベルクーワ（Berkouwer）は、バーフィンク（Bavinck）に訴えて、聖書の啓示は、「神の創造の活動と独立的に、あるいは、それ以前に存在したカオス的な力について、わたしたちに何も語っていない」（「罪」８３頁）と結論する。 キリスト教の時代を通して、「固い二元論」（“hard dualism”）は、信仰共同体の生活において、堅固な足場を真に得たことは、決してなかった。それらは、聖書が万物の主として啓示するお方の排他的で主権的な大権への攻撃とし精力的に抵抗された。しかしながら、「柔らかい二元論」（soft
dualism）に解釈されて、これらの興味をそそる理念は、それらのしるしを教会に残した。ヴェーバー（Weber）が次のように指摘しているようにである。「独立的で、反神的な力としての悪は―、確かに、それが生み出した悪と邪悪さによって、すべての世代において、人間に課せられたクイズに対する魅力ある説明である」（「教義学の基礎」第１巻 ５８２頁）。それは、善と悪の間の大きな裂け目、プライドと貪欲の魅惑的な魅力、抑圧する者たちと抑圧される者たちの間の葛藤を「説明する」（explain）のを助ける。悪の原因を、何かの超人間的なリアリテーに帰することは、わたしたちの罪深に状態を軽減し、それを言い訳するのを助け、そして、わたしたちの罪の感覚を個人的にも集団的にも両方に楽にする。というのは、人間は、「責任が少なくなればなるほど、この対立がより超越的で、絶対的と考えられるからである」（ヴェーバー「教義学の基礎」第１巻 ５８３頁）。 これらの異端的な傾向が、マニ教徒たちとマルキオン主義者たちの影響によってキリスト教の伝統に入った。彼らの理念は、グンーシス主義の形態において、新プラトン主義的哲学と当時の神秘的な宗教から借用した要素とキリスト教信仰の綜合を提供した広く拡散する動きを伴って,初期の教会への最大の脅威となった。よく知られたのはアウグスチヌスの経験である。ヒッポの司教（the
Bishop of Hippo）になる途に向かう彼の激動の巡礼について、完全な１０年間、彼は、マニ教の神秘主義の魅力ある呪縛の下に来たのであった。人生の後に、振り返って、彼は、自分の魂を真実な告白において注ぎ出したのである。「わたしは、悪をある種のそのような本質と信じ、また、それ自身の不潔で恐ろしい巨大なものと信じた。彼らが地（earth）と呼んだ下劣であろうと、あるいは、薄くてしなやかであろうと（空気の体のように）、それらは、地（earth）を通して忍び寄る悪意のある精神であると想像するのである。そして、敬虔のゆえに、それがそのようなものとして、善なる神は、悪の性質を決して創造しなかったことを、わたしの信じるように強制した。わたしは、２つの大衆を考えた。お互いに相反し、両方とも無制限であるが、しかし、悪はより狭く、善はより広大である。そして、この一貫した初めから、他の犠牲的なうぬぼれが、わたしに続いたのである・・・（「告白」５．２０．）。 アウグスチヌスは、そのとき、答えを求めて、彼の精神を責め苛んだ。「では、悪は、どこにあるのか。そして、どうして、それは、ここに忍び寄ることができるのか。その根は、何か。あるいは、それは、存在を持たないのか。そして、そのとき、何故、わたしたちは、恐れ、また、何を避けるのか。あるいは、もし、わたしたちが、ぼんやり恐れるならば、そのとき、それならそれは悪を恐れるということであり、それによって、魂はこのようにぼんやりと道に迷い、拷問にかけられる・・・あるいは、何かの悪い事柄があったのか。または彼が作ったいくつかの邪悪な問題があり、それとも、彼が作って形成し、より少ない善を命じたが、彼が善に変えなかった何かをそこに残したいくつかの邪悪な事柄があったのか」（「告白」７．７）。 最後に、彼の人生の４０年の間に、アウグスチヌスは、彼のマニ教徒の過去ときれいに決別した。歴史的キリスト教は、悪の起源に対す二元論者の「説明」（explanation）に従ったのである。ティーリケ（Thielicke）が言うように、「２つのことが、排除されねばならない」のである。わたしたちは、「悪からその反対の性格を奪う誤りに抵抗しなければならないし、またそれを単に善の弁証法的な対抗物にすることにも抵抗しなければならないが」、しかし、神に対して悪を抽象的な二元論において設定し、その結果、最終的に２つの対立する神がいるという「グノーシス主義とマニ教の誤りも、抵抗しなければならない」（「福音的信仰」第１巻 ２６３頁）。創造者なる神は、主要なライバルがないのであり、原始的な不吉なものを持たないのである。