「岡山便り」第８号　２００９年１２月２２日更新

　　　　　　　「大腿骨を骨折し、入院・手術し、退院しました」

　わたしは、右の大腿骨を骨折し、７週間入院・手術しましたが、１２月１８日退院し、今しばらくぶりに、家で、この「岡山便り」をパソコンで打っています。もう右足に全体重をかけて歩いてよいのですが、わたしは、まだ十分自信がないので、慎重に、小さな杖をついて両足で歩いています。以前のように普通に歩けるようになるには、まだ時間が必要です。

骨折のいきさつは、遡りますが、次のようです。１０月１３日、教会で説教奉仕をしました。夕食後でしたが、お腹から胸にかけて痛くなりました。わたしは、前にもなったことのある胃けいれんあるいはろっかん神経痛ではないかと思い、静かにしていれば、痛みも治まると思い、ベッドに横になり休んでいました。ところが、痛みは治まるどころか、さらに強くなり、我慢できなくなりました。

　そこで、家内に、病院に電話をしてもらい、夜間診療で診てくれるようにお願いしました。了承を得て、家内に車で連れていってもらいました。心電図とレントゲンを撮り、血液検査をしました。でも、どこから痛みが来ているかわかりませんでした。

激痛は続きました。わたしは、ベッドの上で、激痛のあまり、右に左に反転し続けました。激痛を表す表現に、冷や汗タラタラ、七転八倒の苦しみ、転げまわる苦しみ、壁をかきむしりたい苦しみなどがありますが、それらの表現が全部当てはまる激痛でした。こんな激痛は生まれてはじめてのものでした。

　痛み止めを打ってもらっていました。ただし、強い痛み止めを打つと、どこから痛みが来ているかわからなくなり、適切な処置ができなくなるとのことで、あまり強くない痛み止めを打ってもらいました。そして、様子を見ることになりました。

　その後、わたしは、約５時間の激痛に耐え、午前１時になりました。わたしは、いったいどうなるのだろうかと思いました。このままでは、我慢することができず、途中で、何かとんでもないことがわが身に起こるのではないかと正直思いました。そして、体力も著しく消耗してきて、体力の限界を感じていました。

　すると、それまで、わたしの背中をさすっていてくれた家内が、わたしの状況を見て、機転を利かし、とにかく一度、強い痛み止めと眠るための薬を打って、わたしを眠らせてくれるように依頼し、強い痛み止めと眠る薬を打ってもらいました。

　わたしは、そのまま入院することになり、車いすで病室に連れて行かれ、ベッドに横になりましたが、すぐに眠ってしまいました。後で聞いたのですが、家内は、入院の手続きなどをし、家に帰ったのが午前３時と言っていました。

　わたしは、朝、目覚めました。目覚めて一番先に気がついたことは、「アレッ、痛くない。ぜんぜん痛くない。」ということでした。昨夜の激痛がうそのようにないのです。あの激痛は、何だったのでしょう。そこで、１３日間入院しての検査が始まりました。超音波（エコー）、レントゲン、ＣＴ、ＭＲＩ、血液検査、内視鏡での十二指腸と胃の検査などが行われ、その結果、胆のう炎および胆石であることが判明しました。わたしも、写真を見せてもらいました。わたしの胆のうに数ミリの白い石が６個見えました。わたしが、「６個ありますね」と言うと、医師は、「佐々木さん、６個どころでなく、もっとたくさんありますよ。」と言ったので、ビックリしました。わたしには、６個しかわかりませんでしたが、専門家にはわかるのでしょう。

　そして、わたしのあの激痛は、胆のうの石が胆管に落ちてきて、胆管が詰まり、激痛を引き起こしたとのことです。胆管は、６ミリから１０ミリほどだそうです。でも、胆管に詰まっていた石が何かの拍子に十二指腸にうまく落ちたので、痛みがなくなったのであろうとのことでした。しかし、今のままにしておくと、また、胆のうの石が胆管に落ちてきて激痛を引き起こす可能性があるので、胆のうの摘出手術が必要とのことでした。そこで、わたしは、家内とも相談し、できるだけ早く手術をした方がよいと判断し、１１月５日に再入院し、１０日に手術することが決まり、準備をしていました。

　ところが、思ってもみないことが手術をするその週に起こりました。１１月２日の夕方、わたしは、２階の書斎に上がり、ホームページの「佐々木稔　キリスト教全集　説教と神学」に掲載するため、「旧約各書からの説教」の「雅歌」のスキャナー操作をしようとしていましたが、寒いので、本棚の上に、エアコンのリモコンがあるかどうかを確認するため、キャスター付のイスの上に立ち上がりました。すると、キャスター付のイスがフローリングの床を動き、次の瞬間、わたしは、バランスを失い、落ち、右足を床に強打しました。ほんの数秒間の出来事でした。痛くて、起き上がれませんでした。すると、階下にいた家内が、二階でドスーンという大きな音がしたので「どうしました？」と上がってきましたので、わたしは、いきさつを話し、「打ち身をしてしまった」と言い、どうにか起き上がって下におり、ベッドで休み、湿布を張りました。