創造は、無から創造に来たのである―神の慈悲深い意志から来たのである。それゆえに、創世記の物語の基本的な趣旨は、ベルクーワ（Berkouwer）の言葉において、「構造化された宇宙を可能にする、または不可能にする可能性のあるすべてのものとは対照的に、神の創造的活動の雄大な性格を照らし出すことなのである」（「罪」８５頁）。 Ⅰ．１．４．悪霊的説明（Demonic Explanation） この第３の「解決」（this third “solution”）は、悪の起源についての一元論者と二元論者の「説明」（explanations）をすり替える。それは、代わりに、サタンと彼の手下たちを訴える指を指す。人間の罪の源泉は、「悪い者」（the
“evil one”）である。この見解を主張する者たちは、わたしたちの背後に、一つの堕落を置く。天使的な領域にける反抗である。訴えは、通常、聖書からの２つの個所である―パトロ二２：４とユダ６―それは、「自分の領分を守らないで、その住まいを見捨ててしまった天使たち」に言及している。彼らの頭が「偽りの父」（the
father of lies）であり。彼は、わたしたちの最初の両親を欺き、誘惑し、圧倒した。わたしたちは、こうすて、致命的な悪霊的な計略の助け無き犠牲なのである。 この見解は、ときどき、「サタンの幸福な教理」（“the happy doctrine of the devil”）と呼ばれる。それは、わたしたちの罪不深さに対する準備された言い訳を提出し、また、わたしたちの罪悪感を緩和する。サタンは、わたしたちの「スケープ・ゴート」（scapegoat）なのである！とはいえ、このことは、創世記３章において転回されているわたしたちの没落ではない。エバとアダムは、単に、責任を取ることができない。他方、「ただ、エバが蛇の悪だくみで欺かれたように、あなたがたの思いが汚されて、キリストに対する真心と純潔とからそれてしまうのではないかと心配しています」（コリント二１１：３）。なお、「このようなわけで、一人の人によって罪が世に入り、罪によって死が入り込んだように、死はすべての人に及んだのです。すべての人が罪を犯したからです」（ローマ５：１２）も真実である。人類は、受け身ではないし、悪霊の陰謀の罪のない犠牲ではない。とはいえ、ひどく不可解な方法において、喜んで協力している間ずっと、わたしたちは、サタンの陰謀の中に釣り出された。このことは、ヘンドリクス・ベルコフ（Hendriks
Berkhof）の言葉において、「わたしたちの人生と心の中でほとんど耐えることができない緊張」を、わたしたちの残す」（「キリスト教信仰」２０２頁）。 同様の線に沿って論じて、ブルンナ－（Brunner）は、人間の罪深さは、わたしたちを外側から誘う「誘惑する力を前提する」（presuppose
a tempting power）ことを主張する。というのは、もし、わたしたちが、自分自身において、罪を生じさせることができるならば、そのとき、悪霊的な傾向の暗い闇が、わたしたちのまさに被造物性に落ちるであろう。それゆえに、同時に、最初の罪そその後のすべての罪は、「サタンの行為」（an
act of Satan）と「自然発火」（spontaneous ignition）の両方の影響力を表す。というのは、「人間は、自分自身で罪を発明するほど独創的ではないからである」（「教義学 第１巻 １０８頁」）。 善き創造へのこの悪霊的な侵入の不可解な背景に対して、聖書は、わたしたちからすべての言い訳を奪う。誘惑者は、彼の魅惑的な役割を果たす。しかし、わたしたちは、わたしたちの手を強制するある不抗的な力によって、征服されるのではない。周りを回る責任がある―蛇、エバ、アダム、わたしたちすべて。わたしたちは、わたしたち自身のドアのステップから罪責（guilt）の重荷を取り除くことはできないのである。 聖書は、その原罪（original sin）の恐るべき影響の真に厳しい絵を描く。そのページは、「闇の力」（“the power of darkness”）、「支配するものと力あるもの」（“principalities and powers”）、「今の暗闇の世の支配者たち」(“the
world rulers of the present age)、「天上にいる邪悪の霊的な大群」(“spiritual hosts of wickedness)、「この世の神」（“the
god of this world”）、「国々を騙す悪い者」(“the evil one who deceives the nations”)に対する警戒で満ちている。すべてこれらは現実である。さらに、キリストを離れて、わたしたちは、これらの圧倒的な力に抵抗するには助けがない。とはいえ、「闇の力の王国」（“this
kingdom of darkness”）のリアリテーは、わたしたちの責任と罪責を決して免罪しない。わたしたちは、「どのようにして、誘惑が聖なる人（a
holy person）に接触点を見い出すことができたのかを言うことは、不可能であることを、単純に結論する。そして、天使的な世界における罪の起源を説明することは、なおさら困難である」（ルイス・ベルコフ「組織神学」２２４頁）。悪についての悪霊的な起源のこの理論は、それゆえ、行き止まりの通りでもある。ヘンドルクス・ベルコフ（Hendrikus
Bekhof）が言うように、「それは何も説明しないが、しかし、問題を、部分的に超人間的な領域に移行するだけなのである」（「キリスト教信仰」２０２頁）。 ＊ ＊ ＊ 三つのべての解決は、わたしたちに、思弁の滑りやすい坂道を捨てさせる。「説明」（“explantion”）として、それらは、「同等に維持できない」（ベルクーワ：Berkouwer「罪」１２８頁）。しかしながら、合理主義者たちが、必死に探究するように、彼らは、未来の運動以上のものをほとんど生み出さない。というのは、彼らは、聖書が答えないで残した疑問への答えを求めているからである。「罪についての神義論」（“theodicy
of sin”）は、その疑問から出るからである。わたしたちは、創世記３章の物語の背後にあるかもしれないどんな隠された深さがあるかを証明できない。「アダムの堕落において、わたしたちすべてが罪を犯した」（“in
Adam’s fall we sinned all”）という告白は、最重要点である。この結論は、無知の聖所において逃避を求める敗北した精神の逃避ではない。それは、むしろ、聖書の出発点への敬の現れなのである。聖書は、より究極的な「説明」（explanation）を探し出す多くの企てに光を投げかけるのである。悪の起源（origin）は、説明できない神秘なのである。しかし、その初め（its
beginning）が、聖書の記録の事柄なのである。わたしたちは、それゆえ、罪と悪についての物語において出発するところから出発しなければならない。 Ⅰ．２．原罪（Original Sin） 聖書は、悪の起源へのすべての舞台裏の思弁にカーテンを引いている。代わりに、創世記３章において、それは、中心のステージに、通常、原罪と呼ばれる罪へのわたしたちの堕落についての現実的なシナリを設定する。この壊滅的な出来事は、聖書の物語の線における第２の転回点を表す。わずかの短い節（３：１－7）において、聖書を通して散らばった反省（詩編５１：１－５、ローマ５：１２－２１．コリント一１５：２２）が続くが、わたしたちのすべての罪の背後にある元の罪（the
originating sin）に直面して立つ。これが、人類に下って来た悪の雪崩に対する説明の聖書の最も究極的で深遠な方法である。 最初の一瞥で、歴史のステージへの罪の侵入のこの物語は、そのような小さな事柄に見えるかもしれない。結局、リンゴ、あるいは、桃、あるいは、いちじく、あるいは、それが何であれ、それを食べることについて、何がそのように悪いのか。「善悪を知る」この木の実（this
fruit this tree of knowledge of good and evil）は、多分、周囲の木から多くは違わなかったであろう。そして、旺盛な食欲は、わたしたちの創造者によってわたしたちに与えられた祝福である。それゆえ、わたしたちが、試験的命令のこの違反において見るものは、良い欲望がうまくいかなかったことである試験は、被造物的従順の純粋で、単純なテストであった。というのは、神的調整によって、この禁止された実は、契約の忠実性に対する決定的な証明の根拠として仕えた。試験的な命令の形態における神の言葉は、明らかであった：「わたしに従うか、他に従うか」（Obey
me,or else）。危機に瀕しているのは、人間と人間の造り主の間の関係である。というのは、この命令は、創造におけるわたしたちの場所と任務を守り、友好的で保護的な生垣であった。わたしたちは、生活の規範として神の言葉を受け入れるであろうか、あるいは、それを被造物的な何かにおいて、求めるであろうか。それが、基本的な選択肢であったし、また、今も選択肢である（ローマ１：２５）。わたしたちの意志的な不従順によって、わたしたちは、わたしたち自身と世界についての神の言葉の「他に従う」（or