　１時間ほど経過しましたが、痛みは治まらず、立ち上がろうと思ったら、痛くて立てず、これは、病院に行かなければならないと思い、胆石の手術をすることになっている病院に夜間診療で診てくれるように、家内に電話で聞いてもらいました。

　すると、整形外科医の先生が手術中でしたので、別の病院を紹介してくれました。紹介された病院に家内に車で連れて行ってもらいました。レントゲンの結果、右大腿骨の骨折でした。わたしは、まさかと思いました。悪い夢を見ているのではないかと思いました。そして、これで、今後の予定が全部崩れ、周囲に心配と迷惑をかけることになり、大変申し訳なく思い、自らの不注意を真に後悔しました。キャスター付のイスの上に立ち上がること自体が、誰が見ても危険極まりないことで、してはならないことでした。自分の安易さを心から反省しました。

　わたしは、このときほど、時間が戻せればと思いました。キャスター付のイスの上に立ち上がる前の時間に戻りたいと本当に思いました。でも、神が主権をもって造られた時間は、開かれつつある巻物のようで元には戻せません。前に進んでいくだけです。

わたしは、即入院し、早めに手術をしなければならないと告げられました。その病院でも手術はできますが、でも、胆石の手術をすることになっている同じ病院の方が、いろいろな意味で都合がよいので、転院させていただきました。転院して、大腿骨骨折をつなぎ合わせる手術をまずすることになり、胆石の手術は、改めて、後ですることになりました。胆石の手術は、今、急いで行わなくても大丈夫とのことでした。

　１１月６日に、大腿骨骨折をつなぎ合わせる手術をしました。手術はうまくいきました。経過も順調で、リハビリに励みました。当初は、伸ばしたままでまったく動かせず、少しでも動かすと痛かった右足も、日一日と回復し、松葉杖で、４点歩行器、丸型歩行器とステップアップし、さらに、右足に全体重をかけ、小さな杖で歩けるまでになり、クリスマス前の１２月１８日に、予定通り退院しました。

　そして、２０日の岡山教会クリスマス礼拝においては、椅子に座った仕方でしたが、わたしが、説教奉仕と聖餐式奉仕をさせていただきました。何ヶ月も前に、小会から、クリスマス礼拝の説教奉仕を依頼され、お引き受けしていましたので、説教は、病院のベッドでパソコンを少しずつ打って準備し、自分でリハーサルを積んでいたので、無事何事もなく、主の祝福のうちにクリスマス礼拝の奉仕ができ、感謝でした。　　

　なお、胆石の手術は、普通に歩けるようになり、体力が十分ついてから改めて行うことになりました。すぐに行うことは、医学的に好ましいことではないとのことです。わたしの胆石は、緊急性がないので、３月末に予定されました。ただし、もし、それ以前に胆石症状が出れば、その時点で、入院・手術の対応をするという２段構えになっています。

　わたしが、これからすることは、普通に歩けるようにすることと体力をつけることです。また、それらと共に、できるところで、説教奉仕と「キリスト教全集」の執筆をもしていきたいと思っています。

　わたしのことを心配して諸教会や多くの方々が、回復のため、お祈りくださり、手紙やはがきやメールや電話をくださり、またお見舞いなどもくださり、心から感謝しています。ありがとうございました。主にあって、心からお礼申し上げます。

　入院・手術は、痛く、苦しく、つらいことがいっぱいあります。でも、主が共にいて、わたしをいろいろな恵みで日々支えてくださいました。心から感謝しています。

ホームページ上での「佐々木稔　キリスト教全集　説教と神学」の執筆は、そういうわけで、しばらくできませんでしたが、検査入院中、また、また、右の大腿骨手術のための入院中も、コヘレトの言葉、箴言、イザヤ書、カルヴンの「創世記注解」の序文と１章から３章の解説、ベルクーワの「人間　神のかたち」、モートンー・スミスの「組織神学」、ゴードン・スパイクマンの「宗教改革的神学」、ウェストミンスター信仰告白の第２０章「キリスト者の自由および良心の自由」についての解説書などを読み、熟考しましたので、後に、「全集」に記載します。楽しみにしていてください。

入院中、御言葉を読んでいて、わたしの心に響いてきた御言葉がいくつもあり、とても励まされ、希望を与えられましたが、そのひとつを記します。「心を尽くして主に信頼し、自分の分別には頼らず、常に主を覚えてあなたの道を歩け。そうすれば、主はあなたの道筋をまっすぐにしてくださる。」（箴言　３章５節、６節）。わたしがそれまで立てていた計画は、検査入院のため、また、右足の大腿骨手術のため全部崩れました。でも、心を尽くして主を信頼し、また、新たに計画を立て直し、主の栄光のため、教会のため、なお励んでいきたいと決意しています。主は、必ず祝福してくださるでしょう。