else）の束縛を解き放した。差し迫った呪いの警告の言葉は、リアリテーとなった。今や、それゆえ、「被造物だけでなく、“霊”の初穂をいただいているわたしたちも、神の子とされること、つまり、体の贖われることを、心の中でうめきながら待ち望んでいます」（ローマ８：２３）。 「反乱における人間」（ブルンナー）のこの行為をもって、最も根源的な変化が生じる。一つの意味において、構造的に、何も変化しない。神はなお神であり、彼の言葉はなお保たれ、人間存在は、彼らのアイデンテーを保持し、創造はなお無傷である。神の保持の恵みは、生活のための合法的な秩序を維持する。しかしながら、同時に、ことごとくが変わる。突然かつ根源的に、わたしたちのまさに存在が、完全に誤った方向に導かれる。このことは、次の神的に定められた「安息日」（the
appointed sabbath rest）の休息がやってくるとき、痛々しいほど明白である。創造者と被造物の間のまじわりは、混乱を生む。まじわりの線は、ひどく絡まった。とはいえ、神は、有罪のペアを元に戻すことを拒否した。園に戻って、明らかに神現において、創造者は、贖いの最初の行為を発した。彼は、隠れた犯人を捜しに行く。彼らの罪は、審判者の捜索の目によって露わである。しかし、神の審判は、恵みの新しい日の夜明けを合図する。罪への堕落をもって、すべての地獄が緩むが、しかし、そのとき、すべての天が、流れを変えるために移動する。そのときから、「ただ恵みによって」（sola
gratia）が、人生の唯一の希望となるであろう。 堕落した世界における最初の遭遇が、わたしたち人間の苦境とわたしたちの悲惨の深さを示すことは、回復を必要とする。夫と妻は、今や、恥ずかしそうに赤面する。彼らは、いちじくの葉が、自分たちの前例のない完全な恥の感覚を覆うのを見る。この行為は、数えきれない隠蔽によって区切られる未来の人類を表す不吉なしるしである。彼らは、真実を回避するための慢性的なわたしたちの気質を伏線として、葉の間に隠れる。恵み深い父は、放蕩息子に呼びかける、「アダム、あなたはどこにいるのか」（Adam,where
are you?)。相続人は、創造における彼の正しい場所を捨てた。すべてが乱れた。ついに「天国の猟犬」（the Hound of heaven）（フランシス・ソンプソン：Francis
Thompson）は、神の間違った王冠の被造物を追い越すとき、彼らは、言い訳を作り、非難する指を外側に向ける:「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が」（“the
woman you gave me”）、「蛇がわたしをだましたので」(“the serpent beguiled me”)。最後の手段としてのみ、偉大な審問官の臨在が真実な告白に挑戦する、「わたしは食べました」（創世記３：１２－１３）。彼らの回避策において、必死に言い訳を探し、彼らは、自分たちの没落に導いた主観的なステージを要約する。少しづつ、誘惑者の狡猾さが、彼らの抵抗を壊した：神的命令のリアリテーについての疑いの種を蒔き、この禁止は彼らの権利と自由の侵害の肯定を暗示し、合意を破る結果に疑問を投げかけ、「神のようになること」（“being
like God”）の傲慢な見通しに訴え、そして、最後に、目の欲を起こした。わたしたちの最初の両親は、このサタン的な線に対して落ちたのである。彼らは、そのとき、彼らの行為を合理化しようと試みた。彼らの欺きを共有して、彼らの子供たちであるわたしたちは、「責任転嫁をすること」（passing
the buck）のより洗練された方法さえも考案することを学んだのである。わたしたちは、不完全な親の育成のトラウマ的な影響に対するわたしたちの不正行為を、不機嫌を、コンピュータに侵入したウイルスを非難するのである。 「逆創造」（Reverse Creation）と名づけられたバラードにおいて、バーナード・ブラックマン（Bernard Blackman）は、人間の反乱の影響について終末論的に歌う。「そして人間は言った。闇があれ、すると闇があった。人間は闇が良かったと言い、人間は闇を安全と呼んだ。そして、終了前の7日目には夕方も朝もなかった・・・そして人間は言った、他の神がわたしたちと競争しないようにわたしたち自身のかたちに神を造ろう。そして、終了前日の朝はなかった」。 神的な審判は、これらの緊張し破れた関係において十分に現存している。各有罪者は、彼の/彼女の/彼らの性質にしたがって（after his/her/their
kind）審判される。神は、誤りのこの恐るべき喜劇における各俳優の特別な性質と任務にふさわしい刑罰を課す―日毎の仕事において男に、子供を生むことにおける女に、そして蛇には動物の王国においてその卑劣な場所に（蛇だけには、ドラムでの悪魔的な役割について自分自身で答える機会は与えられていない）。ちょうど贖いが創造に適合するように、そのように、神的に課せられた審判において識別可能な変動と心的に創造された被造物において現存する多様性との間の完全な「一致」(a
perfect match)もあるのである。 幸いにも、最後に、厳しくも、しかし、わたしたちの覆いを外すために手を差し伸べ、わたしたちの膝に追いやられ、わたしたちは祈る、「あなたに、あなたにのみにわたしは罪を犯しました」（Against
thee,thee only,I sinned）（詩編５１：５９）。黒人霊歌は、「彼らがわたしの主を十字架につけられたとき、あなたはそこにいたか？」と問う。それに対するクリスチャンは、はい、わたしは、そこにいました―わたしの罪が主を十字架につけましたと答える。そう、並行的であるが、しかし、逆の類似によって、その疑問は次のようにパラフレーズされる：わたしたちの最初の両親が罪に落ちたとき、あなたはそこにいたか？答えが返って来る、はい、わたしは、彼らの罪に加わっていましたと（ローマ５：１２）。悔い改めのわたしたちの叫びを超えて、安心な声がそのとき響く、「いかに幸いなことでしょう・・・罪を覆っていただいた者は」（詩編３２：１）。避難のこの方法は、良き知らせ（the
Good News）の神の最初の告知に錨を安全に下ろしている（創世記３：１５）。わたしたちは、この「原福音」（this evangelium）に、ぼんやりとかつ遠くからであるが、神的に介入された「敵意」（enmity）は、いつの日か、来るべきメシアを通して和解さるであろうというの約束を聞くのである。 解説 「第３部 罪と悪 第１章 根幹を露わにする（Exposing the Roots）」の全訳が終ったので、４点の解説をする。まず第１点は、第３部の意図についてである。すると、第２部で「善き創造」を扱ったので、今度は、その善き創造にもかかわらず、何故、わたしたち人間には、罪と悪があるのかが問われる。わたしたちの世界には、永続的かつ広範囲に及ぶ悪がある。いつ、罪と悪が起こったのか。どのようにして、それは、生じたのか。これらの困惑する疑問について、何世紀にわたって、人間はこの解決困難な問題と格闘したきた。どのようにして、わたしたちは、わたしたちの罪深い状態、また、わたしたちの現実の罪とその力を説明すべきか、また、どのようにして、わたしたちは罪と悪とに負けずに抵抗し、闘い、克服し、勝利していくのかが、絶えず問われてきた。そこで、スパイクマンも、わたしたち人間の罪と悪が、どこから来たのかという罪と悪の根幹を露わにし、明らかにする議論をまず扱う。すなわち、罪と悪の起源について扱うのである。 第２点は、罪と悪を扱うキリスト教の前提についでである。何でも前提があるが、キリスト教の立場で、罪と悪を考察する場合には、神の言葉であり、神の啓示である聖書にしたがって、根本的な前提が二つあることを、スパイクマンははっきりさせておく。一つは、神による創造は、絶対的な善による創造であるから、罪と悪が創造の最初から存していたとうことは、まったくないことである。罪と悪は、最初から存在していなかったのである。もう一つは、創造者なる神は、いかなる意味においても、罪の作者や源泉や原因ではなく、責任もないことである。このことは、改革派諸信条において繰り返し表明してきた。罪の原因また責任は、あくまでも人間にあることを常に告白してきた。ヨハネ一１：５でも、「わたしたちがイエスから既に聞いていて、あなたがたに伝える知らせとは、神は光であり、神には闇が全くないということです」と明白に語っているし、ベルギー信条 第１３条でも、「神は、作者でもなく、犯される罪で訴えられることもあり得ない」と端的に告白されている。 第３点は、罪の起源の説明の不可能性についてである。歴史を顧みると、罪の起源についての三つの説明の仕方があった。それらは、一元論者の「説明」、二元論者の「説明」、悪霊的「説明」の三つである。一元論者の「説明」は、すべてのことは、神から来るので、人間の罪も神御自身から起因するという説明の仕方である。すなわち、神の意志を離れては、何も起こらない。繁栄と同様に逆境も、すべてものが神の御手にある。しかし、これは、上に述べたように、非聖書的、反聖書的で、教会が常に排除してきたものである。 二元論者の「説明」は、善なる神と悪なる神を考えて、善は善なる神から来るが、罪と悪は、悪なる神から来ると説明する仕方である。すなわち、キリスト教信仰の神は、光の源であるが、他の神は、反神（an
antigod）であり、世界に暗い呪文を投げかけ、世界史は、それら間の闘争の現れであり、わたしたちの人生は戦場であり、恐ろしい運命の悲劇的な犠牲者ともなるが、善なる神が、悪なる神に最後的に勝利をすると考える。また、現代において、創世記１：１の「混沌」（カオス）を神に競合する巨大な力として解釈し、カオスが悪の力として、わたしたち人間を苦しめると考えるが、ベルクーワは、バーフィンクに訴えて、聖書の啓示は、「神の創造の活動と独立的に、あるいは、それ以前に存在したカオス的な力について、わたしたちに何も語っていない」と語って、その解釈の誤りを指摘している。 悪霊的「説明」は、罪と悪は、サタンと彼の手下たちの悪霊から起源すると主張する。彼らは、パトロ二２：４とユダ６で語れている堕落天使たちであり、その頭がサタンであり、彼が、「偽りの父」として、アダムとエバを罪に陥れたと説明する。こうして、わたしたち人間は、悪霊的な諸力の影響によって罪と悪を犯すのである。しかし、スパイクマンは、ヘンドルクス・ベルコフの「それは何も説明しないが、しかし、問題を、部分的に超人間的な領域に移行するだけなのである」を引用し、この説明は、罪と悪の問題を超人間的な領域に移行してしまい、何の解決にならないことを語る。 第４点は、罪の起源は説明できないことについてである。これは、どのようなことか。すると、罪の起源を問うことは、一体、どのようなことなのから考えなければならないことを意味している。すなわち、罪の起源を問うことは、他のものの起源を客観的に、第三者的に、冷静に、分析して問うことと、質的にまったく違うからである。何故なら、罪の起源を問う自分自身がもうすでに罪人で、罪に巻き込まれ、影響を受け、純粋に客観的に、第三者的に、冷静に考えることができないからである。罪人である自己自身は、常に自己弁護的であり、自己の罪を否定し、否認し、また、軽く見ることかから離れることができないからである。そして、罪の原因を求めることは、最初の両親である他の人の罪の責任を問うことになり、他人事になってしまう。それゆえ、罪の起源と原因を問うて説明することは、不可能なのである。では、罪の起源と原因に関して、わたしたちは、どのような姿勢を取ればよいのか。すると、神の言葉、神の啓示である聖書の教えに信仰によって従順にしたがい、自分の罪を認めて告白し、神の憐みと恵みゆえに赦されることを求めることである。 創世記は、アダムとエバの堕落を述べているが、その原因を説明しているではなく、どのようにして罪が起こったかを述べいる。その原因を、合理的に説明することはできない。 スパイクマンは、罪の起源の「説明」という言葉にコーテーション・マークをその都度、何十回もつけて、罪の起源の説明は、上に述べた意味で、不可能であることを、強く強調しているが、罪の起源の説明の不可能性は、ベルクーワが「罪」で、詳しく述べていることを、スパイクマンが自分の言葉で述べている。ベルクーワの「罪」（Sin）は、オランダ語原書で２巻で出版された。次いで、英訳で５５９頁もある分厚い１巻本で出版されたが、非常に興味深い著作である。詳しくは、拙著「G.C.ベルーワ：教義学研究－その紹介と解説－」の「第１１巻 罪」の「第１章 罪の起源の問題」、「第２章 聖書的アプリオリ」、「第３章 二元論」、「第４章 罪と悪霊的領域」、「第５ 罪の謎」、「第８章 罪の本質」を参照のこと。また、拙著「M.H.スミス：組織神学－その紹介と解説－」の「第２巻 第２０章 罪、その起源と性質」、拙著「ウェストミンター信仰告白の解説」の「第６章 人間の堕落と罪、および罰について」を参照のこと。また、アダムによって罪が世界に入ったことについては、拙著「ローマの信徒への手紙説教集」の「上巻 ５：１２－２１ アダムとキリストの比較」を参照のこと。いずれにしても、人間の罪と悪については、神が罪と悪の作者や原因や源泉ではなく、責任もなく、責任は、あくまでも罪を犯すわたしたち人間にあることを、聖書はアプリオリに権威をもって教えているので、この聖書的なアプリオリから出発することが根本的に大切である。罪は、客観的に自己弁護的に説明されるものではなく、信仰によって率直に認めて恵みにより赦していただくものである。
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